テレワーク:官民が連携して推進する働き方改革プロジェクト

テレワークという言葉をご存知でしょうか?テレワークとは、一般社団法人日本テレワーク協会の提言によると「情報通信技術(ICT)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義されています。

近年、スマホ、タブレット端末などの情報通信機器とともに、通信・インターネット回線が普及・発達、運用コストやセキュリティ確保の課題も解決されつつあるため、テレワークを取り巻く環境は飛躍的に変化し、働き方改革の有効な手段と見られています。

「テレワーク」という働き方の最新の認知度は62.6%(国土交通省「平成29年度テレワーク人口実態調査」)に達していますが、一方でテレワーク導入企業数は2017年度実績で13.9%(総務省「平成29年度通信利用動向調査」)にとどまり、成功事例が数多く聞かれるようになった一方、課題も多く解決しなければならないことが様々にあります。

この記事では、政府の施策や導入事例などを解説・紹介しつつ、「興味はあるが課題が多くて解決できない」「興味はあるが導入方法がわからない」といった疑問にもお答えします。

 

2020年のテレワーク導入の目標値

2020年東京オリンピックに向けて日本では多くの変革が起こりますが、テレワークもこの例に漏れません。

政府は、多様な人材が継続的に活躍するためには、フレキシブルな働き方が欠かせないと捉え、世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(2017年5月閣議決定)によってテレワーク導入のKPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)を設定しています。

その目標値は2022年時点で2012年比較の3倍にあたる34,5%で、2017年度の実績は13.9%ですから、現状では20%の開きがあるというのが実情です。

オリンピックと働き方にどのような関係があるのかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、世界的にオリンピックを契機にした改革というものは頻繁に起こっています。例えば2012年ロンドンオリンピックでは、これを契機とした働き方改革でテレワーク実施企業は75%、柔軟な業務ポリシーを採用した企業は43%、ネットワークインフラを改善した企業は72%にのぼり、変革を成し遂げています。

海外のテレワーク先進国と比べると後れを取っていますが、日本におけるテレワーク推進に関連する取り組みは総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府に東京都及び関係団体が連携し、働き方改革の国民運動とも呼ぶべき政策を展開しています。

 

テレワークの分類

テレワークには、「雇用型テレワーク」と「自営型テレワーク」の2種類があります。

これが「ノマドワーク」と「テレワーク」が区別されている所以で、テレワークが一般的に企業に所属している方の働き方の一形態を指しているのに対し、ノマドワーク(ノマドワーカー)の方は一般的に特定のオフィス以外の様々な場所で仕事をする遊牧民スタイルです。したがって「自営型テレワーク」の方に近く、フリーランスなど特定の雇用主を持たない方に多く用いられます。

また、SOHOはテレワークの概念に含まれません。SOHOは「Small Office Home Office」の略で、自宅兼オフィスのビジネス形態です。主に小規模個人事業や個人会社で、「tele」が指す「離れた」場所にいるのではなく、むしろ本拠地にいるためです。

雇用型テレワーク

①在宅勤務

単に在宅勤務というと副業や内職を指す場合も多くありますが、ここでは「オフィスに出社せず自宅で仕事を行う」形態を指します。2018年現在、週に1~2日程度の頻度で行われることが多く、半日・時間・分単位での在宅勤務という働き方もあります。

育児休暇や介護休暇を取らなくても通常業務が成立したり、遠隔地に住んでいても上司や同僚と問題なくコミュニケーションが取れたりするなど、労働力の確保と個人の生活を両立させるという点で非常に注目度が高まっています。

②モバイルワーク

モバイルワークは、顧客先、移動中、出張先のホテル、交通機関の中、喫茶店などで仕事を行う形態のことを指します。クラウドサービスの種類が豊富になり、機能も充実してきているため、外出や移動時間の多い営業職を中心に積極的に受け入れられ始めています。

生産性向上を目的としているため比較的企業として導入のハードルは低いと言われていますが、一方で当の社員からは「移動中も気持ちが休まらない」という声も。

③サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務は、自社専用の本拠地以外のオフィスや共同利用型のオフィスで仕事をする勤務形態です。「大雪で電車が止まって都心に行くのが困難なため、今日は柏/大宮/八王子/千葉のサテライトオフィスに出勤する」といったことが可能で、在宅勤務やモバイルワークと同じく移動時間を短縮して業務に充てることが可能です。

また、「営業部は都心にあるが制作部は北海道にある」など、オフィス賃料や人件費、交通費の圧縮を目的としたサテライトオフィスの設置ケースも増加しており、積極的に誘致を行う地方自治体も多数存在します。

自営型テレワーク

自営型テレワーク(自営型テレワーカー)は、厚生労働省が2018年2月に改定・発行した「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」によれば『注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主として自宅又は自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成又は役務の提供を行う就労』と定義され、一般的には「フリーランス」と呼ばれています。従って法人化している場合はここに含まれません。またフリーランスは企業に常駐するタイプもあるため、フリーランスが必ずしも「自営型テレワーク」に該当するわけではありません。

 

企業のテレワーク導入事例 NECネッツエスアイ社

NECネッツエスアイ社は、同マーケティング本部長吉田氏によると、テレワークを導入するにあたって「社員一人ひとりが自律的に最適な働き方を設計できる」ように制度を整えたといいます。決して福利厚生ではなく、経営戦略としてテレワークを活用したといい、20名からのスモールスタートで検証を重ねて現在に至っています。

テレワーク型勤務スタイル浸透のために実行したこと

①テレワークでも労働時間を管理できるために、テレワーク勤務管理ツール「TeleworkWatch」を活用(Skype for Businessのプレゼンス情報を取得、データをローカルHDDへ保管)。

②「テレワーク・デイズ」に全国の支社・支店も参加。全国約120か所のサテライトオフィス等を整備して約4700人が活用、ホワイトカラーの80%が一斉利用し効果を体験。

③アンケートを実施し、業務成果を確認。オフィスと同等、または同等以上と回答した社員は97%にのぼり、マネジメント層も効果を把握、社員の意識共有をはかった。

テレワーク活用のイメージ

勤務時間をツール等できちんと管理しながら、社員が仕事と生活のバランスを自律的に1日7時間45分を設計できる勤務形態を実践しています。

会社に出勤する場合は8:30から17:15まで働くことが決まっていてプライベートのことはその前後でやることになりますが、変則型ワークスタイルならこの時間通りに働く必要がありません。

テレワーク活用を妨げる要因と解決手段

社員の視点では「サボっていると思われそう」「評価が落ちるのではないかという心配」「孤独・モチベーションを維持できないのではという心配」という本音、マネジメントの視点では「勤怠が見えないと不安」「どうやって業務管理したらよいのか」「本当にまじめに働いているかわからない」という本音がそれぞれあることがアンケートからわかり、NECネッツエスアイ社はこれを目の届く状態、つまりマネジメントの文化づくりが重要ととらえ、ICTの力と運用ルールで乗り越えました。

具体的には、テレワーカーとオフィスで働くメンバーの連携を促したり、目が届かない場所でもマネジメント側が勤務実態を把握や成果マネジメントができたり、逆に社員側が業務進捗状況の報告ができたりすることですが、特筆するべきことは「テレワーク開始前に必ず業務の棚卸を実施すること」です。これは以下の3ステップからなります。

①誰がどのような業務を行っているか内容を棚卸しする

②各業務の制約事項の有無を確認

③テレワークで実行可能な業務範囲の確認。必要に応じて業務プロセス・分担の見直し

この過程を経てテレワーク利用を開始することで、テレワークをきっかけに効率的な新しい業務プロセスを設計することができ、グレーゾーンや無駄な工程などを多数発見することにつながりました。

数字で見ると社員1人につき1日あたり30分の残業削減効果、介護中社員の介護目的での休暇利用日数が18日から5.5日に減少(12.5日の削減)、社内業務時間50%削減・お客様接点時間20%増大・イノベーションタイムの発生など、仕事と介護などの両立やキャリア形成支援につながり、これがテレワークの最大の効果であると考えられています。

テレワーク導入のメリットまとめ

・介護、育児との両立など業務継続と雇用維持

・ワークライフバランスの実現

・業務棚卸により働き方のプロセス・やり方を抜本的に見直せる

・マネジメント層の管理責任を明確にできる(グレーゾーンをなくせる)

・コスト削減(残業削減、紙資料削減、賃料削減)

・移動、待機時間の削減(業務やプライベート時間に充てられる)

・有能、多様な人材の確保

・育児休業からの復帰率上昇、復帰までの期間短縮

・非常災害時などにも事業継続可能(BCP対策)

・お客様満足度向上(時間や場所にとらわれないため対応速度上昇)

・地域活性化/地方創生の推進

・地方への移住促進、人口増加

・新しい産業の創出

 

テレワーク導入のデメリット/課題まとめ

・ICT機器やサテライトオフィスへの投資が必要

・サボっていると思われる、評価が落ちるのではないかなどの不安(従業員側)

・勤怠が見えない、業務管理をどうしたらよいのかという不安(マネジメント側)

・業務の棚卸は必須

・コミュニケーション不足

・プライベートとの区別がつかない

・自宅の通信インフラの不備

・労務管理

・運用ルール

・サポート体制

・業務の可視化

・企業側のマネジメント、システム、制度

 

コワーキングスペースの動向

telework=solowork=cowork

コワーキングスペースとは、シェアオフィスやレンタルオフィスとは異なり、実務を行う場所が個室ではなく図書館のようなオープンスペースとなっていることが特徴です。トヨタ自動車もサブスクリプションモデルを発表するなど、所有からシェアへとパラダイムシフトが起こっていることを背景に、事務所スペースだけでなく、会議室や打ち合わせスペースなどすべてのスペースを共有しながら、一方で仕事そのものはそれぞれが独立して行う共働ワークスタイルです。

teleworkは一般的に在宅勤務やフリーランス、起業家(特に一部のIT系起業家)など、比較的孤立した環境で働いているひとが興味を持つ傾向が強い(孤立を深めることや対人関係がなくなってしまう事への恐れを抱いている)ことや、自宅での就業を望まない雇用された労働者などのニーズが供給と一致して発展してきました。従ってコワーキングスペースにはコミュニティマネージャーが常駐して参加者同士をつなげたり、イベントを行ったりするなど、コミュニティ育成を重要視する傾向が強いことが特徴です。

日本における「コワーキングスペース」は、2003年にはじめてそれに相当する施設がオープンした時から約10年のあいだ、担い手はほぼ個人だったという歴史があります。大企業が担い手となって大規模化したのは2012年4月に東京渋谷のヒカリエにCreative Lounge MOVがオープンしてからで、現在のようにWeWorkのオープンが大きなニュースとして取り上げられ、注目される流れはここから始まっています。

新たな流れとしては、2016年11月にYahoo!JAPANオフィス内にオープンしたコワーキングスペース「LODGE」があります。むしろテレワーカーを呼ぶことでYahoo!社員とつながってもらいたいという意思が見えますし、2018年6月に発足した「軽井沢リゾートテレワーク協会」によっては、テレワーカーが軽井沢に移住するといった動きが起こっています。


【コワーキングスペースのWEBサイト(リンク一覧)】

アカデミーヒルズ六本木ライブラリー

コワーキングスペースカフーツ

パックスコワーキング

ハナラボ

Creative Lounge MOV

ビジネスエアポート青山

KOILパーク

LODGE

WeWork

 

ICTがもたらすこと

ICTなくして、テレワークは成立しません。ICT技術があり管理できるからこそ、企業もテレワーカーを信用し、また労働者側も安心して仕事をすることが可能です。

この技術が全くない状態は地縁組織で、農村や漁村など、1次産業社会だと考えられます。

いま私たちは職でつながる工業社会を経て、サードプレイスや緩やかなコミュニティでつながる情報社会に生きようとしています。

テレワークは、いつでも・どこでも・誰とでも仕事ができる環境で、組織を超えて誰と仕事をするか、そのために、時間と場所を選ぶ自由がワーカーにはあります。しかし自由になった一方で孤立化、孤独のリスクや不安が常にあり、それを逃れるために企業や地域、サードプレイス内にコミュニティを求める傾向にあります。

近年オンラインサロンが急速に発展しているのはこうした流れを受けてのことで、人々は新たなつながりを求めていると考えられます。

 

政府の取組①総務省

まず前提として、テレワークに関する府省連携を強化するため、2016年7月から関係府省連絡会議が開催されています。

取りまとめの主務官庁たる総務省が「ICT活用による社会変革実現」、厚生労働省は「多様な働き方の実現」、経済産業省は「企業価値向上」、国土交通省は「都市部への過度の集中解消と地域活性化」、内閣官房・内閣府は「関係4省と連携し、女性活躍、ワークライフバランスの実現、国家公務員のテレワーク導入」等をそれぞれ担当、強力に推進しています。

これほど多くの府省が参加する政策は非常に稀で、政府肝煎の政策であることがわかります。

ふるさとテレワーク推進事業

ICTを活用して、地方でも都市部と同じように働ける環境を実現するための政策を「ふるさとテレワーク推進事業」といいます。導入する自治体等に対して、環境整備に必要な経費の補助などを上限3000万円として実施しています。

都市部の企業から地方のサテライトオフィス等へ人材や仕事が移転することで、地元消費や観光消費の期待があるとともに、そのまま地元での起業や子育て・介護などでの離脱を防ぐ効果を見込んでいます。

ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業拠点の整備は平成27年度の15か所から3年で55か所まで増加しており、地域の実情や企業のニーズに応じた有効なモデル検証が継続されています。

>>>「ふるさとテレワーク ポータルサイト」リンク

 

地域実証事業(2015年度)の実施地域(15か所)

・北海道北見市/斜里町

・北海道別海町

・岩手県大船渡市

・福島県会津若松市

・山形県高畠町

・群馬県高崎市

・長野県塩尻市/富士見町/王滝村

・長野県松本市

・京都府京丹後市

・奈良県東吉野村

・和歌山県白浜町

・徳島県鳴門市

・福岡県糸島市

・佐賀県鳥栖市

・沖縄県竹富町

補助事業(2016年度)の実施地域(22か所)

・北海道美唄市

・北海道ニセコ町

・岩手県遠野市

・新潟県上越市

・富山県高岡市

・群馬県みなかみ町

・千葉県旭市

・山梨県甲府市

・長野県松本市/塩尻市

・長野県駒ケ根市

・岐阜県郡上市

・京都府南丹市

・奈良県三郷町

・和歌山県白浜町

・兵庫県丹波市

・徳島県那賀町

・高知県土佐町

・福岡県田川市

・福岡県糸島市

・長崎県壱岐市

・長崎県南島原市

・熊本県熊本市

補助事業(2017年度)の実施地域(11か所)

・青森県青森市/弘前市

・宮城県気仙沼市

・福島県田村市

・長野県白馬村

・長野県木曽町

・群馬県太田市

・千葉県勝浦市

・愛知県豊田市

・島根県川本町

・岡山県倉敷市

・宮崎県椎葉村

補助事業(2018年度)の採択候補先(7か所)

・北海道長沼町

・栃木県宇都宮市

・栃木県栃木市

・長野県立科市

・福井県福井市

・熊本県天草市

・沖縄県宮古島市

「2020年に向けたテレワーク国民運動」プロジェクト

2012年のロンドンオリンピックで、企業の約8割がテレワークや休暇取得などの対応を行って市内の混雑を解消、レガシーとして定着したという事例から、2020年東京オリンピックでも、テレワークは国内外から集まる観光客による交通混雑回避の切り札になると考えられています。

そこで、「まずやってみる」ために東京オリンピック開会式が行われる7月24日を「テレワーク・デイ」と設定し、2017年から2010年までの毎年、企業などによる全国一斉のテレワークを実施しています。交通混雑の緩和だけでなく、企業がテレワークに取り組む機会を創出し、東京オリンピックをきっかけとして日本社会に働き方改革を定着させることが狙いです。

第1回の2017年7月24日には北海道から沖縄まで、情報通信分野などのだけでなく、製造、建設、保険など幅広い業種の企業、自治体など、約950団体63000人が参加しています。

2018年は「テレワーク・デイズ」として7月23日~7月27日までの平日5日間に連続で開催し、1682団体、延べ30万人以上が参加しています。これは2017年対比で参加団体数1.8倍、参加者数で約4.8倍に相当し、さらにテレワーク・デイズ2018期間中、東京23区への通勤者が延べ約41万人減少(出典:KDDI×コロプラ「Location Trends」)したというビッグデータの解析結果もあり、国が中心となって本気で「国民運動」を起こそうとしていることがわかります。

参加した団体・企業に実施したアンケートによれば、90%以上の企業が「移動時間の短縮」と「生産性の向上」に効果があったと回答し、評価されています。また75%が「勤労者の生活環境の改善」、58%が「身体障害者、高齢者、育児者、介護離職者等への対応」に効果があったと回答し、ワークライフバランスや生活の質を向上させることに大きな効果が期待できる結果となりました。

一方で「ICT機器に投資ができるのは大企業だけでは?」という疑問が浮かぶ方もあるかもしれませんが、テレワーク・デイズ2018に参加した企業の45.8%は社員99名以下の規模で、むしろ中小企業が主役であることがわかります。ICT機器は、必ずしも高価なものではありません。

 

政府の取組②厚生労働省

厚生労働省在宅労働課の紀井氏は、「テレワークというツール運用のために適正な労働環境実現が大切」と話します。適正な労務管理課における良質なテレワークを普及促進するため、テレワークガイドラインを活用した企業等の導入支援を行うとともに、引き続き、先進企業の表彰等を通じた機運の醸成やサテライトオフィスの活用方法の検証などを実施するとしています。

施策は大別して3つあり、①適正な労務管理課における良質なテレワークの導入支援 ②テレワーク普及にかかる機運の醸成 ③テレワークの活用方法に係るサテライトオフィスのモデル募集 となります。

①は2017年に刷新されたテレワークガイドラインの周知啓蒙や助成金拠出、テレワーク相談センターの設置・運営などがあげられます。②は企業向けセミナーやイベント開催、厚生労働大臣表彰の「輝くテレワーク賞」、③はサテライトオフィスの設置と有効な活用方法のモデル構築があります。表彰こそニュース等で目にするものの、それ以外の施策についてはかなり興味を持って調べていなければ一般的には触れることのない情報が多々あり、「テレワーク」にかかるプロジェクトの進捗度は現状芳しくないことがうかがえます。

しかし「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」が2018年2月に策定されたり、労働基準関係法令(労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法など)が適用されることが確認されたりするなど、粛々と法制度も整備が進められています。

 

政府の取組③経済産業省

経済産業省 情報政策局 情報技術利用促進課の八日市氏によると、経済産業省は、テレワークをてこにした産業創出や経済振興を考えています。

これはテレワークがBCPBusiness continuity planning。事業継続計画。災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画)の観点からも有効的で推奨されることも含め、働き方が変わると新たな産業が生まれるためです。

先述のコワーキングスペースや管理ツールはもちろんのこと、テレワーク向けサテライトオフィスを地方に設置すると地方創生につながり、地方への移住促進や人口増加も見込むことができます。

農業の分野でも、テレワークは成立します。スマート農業と総称されるところから、災害や高齢化などで田畑や牧場に行くことが困難な方のための遠隔監視・管理のできるツールや、歩行などが困難で職場に行くことができない障害者の方の戦力化、介護や育児を両立できる可能性がるため仕事と家庭どちらかをあきらめるリスクを減らすことができるなど、従来は退職せざるをえなかったりリスクを冒さなくてはならなかった課題を解決することにも役立ちます。

また、テレワーク利用者が増えたときに増加するであろうニーズを見越したサービスもすでに開発されていて、たとえば主に女性向けに、外出をしないと化粧をしないため、映像越しの化粧アプリなどがあります。

 

導入支援体制

テレワークマネージャー派遣事業(総務省)

テレワークマネージャー派遣事業は、企業・地方公共団体などの働き方改革の導入実績を持つ総務省認定の専門家「テレワークマネージャー」を無料で派遣する制度です。

全国各地を専門家が訪問し、「働き方改革の効果」や「働き方改革を促進するツール」などを説明、トライアル・正式導入に向けて企業規模を問わず支援が受けられます。

>>>派遣されるテレワークマネージャーの例(NTTデータ経営研究所WEBサイト)


【総務省平成30年度テレワークマネージャー派遣事業の応募詳細】

・申込期間:2018年10月9日(火)~2019年2月28日(木)

・支援機関:2018年10月9日(火)~2019年3月8日(金)

・支援回数:3回まで ※1回当たり最大6時間、Webツール活用等により遠隔対応も可

WEBサイト

申し込み・お問い合わせ

 

【所属企業・団体の直面している経営課題は?チェックリスト】

□ 営業職等が移動中のすきま時間や待機時間を有効活用して、生産性を向上させたい

□ せっかく採用・育成した従業員が育児・介護や配偶者の転勤離職するのを何とかしたい

□ 「仕事の見える化」を実践し、無駄な仕事を削減して長時間労働をなくしたい

□ 突発的な災害・事故インフルエンザパンデミック等への対策を行う必要性を感じている

□ 通勤負担がない在宅勤務にトライアルしてみたい

情報漏洩対策情報管理施策徹底した上で、どこでも働ける「モバイルワーク」や「サテライトオフィス」の活用など環境整備を行いたい

□ 「ダイバーシティ経営」「ワークスタイル変革」に早めに着手し、活力ある組織にしたい

□ グローバル化が進み、早朝・深夜の会議が従業員の負担になっている

 

ワークスタイル変革コンサルティング(東京都産業労働局)

ワークスタイル変革コンサルティングは、都内企業のテレワークを推進していくために東京都産業労働局が推進する、専門のコンサルタントが企業を訪問し課題解決から導入支援までを無料で行う制度です。コンサルティングは最大5回、各回約2時間、対象は東京都内に事業所がある従業員数999名以下の企業等が対象になります。

企業ごとに合わせたゴール設定やプロジェクト推進体制の作り方などグランドルールの策定や、課題を特定した上での自走できる解決法の提示など、踏み込んだ具体的なコンサルティングを受けることが可能です。


・利用方法:ホームページより申し込み

・申込期限:2019年1月31日(木)(予定)

ホームページ

 

東京テレワーク推進センター

東京テレワーク推進センターは、テレワークの普及を推進することにより、企業における優秀な人材の確保や生産性の向上を支援するために東京都と国が設置した施設です。

ICT機器の常設展示コーナーがあり、目的や課題、導入進捗状況に合わせて機器やサービスを体験・比較検討できます。最新のテレワークツールも体験でき、製品の各種パンフレットやテレワーク関連書籍、制度改定や助成金情報(厚生労働省の「時間外労働改善助成金(テレワークコース)」など)、テレワーク実践企業の事例動画など、テレワークに関する情報を網羅的に収集することが可能です。

また、面談以外にも電話やメールでの相談にも対応していて、労務管理の訪問コンサルティング(訪問3回まで無料)を受けることも可能です。

コンシェルジュが相談に乗ってくれて、内容によっては専門の相談員につないでくれるなどあらゆる疑問を解決できるようになっています。


所在地:東京都文京区後楽2-3-28 K.I.S飯田橋ビル6階(各線飯田橋駅より徒歩4分)

営業時間:平日9時~17時

WEBサイト

テレワーク関連事業

テレワーク活用・働く女性応援助成金(テレワーク活用推進コース)

公益財団法人東京しごと財団が支援する、企業における働き方改革の推進に向けたテレワーク環境の整備を目的とした助成制度です。在宅勤務、モバイル勤務などを可能とする情報通信機器等の導入および民間サテライトオフィスの利用に対し、それぞれ経費の1/2、限度額250万円の助成が受けられます。

詳細はWEBサイトをご確認ください。

時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

厚生労働省が行う、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主を対象にした助成制度です。時間外労働の制限その他の労働時間などの設定の、改善及び仕事と生活の調和の推進のため、実施に要した費用の一部が助成されます。

テレワーク機器の購入・運用費や保守サポートの導入費、外部専門家のコンサルティング費など対象となる項目が複数あります。

業種、資本または出資額、常時雇用する労働者数によっても助成額が違うので、詳細はWEBサイトをご確認ください。

 

労務管理の訪問コンサルティング

厚生労働省が支援する、仕事と生活の調和の推進のためにテレワークに取り組む企業を支援することを目的として労務管理コンサルタントの派遣を3回まで無償で受けられる制度です。受付は「テレワーク相談センター」になります。


電 話:0120-91-6479

メール:sodan@japan-telework.or.jp

所在地:東京都千代田区神田駿河台1-8-11 東京YWCA会館3階 一般社団法人日本テレワーク協会内

WEBサイト

テレワークを導入している企業120社

下記テレワーク導入企業一覧は50音順です。また、社名の表記はすべて「テレワーク・デイズ 特別協力団体 実践事例集」(2018年)の記載に準じております。

※「テレワーク・デイズ2018」に参加している団体だけでも1380団体あり、下記一覧はテレワーク導入企業のすべてではありません。

 

【テレワーク導入企業:テレワーク・デイズ2018特別協力団体一覧】

・味の素株式会社

・アスクル株式会社

・アフラック生命保険株式会社

・株式会社イトーキ

・伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

・株式会社イマクリエ

・独立行政法人医薬品医療機器総合機構

・ヴイエムウェア株式会社

・SCSK株式会社

・NECネッツエスアイ株式会社

・株式会社NTTアド

・エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社

・NTTコミュニケーションズ株式会社

・NTTコムチェオ株式会社

・NTTテクノクロス株式会社

・株式会社NTTデータ

・株式会社NTTデータ関西

・株式会社NTTドコモ

・株式会社NTTファシリティーズ

・株式会社荏原製作所

・MSD株式会社

・株式会社オカムラ

・沖電気工業株式会社

・株式会社KADOKAWA

・カルビー株式会社

・株式会社ぐるなび

・KDDI株式会社

・株式会社建設技術研究所

・コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社

・コクヨ株式会社

・コニカミノルタジャパン株式会社

・五洋建設株式会社

・サイオステクノロジー株式会社

・株式会社ザイマックス

・株式会社サーバーワークス

・JFEエンジニアリング株式会社

・株式会社JSOL

・JBグループ

・株式会社JVCケンウッド

・シスコシステムズ株式会社

・株式会社システムエグゼ

・新日鉄住金ソリューションズ株式会社

・株式会社ストライプインターナショナル

・住友林業株式会社

・積水ハウス株式会社

・株式会社セールスフォース・ドットコム

・全日本空輸株式会社

・株式会社ゼンリン

・ソフトバンク株式会社

・ソフトバンクコマース&サービス株式会社

・損害保険ジャパン日本興亜株式会社

・第一生命保険株式会社

・株式会社大京

・大日本印刷株式会社

・大和ハウス工業株式会社

・武田薬品工業株式会社

・田辺三菱製薬株式会社

・都築電気株式会社

・TIS株式会社

・株式会社テレビ朝日

・株式会社電通国際情報サービス

・東急建設株式会社

・東京海上日動火災保険株式会社

・東京急行電鉄株式会社

・東京地下鉄株式会社

・東京電力ホールディングス株式会社

・徳島県

・株式会社ドコモCS北陸

・ドコモ・システムズ株式会社

・トレンドマイクロ株式会社

・長野県

・日清食品ホールディングス株式会社

・日本アイ・ビー・エム

・株式会社日本HP

・日本航空株式会社

・日本国土開発株式会社

・日本コンセントリクス株式会社

・日本情報通信株式会社

・日本生命保険相互株式会社

・日本電気株式会社

・日本電信電話株式会社

・日本ユニシス株式会社

・ネットワンシステムズ株式会社

・株式会社野村総合研究所

・株式会社パソナテック

・パーソルテンプスタッフ株式会社

・パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

・株式会社バンテック

・東日本電信電話株式会社

・株式会社日立社会情報サービス

・株式会社日立製作所

・株式会社ブイキューブ

・株式会社フォーバル

・株式会社フォーラムエイト

・富士ゼロックス株式会社

・富士ソフト株式会社

・富士通株式会社

・富士通エフ・アイ・ピー株式会社

・株式会社富士通総研

・プラス株式会社

・株式会社ブリヂストン

・ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ

・株式会社ベルシステム24ホールディングス

・マニュライフ生命保険株式会社

・三井情報三井情報(MKI)

・三井不動産株式会社

・三井不動産レジデンシャルサービス株式会社

・三菱地所株式会社

・株式会社MUGEN UP

・株式会社明電舎

・ヤフー株式会社

・ヤマトシステム開発株式会社

・UQコミュニケーションズ

・ユニアデックス株式会社

・株式会社ラック

・株式会社LIXIL

・株式会社リコー

・リコーITソリューションズ株式会社

・株式会社レオパレス21

・YKK AP株式会社

出典一覧

世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(2017年5月閣議決定)

・総務省「平成29年度通信利用動向調査」

・総務省「働き方改革のためのテレワーク導入モデル」(2018年6月)

・総務省/経済産業省「テレワーク・デイズ 特別協力団体 実践事例集」(2018年)

厚生労働省「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」(2018年2月)

厚生労働省「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」

・国土交通省「平成29年度テレワーク人口実態調査」

一般社団法人日本テレワーク協会「2020年に向けたテレワークによる働き方改革を推進するための7つの提言」(2018年6月)

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