5つの営業組織課題と
課題解決できるプロ人材要件とは

どんな状況にどんな営業プロフェッショナル人材が必要か

あなたの営業組織の課題は何でしょうか。そしてその解決策はなんでしょうか。
例えば、一口に「売上を上げたい」といっても企業状況によって売上向上課題の種類は大きく異なります。適切な解決策を考えるには、適切な問題定義が不可欠です。本記事では、営業組織課題の種類を明確化し、それに応じた解決策を考えます。

営業組織課題は、企業の状況により次の3つに分かれます。

  • 【既存顧客×既存商品】これまでと同じ顧客層に同じ商品を売る
  • 【既存顧客×新規商品】これまでと同じ顧客層に異なる商品を売る
  • 【新規顧客×既存商品】これまでと異なる顧客層に同じ商品を売る

どんな状況でどんな組織課題がおきるのかを、さらに分解し「5つの営業組織課題」として整理します。

また、明確化した5つの営業組織課題それぞれについて、課題解決できるプロ人材要件について考えます。
組織変革が必要なとき、既存人材では解決できないこともあります。シチュエーションごとに必要なエキスパート人材像を考察します。

1. 5つの営業組織課題

1-0.顧客と商品によって異なる営業組織課題

  1. 【新規顧客×既存商品】これまでと同じ商品をこれまでと同じ顧客層に販売する場合の営業課題です。
    「営業マンの質の問題」と「営業マンの量の問題」に分けられるでしょう。
  2. 【既存顧客×新規商品】顧客層は同じだが、新規商品を販売する場合の営業課題です。
    新規商品の場合、新しく販売する商品特性が既存商品と同じか異なるかが重要な分かれ目です。
  3. 【新規顧客×既存商品】3つめは、新規で狙う顧客層が異なる場合です。
    同じ商品を販売していても、顧客層が異なれば、営業スタイルは大きく異なってきます。「企業規模が異なる」「業界が異なる」の2つに分けて考えます。

1-1.営業組織課題1 -売れる人がいない

まずは、営業パーソンの質の問題です。売れる人がいないと言い換えられます。どんな業界、どんな商品でも、トップ営業マンと平均的な営業マンの販売額は大きく異なると言われます。営業が難しい商品、難しい業界の場合、営業スキルによる販売額の差は10倍、100倍になり得ます。平均的な営業マンは1年に1件も成約がとれない、という事態も起きるのです。
商品の難しさでは、成約単価額が一つの目安でしょう。法人営業であれば、1商談1000万以上の商品、個人であれば1商談10万円以上の商品です。

次に顧客業界の難しさです。例えば、医療業界を対象とした営業は、医療業界ならではの業界構造、法律動向、行政動向などを頭に入れておくことが必須です。また、商品の技術特性などを深く知り顧客企業の技術者と対等に議論できるスキルが必要な業界もあります。

1-2.営業組織課題2 -売れる人が足りない

次は、営業の質でははなく、量の問題です。市場も伸びており、自社商品の競争力もある。しかし、販売人員が足りない。このような場合、1人のトップ営業マンに頼るのではなく、いかに売れる営業組織を作っていけるかが課題になります。

売れる営業組織を作ることが課題になりやすいのは、とにかく伸びている市場、伸びている商品を販売しているときです。伸びていない市場、商品でも営業組織構築は重要です。しかし、営業実績を積んだ売れる人材を採用すれば課題解決できます。

一方、伸びている市場では、営業人材も枯渇しています。そのため、営業経験が少ない人材、営業経験はあるが業界経験がない人材、などを採用、教育し営業組織を作り上げていく必要があります。

1-3.営業組織課題3 -商品特性が異なるものを売る

対象顧客層は同じでも商品特性が異なると売り方も変わってきます。代表的なのは、モノ売りから、ソリューション型に変わる場合です。グローバル競争の時代、単体の商品性能、商品価格での差別化が難しくなっています。注目されるのが、ソリューション型、課題解決型の営業です。
課題解決型営業の成功例が「キーエンス」でしょう。キーエンスの主業務はセンサーの製造販売です。しかし、キーエンスの本質的価値は、顧客工場の生産性向上にあります。仮に工場の生産性が2倍になる解決策があれば、顧客はセンサーは2倍3倍の値段を喜んで払います。成功の果実は大きいものの、ソリューション型営業への転換には大きな営業スタイルの変革が必要になります。

なお、新規商品でも商品特性が変わらなければ、営業スタイルも大きく変わりません。よって、考える営業組織課題は「売れる人がいない」「売れる人が足りない」のどちらかになります。

1-4.営業組織課題4 -企業規模が異なる顧客層を狙う

一つ目は既存顧客層と企業規模が異なる場合です。多少の規模の違いであれば大きく変わりません。しかし、例えば「これまで大企業向けに販売していた商品を中小企業マーケットへ拡販したい」ときは、商品は同じでも全く別の組織課題と捉えるべきでしょう。

大企業と中小企業の本質的なマーケット特性の違いは何でしょう。ポイントは対象顧客数と商品単価の2つです。まず、中小企業マーケットを狙う場合、パイとなる顧客数が10倍、100倍と増大します。加えて、1商談の単価が大きく下がります。薄利多売ビジネスになるわけです。
中小企業マーケットでは単に人員を増やした人海戦術では利益がでません。純粋な営業力よりいかに少ない労力で効果的に販売するか、というマーケティング力が重要になってきます。

1-5.営業組織課題5 -新しい業界をターゲットにする

既存商品を新しいターゲット業界に販売していく場合です。顧客業界が異なれば購買意思決定構造、購買意思決定基準などが大きく異なります。このとき、これまで売上を上げていた営業マンが新しいターゲット業界ではまったく販売実績を上げられないこともしばしば起こります。対象マーケットを熟知し、マーケットにあった提案書の作り方、アプローチの仕方を考え出す必要があります。

2.営業組織課題を解決できるプロ人材要件

組織変革では外部プロ人材の力が必要な場合もあるでしょう。
もちろん既存人材で対応できることが理想です。しかし、異なる顧客特性、異なる商品特性に対して営業組織を一気に変えたいとき、経験のあるプロ人材に頼るのも有力な選択肢です。

2-1.プロ人材要件1 -顧客を知り尽くしたベテラン営業マン

「売れる人がいない」場合のプロ人材要件です。

販売が難しい商品、業界で必要なプロ人材は、顧客を知り尽くしたベテラン営業マンです。顧客業界の構造、意思決定者、最新動向などを熟知したエキスパートが必要になってきます。具体的には、概ねその業界で5年以上継続的に営業実績を上げてきた人材が必要になるでしょう。

また、注意すべきチェックポイントは「新規開拓営業経験」です。継続的に販売実績をあげていても、たまたまよいアカウント顧客を持っていた、という場合もあります。自ら新規顧客を開拓し、自社の有力顧客に育て上げた実績が必要でしょう。

顧客層は同じだが、新規商品を販売する場合の営業課題です。新規商品の場合、新しく販売する商品特性が既存商品と同じか異なるかが重要な分かれ目です。

2-2.プロ人材要件2 -売れる仕組みを作れる営業マネジャー

「売れる人が足りない」場合のプロ人材要件です。

売れる人材が足りない状況では、営業を採用し、育てることができる営業マネジャーが必要です。また、個人依存せず組織の仕組みとして回せる営業組織を構築できる人材が必要となります。

近年営業プロセスを論理的、科学的に分析して管理する「The Model」などの手法が注目されています。強面の営業部長が部下を叱咤すれば業績アップする時代は終わりました。顧客の購買プロセスを分解して、営業KPIに落とし込み、SFA(sales force automation)を駆使して科学的にPDCAを回せる営業組織を構築できるマネジャーが求められます。

2-3.プロ人材要件3 -ソリューション営業スペシャリスト

「商品特性が異なるものを売る」場合のプロ人材要件です。

ソリューション型営業に転換する場合に必要なのは、ソリューション営業のスペシャリストです。まず、顧客との信頼関係を築き、顧客企業の課題を把握する。そのうえで、顧客と一丸となって顧客企業の事業課題を解決する営業スタイルです。

プロ人材には、業界経験よりソリューション営業の深い経験が重要です。会うべき顧客は1つ2つ上の階層に上がってきます。例えば、購買担当者から、購買部長へ。購買部だけでなく、利用部門の事業部長へ。企業規模次第ですが、社長・役員へのアプローチが必要になります。顧客企業の経営目線から業績改善について一緒に議論していけるリレーション力、ヒアリング力、問題解決力、社内調整力など総合的なスキルを持ったソリューション営業プロ人材が必要になります。

2-4.プロ人材要件4 -売れる仕組みを作るマーケター

「企業規模が異なる顧客層を狙う」場合のプロ人材要件です。

大企業から中小企業マーケットへ移行する場合に必要なプロ人材は、新たに売れる仕組みを作れるマーケターです。中小企業マーケットでは、いくら個人の営業スキルが高くても役には立ちません。いかに効率的に顧客にリーチするか、どの媒体を使えばよいか、適切なパートナーはいないかなど、売れる仕組みを作れる人材が必要です。営業の仕組みでも、例えばインサイドセール組織の立ち上げも選択肢でしょう。

2-5.プロ人材要件5 -販売ノウハウを生み出せる業界スペシャリスト

「新しい業界をターゲットにする」場合のプロ人材要件です。

新規ターゲット業界を開拓するのに必要なのは、ノウハウを生み出せる業界スペシャリストです。ターゲット業界を熟知した上で顧客特性と商品特性にあった営業プロセス、ツールなどのノウハウを生み出せるプロ人材です。なお単なる業界スペシャリスト、ベテランでないことに注意してください。自分自身で売上を作るスキル・経験は大前提です。しかし、営業組織として重要なのは個人のノウハウを見える化して、他のメンバーも売れるようにすることです。自らノウハウを作り、かつそのノウハウをわかりやすく言語化して展開できるスキルが必要です。