マーケティングの「プロになるための」&「プロとしての」キャリアの歩み方

マーケティングの「プロになるための」&「プロとしての」キャリアの歩み方

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この記事は、「マーケティングのプロになるために、どのようなキャリアを歩んでいけばよいのか」、そして、「マーケティングのプロとしてさらなる成長を遂げていくために、今後どのようなキャリアを歩んでいけばよいのか」について、あなたご自身が自ら考えていくためのヒントとなるような材料を、網羅的にまとめています。

巷には、「こういうテクニックを有している人がプロである」というような<手法論>や、「このような考え方で仕事できる人がプロである」というような<思想論>(―もはや<根性論・精神論>と呼んだほうがよさそうなものもありますが―)が溢れています。

が、真の意味においてプロとなり、また、プロであり続けるということは、手法論を超越し、なおかつ、思想論の対極にある極めて実践的な努力が求められる話なのです。

 

あらためて、「プロ」とは何だろうか?

「プロ」とは何か

プロというのは、単純に「高度な能力(スキル/ケイパビリティ)を有している人間である」ということではなく、本来「常に(いかなる環境においても)、期待を上回る(自己満足でもなく、顧客の要望を単純に満たして終わりというだけでもなく)、驚嘆に値する成果を出し続けることができる人間である」、ということに尽きます。

ましてや、肩書、受賞歴、業界遍歴、有名さ(知名度)、給与水準などでもって測るものでもありません。

そして、「過去に成果を出してきた」という意味での<経験/実績>すら、プロがプロであることの証左のひとつにはなりえるものの、「過去に成果を出してきた」からといって「これからも成果を出せる」とは限らないわけで、<経験/実績>があることすなわち「プロである」ということにもなり得ないわけです。「プロである」ためには、成果を出し続けるために必要な能力を絶えず更新し、良好なコンディションを常にキープしていくことが、求められるのです。

このように、「プロとなり」「プロであり続ける」ということは、たいへん厳しい道のり(=「キャリア」)でありますが、いっぽうで、周囲からも、それどころか自分自身の内心からも、「成果を出せていないな」という思いを持たれながら悶々とした日々を送るのに比べ、「プロとして仕事をする」ということがどれだけ幸せな仕事人人生であるかについては、語る必要もなかろうと思います。

 

マーケティングの世界における「プロ」とは何か

マーケティングの世界におけるプロとしての成果とは、シンプルに、「マーケットにフィットする企業運営を実現する」ということに他なりません。極めてシンプルです。

この成果を出し続けることができる「マーケティングのプロ」であり続けるために、キャリアを歩んでいくことが肝要です。キャリアは、自ら選択するものです。ただ単に、与えられるがまま、評価されるがまま、一直線に役職テーブルや給与テーブルの階段を登っていくだけでは、いずれ能力が陳腐化し、「成果を生み出すために真に必要な能力」が自分から完全に失われてしまっていることに、はたと気が付いてしまうやもしれません。その時には、もはや致命的なほどに、自らが「マーケット」から乖離してしまっている状態なのです。

そのような道を歩んでしまうことがないように、むしろ、遠回りや、冒険に思えるような<挑戦>を絶えず続けていくことこそが、プロフェッショナルであり続けるための、唯一の道(ーキャリアー)なのです。

人材市場において、「そんな能力をお持ちで、そんな肩書をお持ちで、そんな実績をお持ちなのですね。すごいですね」と言われるのではなく、「そのタイミングでそんな決断をして、そんなことにも挑戦されてきたんですね。おもしろいですね(笑)」と言われるような道を歩んでいく、ということです。プロフェッショナルの視界には、ただ、現在進行形の未来だけが広がっているものです。

 

あらためて、「マーケティング」とは何だろうか?

今まさに大きく変容しつつある「マーケティング」

「マーケットにフィットする企業運営を実現する」というマーケティングの究極目的は、どれだけ時代が変わろうとも、不変です。この目的を実現するための「手法論」や「成功事例」については、時代により、また、業種等により変化するものではありますが、究極目的は、変わりません。

しかしながら、「マーケット(市場、社会背景、消費者心理)」のありかたの側が、時代のうねりとともに中長期的に大きく変化していくものですから、「マーケットにフィットする」ということの意味合いも、中長期的に変化していきます。したがって、「マーケティング」も(テクニック論的な意味ではなく)そのありようを中長期的に変化させていくものなのです。

インターネットの誕生、そして、先進国群における全世界的な経済成長の鈍化といったメガトレンドのうねりを受けて、21世紀に入り、「マーケティング」のありかたは、今まさに大きく変容しつつある最中である、と言えます。

 

「マーケティング」の広がり

非常に単純化して、現代におけるマーケティングのモデルを考えてみます。

図は、現代のマーケティングの基礎となる構造、つまり、マーケットと企業活動の間の関係性を、概念図として絵に落としたものです。長年の<マーケティング>概念の進化を経て、現代のマーケティングの世界は、たいへんな広がりを持つに至っています。

 

マーケティングのコア

マーケティングのはじまりは、純粋に、「製品・サービス自体の機能価値・便益(ベネフィット)」を、いかにして、顧客が顕在的・潜在的に有するニーズにフィットさせていくか、というところから起こっています。どれだけ周辺分野が広がろうが、マーケティングのコアがこの部分にあることは変わりません。

原始的なイメージでいえば、<塩屋さんが、試行錯誤を続けながら、味気ない塩や、辛すぎる塩をつくっては顧客に叱られながら、徐々に、顧客にとってちょうどいい「いい塩梅の塩」を製造販売できるようになるようなプロセス>です。いたってシンプルです。

現代にいたるまで「顧客を知る」ためにさまざまな方法論が開発されました。単なる「アンケート」や「デプスインタビュー」のような方法論からスタートし、顧客の深層心理や社会の空気感を読み取る技法、また、時にはそれらを方向付けたりするためのテクニックが、さまざまに開発されています。現在はこの分野においても急速なデジタル化が進んでおり、ビッグデータの解析によるパターン化・需要予測などが行われるようになってきています。

また、「フィットのさせかた」についても、さまざまな方法論が開発され続けてきました。

典型的なものとしては、やはり、進化した情報技術の活用によって、<ひとりひとりのお客様ごとに異なるニーズの機微にきめ細かくフィットさせていこう>とするためのテクニックの数々でしょう。One to Oneマーケティング、CRM……、ビジネス系のバズワードが、夜空に輝く星のように数多生まれては消え、そうした転変を経ながらも、この分野は、この20年で大きく進化を遂げました。

顧客対応は、もはや機械学習によるAIロジックのリアルタイム自動生成が行われるまでに進化を遂げてきています。マーケティングのプロであるためには、「基礎として」、当然これら最先端のマーケティング・メソドロジーについて、理解し、実践できるようにしておかねばなりません。デジタルマーケティングについての素養は、これからの時代にマーケティングのプロとして活躍するための「大前提として」身につけていく必要があるでしょう。「どうせマーケティングの仕事はAIによって代替される」といった単純な話ではありませんので、手法論として、しっかりとおさえておく必要があるでしょう。

そのための手段のひとつとして、デジタル領域に関する副業を積み、自らの知識や実務的スキルを絶えずバージョンアップしていく、ということも有効な手立てとなるでしょう。特に、本業においてこれらのデジタルマーケティングから離れた領域を専門とされているマーケティング関連職種の方々にこそ、お勧めです。本業において立場がある方でも、副業においては、副業ですから、気取らず、気負わず、ゼロから基礎的なマーケティング実践に勤しむのでもよいのです。回り道に思えるかもしれませんが、自らが手を動かして(つまり、さまざまなデジタルツールや最先端技術を駆使して)、顧客とのつながりを創り出す経験から逃げないことを続ければ、必ずや「マーケティングのプロであり続ける」ための大きな糧となるはずです。

 

合理性を超えた世界をマーケティングする ―ブランディング領域―

さて、マーケティングの世界においては、ある意味では「わかりやすい(科学的・論理的・戦略的に「解」を導きやすい)」とも言える、「製品・サービス自体の機能価値・便益(ベネフィット)を、いかにして顧客が顕在的・潜在的に有するニーズにフィットさせていくか」という領域を超えた、<合理性を超えた世界>、つまり<なぜか、この製品・サービスを手に取って選んでしまう>という状況をいかにして作り出すかを追求していく、<ブランディング>の領域があります。顧客との間に「心理的紐帯」をつくりだす営みの総体です。

この領域においても、メディア・通信技術の進化に伴う広告・コミュニケーション分野の進化、デザイン・表現技術の進化、そして、「記憶に残る」体験価値創出のための<店舗・物理空間とオンライン・デジタルの融合にかかわるイノベーションの発明>を通じて、「顧客の心をつかむ」ための手法論が次々に開発されてきました。いっぽう、それらは時代の流れと共に陳腐化し、また新しい手法論が誕生する、というサイクルが、長い間、繰り返されてきました。

「~~~っていいよね」「わたしは~~~が好き」という、よくわからない、しかし確実に存在する<顧客の気持ち>を創り出す、という<ブランディング>の究極の目的は変わっていないのですが、その手法論は絶えず変化してきたのです(直近の大成功事例としては、Hazuki Company株式会社の、「ハズキルーペ、好きだな。」「ハズキルーペ、だいすき。」があまりにも有名です)。

 

「人を動かす」ということはすなわち「心を動かす」ということであり、そのプロが、マーケティング、とりわけ、ブランディング領域におけるプロである、ということになります。

この世界でプロであり続けるということは至難の業ですし、方法論も、決して、再現可能な形で体系化されているものでもありません。そのため、この領域におけるプロとなるための道筋として、巷でよく言われているのが、「発想力」であるとか「人間力」を高めよ、というようなことであり、いわく、「よく遊べ」「たくさんの人と交われ」「センスを磨け」というようなことが、プロであり続けるための秘訣であるとして語られます。

もしくは、「マーケターは、アート思考・デザイン思考を身につけよ」「マーケターは、心理学や行動経済学を学びなさい」といったようなことも語られます。ある一面において、それらは真実ではありつつも、一歩間違うと、自己本位な発想しかなし得ない「プロ崩れ」へと、ズレていってしまうものです。

そうではなく(それだけではなく)、やはり、真摯に「社会の世相、顧客の心理に向き合い続ける」ことが、この領域でプロであり続けるために最も重要なことであることを忘れてはなりません。「なぜ世の中は(この人は)この商品に、このように反応したのだろうか?」といったことを、常に考え抜き、深層にある心のさざ波を捉える力を維持していくことが重要です。

そのための手段のひとつとして、副業の活用によって、普段交わらない世界との交わりを持つということが考えられます。常識だと思っていたことが常識ではなかった、というような<気づき>が得られることも、多々あるものです。もちろん、始業前・終業後や、休日・休暇の時間で得られる人脈や、様々な体験も、マーケティングのプロとしての能力に<刺激>を与えてくれるものではありますが、それ以上に、副業を通じて(つまり仕事として)マーケットと向き合う中で得られる<刺激>は、マーケティングのプロであり続けるために、おおいにプラスに作用していくことでしょう。

 

「人と人としてつながる時代」におけるマーケティング

さて、現代においては、マーケット自体(すなわち社会の空気感・消費者心理自体)が、中長期的な変化のうねりによって、徐々にですが、大きな変容を遂げようとしています。

「経済成長しない時代」「先行き不安な時代」の空気感にさらされ続けた結果として、消費者の財布の紐はきわめて固くなり、自分の内心から心底湧き上がってくる「ニーズ」を除けば、<欲望>をことごとく削ぎ落したかのようなタイプの消費者が、徐々にですが、増加しつつある時代であると言われています。

そうした中、顧客が「だまされなくなってきている(簡単には動かなくなってきている)」というのが、現代のマーケットの特性であり、顧客が「表層的なイメージ戦略に乗らなくなってきた」時代である、とも言えます。そのような時代の流れを受け、企業活動には、より「真摯さ」が求められるようになってきています。

ブランド、イメージ、メッセージ、こうしたものの背景に、確固たる、企業体としての企業理念・ミッション・ビジョンが存在しているのかどうか」。そして、「その企業体を立ち上げるに至った創業者、そして、その思いに共感して集まった社員達がもつ信念や思いというものが、はたして、本当に、表看板に掲げられた企業理念・ミッション・ビジョンと合致したものであるのか」。このような点を、顧客が鋭く注視してくる時代になった、ということです。

いままでは、こうした側面は、そもそも、顧客にとっては、「見ようと思っても見えないもの」でした。ところが、インターネットの登場により、いまや、「企業の真の姿が見えてしまう」、いや、「企業の真の姿を知ってもらえるようになった」のです。そして、「商品と顧客」、「会社と顧客」といった関係値を超えて、「人としての社員と、人としての顧客」として、つながりあえるようになったのです。そこに「人間的紐帯」が生まれた時、(他社が容易には真似できず、かつ、簡単には断ち切れず、そして何より、顧客に深い満足感を与えうる、という意味で)究極の「マーケットフィット」が実現します。(この逆が、いわゆる「炎上」です。「炎上」により、ブランドは、時により企業体そのものが、一瞬で、崩壊します。)

この分野においても、テクニックとしての手法論が、次々と誕生しています。「炎上マーケティング」はそのわかりやすい典型ですが、「<中の人>によるオウンドメディアを通じた情報発信」、「コミュニティ・マーケティング」、「インフルエンサー・マーケティング」、「アンバサダー・マーケティング」、「人材PR」……などといった手法が、その一例でしょう。こうした<手法論>を学び実践することも重要ではありますが、より重要なことは、目的です。

目的は、顧客との間に、わかちがたい、人間的紐帯をつくりだすことです。社長を筆頭に、社員が、自ら、自らの言葉で、語り続けること直接、顧客と、交わり続けること。シンプルに、これ自体が、究極のマーケティング活動であるわけです。「広報」と似ていますが、完全に同一ではありません。大切なことは、「理念」を語ること、そして、「広くパブリックに報じる」のではなく、「マーケットと交じり合う」ということです。

 

ブランディングの時代が終わった、ということではありません。むしろ、これからますます、ブランディングが重要となる時代になります。<企業の真の姿>と<ブランド・メッセージ>が結びついた時、<ブランド>は、より強固なものになります。

したがって、もともと全く関係がないかのように見えていた職種領域、すなわち、「人事」という職種と、「マーケティング」という職種が、交わり、融合し始めようとさえしているのです。さらに突き詰めて言うならば、こうした次元におけるマーケティングの取り組みは、「われわれは、なんのために、この事業を営むのか」という問いに対しての答えを導いていくという作業そのものですから、それはつまり、「経営そのもの」であるわけです。経営の仕事とマーケティングの仕事は、いよいよもって、同一の軸で結び付いていくことになっていくわけです。

 

マーケティングの「プロになるための」&「プロとしての」キャリアの歩み方

ここまでで見てきました通り、マーケティングは、(生まれては消える「テクニック」の流転とは別に)いま、静かに、その形を大きく変容させつつあります。しかしながら、究極のゴールが、「マーケットとフィットした企業活動を実現する」ということにある点は、変わりません。そのような時代背景の中で、マーケティングのプロになるための/プロとしてのキャリアを、どのように形作っていくことが望ましいといえるでしょうか。

 

常に、生々しい「現場」としての<マーケット>に、身を置き続けられるキャリアを歩もう

まずは、どのような道を選択していくのであれ、「顧客の反応を自らダイレクトに受け止められる場所であるか」ということが重要でしょう。ストリート感覚を忘れてしまっては、マーケティングのプロとしては、もはや時代的役割を終えてしまっているも同然です。その意味では、副業を通じ、さまざまな製品・サービスのマーケティング活動に携わることは有益なキャリア形成につながるでしょう。大企業においてマーケティング分野において重要な役割(職責)を果たされている方の中には、自ら顧客と近い立ち位置でマーケティングの実践を行うことが立場上現実的に難しい状況にある方も多いと思います。いっぽう、小規模な企業体のマーケティングを手伝ってあげる「副業」であれば、より生々しい「マーケット感」を、きっと、肌身で感じていけるはずです。

自分の専門の業種の商材ではないからな……などと考える必要はありません。むしろ、まったくの別業種の人間が、客観的な視線でマーケティングを行うからこそ、先入観・固定観念にとらわれて見えてこなかった「真のマーケットの姿」を捉えることができるのです。

 

固定観念にとらわれず、あなただけの独自の「マーケター像」を作り上げるためのキャリアを歩もう

新しいマーケティングは、常に、新しいマーケットの発見と共にあります。それは、新しい「概念」の発見でもあります。マーケティングのプロは、先入観・固定観念にとらわれていてはいけません。「グルーピングの罠」に陥ってしまってはなりません。

「20代女性といえばファッションとメイクに関心が高く……」、「最近の若者、Z世代の特徴は、理想をもたず現実主義的なところであり……」そんな、紋切り型のマーケティングの時代は、もう、とうの昔に終焉しています。ひとりひとりそれぞれに、それぞれの人生のストーリーがありますそのストーリーを捉えて、そのストーリーにふさわしい製品やサービスを、世に送り出していく。そうして、新しいマーケットが誕生するわけです。

「マーケティングのプロ」であるならばこそ、もはや、「マーケター」という枠組みにとらわれていてはいけません。クロスファンクショナル(スキルの掛け算)というような、ありがちな軽い話でもありません。「マーケター」という固定概念を打ち破らなければなりません。眼鏡をかけて、机でエクセルをカチャカチャいじって、「顧客の7割がこうしたポイントに魅力を感じております」などと会議で報告するだけのようなタイプの職業人だけが、「マーケター」ではないのです。

まるで証券マンが株価をにらみ続けるように、常に世界中の最先端の「流行」をチェックして、その「流行」を咀嚼・変換して斬新なクリエイティブに落とし込むための方向を形作るタイプの職業人だけが、「マーケター」ではないのです。あらゆる「マーケター」の典型的イメージから乖離していくことです。「マーケティングのプロ」であるならばこそ、マーケットにディープダイブしましょう。そして、あなたしかいない、独自のキャリア・パスを築き上げて、どんな典型的イメージとも異なる、唯一無二の、「マーケティングのプロ」を目指していきましょう

 

マーケティングのプロが「経営」へと至る道―キャリアパス―とは

述の通り、「マーケティング」は、煎じ詰めれば「経営」へと至る道です

マーケティングのプロが辿るキャリアとして、「経営」へと向かっていく、という道筋は、極めて自然な道であると考えられます。とはいえ、マーケティングに対する理解が深い企業であれば別ですが、中には、マーケティング出身の役員すらいない・マーケティング分野の役員(CMO:Chief Marketing Officer等)すら置かれていない企業すら存在します。マーケティング畑出身の「社長(経営者)」も、少ないと言われています。

これはなぜでしょうか?言ってしまえば、誤解や偏見の類ではあるのですが、マーケティングが「業績の創出から最も遠い業務」とみなされており、単なる「分析屋さん」とみなすような企業文化をもった企業が、まだまだ多いためではないでしょうか。多くの場合、経営の「本流」には、事業部門、とりわけ、商品開発・製造畑、営業畑、財務畑、といった、「作って、売って、稼ぐ」、その営業サイクルそのものを回す部門で経験を積んできた人間が「たたき上げ」として辿り着いていくことが多いようです。マーケティングが、きわめて俯瞰的で包括的な仕事であり、経営そのものともいえるような、企業活動の方向性を指し示す仕事であるがゆえに、逆説的に、<経営>のポジションへと辿りつかせることを困難にしている状況が、ままあるのです。マーケティングのプロとしては、いずれこの「壁」を乗り越えていかねばならないのです。

 

事業部門にディープダイブする

マーケティングのプロとしては、「あいつは分析屋だもんな」「あいつはしょせん評論家だ」などと呼ばれてしまわないような努力が必要です。逆に言えば、そのように言われない成果、すなわち、マーケットフィットの結果としての「業績」を出しているマーケターこそが、プロのマーケターである、ということです。

「顧客は~~~、こうした要素を求めています」などと会議で述べて、「そんなことは当たり前だし、わかってるし、それができないから苦しんでるんだよ!」などと反論されて黙ってしまうようでは、プロのマーケターとは言えません。

 

マーケターが、プロとしての道を歩んでいく際に、より事業寄り、というよりは事業のど真ん中で、事業責任を負い、事業の方向性を決めていくステップを踏むことは、極めて有用なものです。いつまでに、どれくらいの規模の顧客から、どのくらいの規模の売上を立てる必要があるのか?企業体であれば避けて通れないミッションがあります。

この「リアルな現実」と、「マーケティングの理想―顧客ニーズの究極的な充足―」を両立させていかねばならない立場に、身を置くのです。こうした中で、インターネット時代の劇的環境変化の中で「プライシング(価格戦略)」や「決済・流通チャネル」をどのように組み立てていくか、ということについて、マーケティング側面だけではなく、価格戦略と売上計画との関連性や、決済・流通チャネル戦略と経路別マージン率(利益率)の関連性を踏まえつつ最適解を見出していく能力を身につけていくことができるのです。どうしても、4P*のフレームワークの中で「プロモーション」に偏りがちなマーケターのキャリアを、一気に骨太なものに変えることができます。

これは、「クロス・ファンクショナル・スキル」にまつわるお話ではありません。仕事人としての人生の選び方、場数の踏み方のお話です。

*4P……Product(プロダクト:製品)、Price(プライス:価格)、Place(プレイス:流通)、Promotion(プロモーション:販売促進)

 

この道(事業部門にディープダイブする)を歩く際に、気を付けるべきことがあります。マーケターは、あくまでも、マーケットに立脚して仕事をなすべきで、安易に事業サイドに妥協していては、マーケットフィットは実現できません。したがって、マーケティングのプロに求められる役割は、「組織変革力」「事業推進力」なのです。あくまでも、マーケットに立脚して、企業体として何をなすべきかを考え抜き、それが実現できない「課題」があるのであれば、その「課題」をこそ解決していく。そのために、社内外の人間を動かしていく。そう、まずは、社内外をマーケティングするのです。こうした力を身につけたマーケターは、マーケットフィットを実現できる、マーケティングのプロである、と、呼ばれうることでしょう。

もう1点。近年よく言われるように、「お客様は神様です」と言わんばかりに、マーケットに寄り添いすぎると、自社の信念や強みが、逆に揺らいでいってしまいます。どちらかに単純に極端に合わせるのではなく、「フィットさせる」のです。この高度な<調停>を為しうる人物は、マーケティングのプロ中のプロとして、もはや「経営を担うにふさわしい人物」として、自然と、周囲から認められるようになっていくことでしょう。

これらの経験を、企業内の「異動」、もしくは人事上の「兼任(兼務)」で養っていく、という道筋も考えられますし、より早く、自らの意志で、「副業」によって事業責任者(事業開発・事業推進責任者)もしくはその「右腕」のポジションを務めて経験を積む、という道筋も考えられます。時は金なり。仕事人人生は有限です。

異動希望はいつ叶うか分かりませんが、副業は、希望すれば、今日この後すぐにでも開始できるものです。

 

コーポレートの関連職域をジャーニーする

「経営」への道のりには、別の歩き方もあります。

上述のとおり、「人間的紐帯の創造」がマーケティングの大きな役割となりつつある昨今、あえて「人事部門」の経験をふみ、社内の人材の魅力を育む仕事に従事したり、「経営企画・管理部門」で、ミッション・ビジョン策定や、社員の行動規範の策定に関わる仕事に従事したり、「広報部門」で、企業体としての情報発信の可能性を広げる仕事に従事したり、といった経験を、横に積んで歩く旅(ジャーニー)をする、という選択肢もあります。「広義のマーケティング領域」を、あまねく経験し尽くすことによって、「ああ、あの人は、単なる、マーケティング部門の人ではなくて、会社全体のことを考えて行動できる人なんだな」と、社内外に認めてもらえるようになることでしょう。

 

これらの経験を積むことは、未経験職種である以上、「副業」でもって経験をすることは難しいかもしれませんが、あなたのマーケティング能力を欲する、地域の有力な中小企業、生まれたばかりのスタートアップが、あなたに「広義のマーケティング領域すべてを任せたい」と、頼ってくれるかもしれません。「取締役兼CMO」として、マーケティングの軸で経営に関与していくという経験を、早期にどんどん積んでいくことが、将来のキャリアの幅を大きく広げてくれることでしょう。

 

この道を行くー「ぶれない」という道もあるー

いっぽう、いやいや、私は、純然たるマーケターとして、黙々と、この道のプロとしてやっていきたいのだ、古典的だとかなんとか言われようが、それが私の強みなのだ、とお考えになるマーケターの方もいらっしゃるかと思います。

それはそれで、「プロの批評家」として、切れ味鋭く、「マーケットとの乖離」を的確に指摘する人物としての価値を磨き続ける、という道もあります。当然のことですが、それ自体、決して簡単なことではありません。そのために、調査・分析・データサイエンスの能力に磨きをかける、そのために、調査・研究分野などでの副業を行う、もしくは、コンサルタント的な役割での副業を行う、というのもよいでしょう。現代社会ならびに未来社会に対する深い洞察力を武器に、論説や書籍を発表する、等の副業を行うという道も考えられるでしょう。

 

終わりに

「マーケティングのプロ」としてのキャリアは、決して、一律ではありません。

それぞれの人がお持ちの才能や、置かれた環境といった<縁>によって、選ばれるべき道というのは、変化するものです。

ただし、どの道を辿るのであれ、「マーケットにフィットした企業活動を実現できる人物」がマーケティングのプロである、ということ自体は、変わりません

流行りのスキルや成功事例に流されることなく、骨太な能力を身につけ、何よりも、生々しい現場―マーケットーに、常に身を置き続ける、という挑戦的なマインド(野心)を持ち続けることこそが、重要です。

まずは、副業にチャレンジしてみる、というのも、未知なる世界へのダイブという意味では、偉大な第一歩になりえるものです。

意志さえあれば、明日からでもチャレンジできることです。思い切って、プロとしての道を歩き出してみませんか?

 

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