コーポレート領域(とりわけ「管理系機能領域」)での仕事の経験を活かした副業

コーポレート領域(とりわけ「管理系機能領域」)での仕事の経験を活かした副業

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コーポレート領域での仕事の経験を活かした副業」としては、どのようなものが考えられるでしょうか。「コーポレート領域」といっても、大変な広がりがありますから、整理して考える必要があるでしょう。以下の図は、一般的な企業における、「コーポレート系機能の全体像」を整理したものです。

コーポレート系機能の全体像

コーポレート系機能全体の中でも、「人事」や「法務」、そして「広報」や「情報システム」といった、「専門的な特殊技能を社内向けに<サービス>として提供する機能(「専門支援系機能」)」を担う領域において仕事をされている人にとっては、その専門性を活かした副業のイメージが比較的つきやすいかもしれません。自身が有している専門的な特殊技能を、社外に対して(副業先において)<サービス>として提供していくことで、副業になるからです。

また、コーポレート系機能全体の中で、「経営企画」のような、「会社が進むべき方向性を考えて決定付ける機能(戦略系機能)」を担う領域において仕事をされている人にとっても、その専門性を活かした副業のイメージが比較的つきやすいかもしれません。その特殊な経験(および総合的な能力)を武器に、外部の企業の経営にコンサルタント的に参画するといった形での副業が、比較的容易にイメージできるはずです。

それでは、コーポレート系機能全体の中でもとりわけ「縁の下の力持ち」ともいえる存在である、「会社の動きに沿って、定められた手続をきっちり回していくとともに、会社の状況が現在どのようになっているかを常に正確に見通せる状態にしておき、社員全員が働きやすいように、仕事のために必要なあらゆる環境・材料をバックヤードに配備してメンテナンスする機能(管理系機能)」を担う領域において仕事をされている人にとってはどうでしょうか?ひょっとすると、副業の具体的なイメージが、つきにくいかもしれません。

「バックオフィスですから」「なんでも屋ですから」などと、自嘲的に言う人もいるかもしれません。中には、「うちの会社のことは誰よりも良く分かっていると自負しているけど、外で同じことができるか不安だなあ」と、自信と不安が織り交ぜになった感情を抱く人もいるかもしれません。

しかしながら、(言わずもがなではありますが)管理系の仕事を担われている方は、文字通り会社の「屋台骨」であり、会社運営の基幹を構築・運用する重要なノウハウをスキルとして身につけている方であると言えます。そのスキルは、多くの場所で、副業を通じて提供されることが求められています。また、現在、コーポレート領域、とりわけ管理系機能領域においては、AIの進化に代表される情報技術の革新によって、仕事のありようが大きく変化し始めています。したがって、副業に積極的にチャレンジしながらスキルをアップデートしていくことが、これからのキャリア形成に不可欠なことになっていくでしょう。

本記事では、コーポレート領域全体の中でも、とりわけ「管理系領域の仕事の経験を活かした副業」にフォーカスして、その可能性を考えていきます。

財務領域・経理領域における仕事の経験を活かした副業

まず、管理系の中でも、「会計」「ファイナンス」といった専門性をベースとした仕事である財務領域・経理領域における仕事の経験を活かした副業を考えてみましょう。

財務・経理事務作業代行

財務・経理事務作業代行

最もオーソドックスな副業としてイメージされるのは、「経理システム記帳事務代行(仕訳入力代行)」「支払・銀行業務代行」「請求・入金確認・売掛金消込事務代行」「予算管理システム入力代行」といった、アウトソースされた作業を受託するタイプの副業でしょう(本記事では、これらをまとめて「財務・経理事務作業代行」と総称します)。

近年では、財務領域・経理領域における仕事の進め方は、パッケージソフトウェア・クラウドサービスの浸透によって、標準化されたものになってきています。そのため「個社固有の進め方」というものは減ってきているため、社外の人間でも、比較的、副業によって作業を行いやすい環境が整ってきていると言えます。

また、この分野の副業案件が多いことには様々な構造的要因が存在します。もともと、財務領域・経理領域の仕事には、“繁忙期”があるものです。月末月初や期末期初など、特定の時期に業務が集中する傾向があるため、このため、企業は、一時的に増加する人員需要を賄うために、副業によるヘルプを求めるわけです。

また、一般に「安定した職場」のイメージが強い管理系の職場ですが、近年では、保有する専門的知識・スキルを武器にキャリアアップを図るため、積極的に、転職や、資格取得等のための一時休暇、MBA・会計専門大学院等への進学を行う財務・経理パーソンが増加してきています。このようなケースにおいて、長年勤務してくれていた財務・経理パーソンが会社を離れ、財務・経理の担い手が急にいなくなってしまった企業が、副業によるヘルプを求めることも多々あるわけです。

財務・経理パーソンが転職市場に応募を出す時期というのは、(とりわけ上場企業に勤務される方において、その傾向が顕著ですが)一年を通じ、通期決算が締まり、株主総会対応も一巡した、ごく短い時期に限られてくるものです。したがって、採用を希望する側にとっては、ほしい、と思っても、すぐに希望通りの人材を獲得できるとは限らないことが多々あるわけです。

このような背景が存在することから、「財務・経理事務作業代行」の仕事の中には、財務・経理がひとりもいないような(財務・経理を軽視する傾向にあるような)企業から、いわば「丸投げ」のように発注されるこまごました「事務作業の下請け仕事」ばかりではなく、優良企業がやむにやまれず、優秀な財務・経理パーソンの力を求めて発注する骨太な副業案件も多々あるわけです。

財務・経理の業務プロセスやシステムに関しては標準化が進んでいるとはいうものの、それぞれの業界やそれぞれの企業特有の「個別の会計処理方法」については、プロであればあるほど、そこから味わい深い学びを得られることが多いものです。財務・経理には厳格なルールが存在するものの、「決め」によって、処理方法を決定している部分も多く存在します。この「決め」の部分にこそ、プロのノウハウが凝縮されているわけです。副業を通じて、生きたケースをもとにノウハウを吸収していくことは、財務・経理パーソンとしてのキャリアアップに、おおいにプラスになっていくことでしょう。

財務・経理業務アウトソーシング受託企業での副業

財務・経理業務アウトソーシング受託企業での副業

なお、経済全体で「サービス化」が進行していく中で、財務・経理業務を専門のプロフェッショナルファームに「戦略的に」アウトソースする企業も増えてきています。自社でやることは、自社が強みを発揮できる「コア部分」に集中させ、そうではない部分は外部のプロに頼む、というモデルです。スタートアップ企業の中には、最初から、管理系業務領域はすべて外部にアウトソースしている企業も多く存在します(近年ではそちらのほうが一般的かもしれません)。

財務・経理パーソンの副業の選択肢としては、一般企業で副業をする、ということ以外に、このような、財務・経理業務をサービスとして提供する「アウトソーシング受託企業」において副業で仕事をする、という形が考えられます。今後は、アウトソーシングビジネスの拡大と共に、このような形の副業が増加していくことでしょう。この場合、「アウトソーシング受託企業」に登録し、「アウトソーシング受託企業」を通じて顧客企業の「財務・経理事務作業代行」を行う、といった形のものだけではなく、「アウトソーシング受託企業」の経営や事業企画、組織運営そのものに参画する形の副業も考えられます。財務・経理の専門性をベースに、経営の方向へキャリアをシフトしていくための手段のひとつとしても、有用かもしれません。

財務・経理領域の業務コンサルティング

財務・経理領域の業務コンサルティング

いっぽう、現在の潮流をよくよく観察してみると、そもそも、「財務・経理事務作業」自体が、じわじわと、しかしながら不可逆に、「自動化」へと切り替わり始めている流れが見て取れます。技術の進化は目覚ましく、「条件判断」の精度は飛躍的に高まってきています。ある領収書データが、「交通費」に関わるものか「交際費」に関わるものかを判断することなど朝飯前、「予算管理システムの予実データを最新に更新するために必要な情報がすべて集まっているかどうかを判断する」といった状況判断など、さまざまな判断が自動でなされるように進化しつつあるのです。そうした判断だけではなく、AIの進化により、膨大なビッグデータに基づいて対象のカテゴリーを類推したり、学習効果を蓄積しながら自ら判断ロジックをアップデートさせて自己進化させていくような高度なメカニズムも生まれ始めています。

また、財務・経理系領域においては、システムに入力するためのデータを手前で整理・集計・計算したりするためのローカルな帳票――多くの場合エクセル等の表計算シートが使用されていますー―が膨大な数、存在しているものです。これらの「整理・集計・計算業務」についても、従来、人がエクセルを操作して行っていた作業を自動で実行するメカニズムの開発を行うことが一般的になりつつあります。エクセル内の作業フローを自動化する「マクロ」は以前から存在していましたが、さまざまなアプリケーションやデータレイヤーを横断してシームレスに業務全体を自動で進行させていく仕組みである「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション/Robotic Process Automation)」の登場により、自動化可能範囲が劇的に広がってきているのです。

――紙で届いた帳票を自動で電子化し、取引履歴のデータベースと突合して、何の帳票であるかを自動判定したうえで、必要なプロセスを自動で開始するー―というように、一連のデスクトップ作業すべてが、「自動で」進んでいく時代が、すでに始まっているのです。

このように、仕事のありよう自体がまさに変化を遂げようとしている時代ですから、副業を考えるにおいても、財務・経理の専門性を活かして自ら業務に従事するというタイプの副業だけでなく、「財務・経理領域の業務・システムの最適なありかたをデザインする」というタイプの副業に、いま、注目が集まっています

プロの財務・経理パーソンに対して、「副業という形でもいいので、長い年月をかけて培ってきた財務・経理の業務知識・ノウハウをもとに、あるべき姿を設計する手伝いをしてほしい」と考える企業は数多く存在しています。プロの財務・経理パーソンにとっても、自ら業務を行う立場を離れて、あるべき業務のあり方を設計する側に回って仕事をする経験を行うことは、財務・経理領域におけるトップマネジメントを指向する方であれば特に、かけがえのない経験を積めることになるでしょう。「財務・経理領域の業務コンサルティング」といっても、いくつかのタイプが存在しますので、順を追って見ていきたいと思います。

会計システム導入支援

会計システム導入支援

まずは、多くの企業で利用することが一般的になっている会計システム(パッケージソフトウェア・ないしクラウド型サービス)の導入支援(利用開始支援)を行うというタイプの副業です。

もちろん、それぞれのパッケージソフトウェアないしクラウド型サービスを提供するベンダーから手厚いサポートを受けられることがほとんどではありますが、システムの専門家と、財務・経理業務の専門家は違いますので、あくまでも、ユーザーサイドに立って、財務・経理業務を実務として回していくにあたっての会計システムの最適な活用法をアドバイスしてくれるようなコンサルタントが近くにいてほしい、と考える企業は多いものです。

そして何より、巷乱立気味のサービスの中で、どのサービスを選択するのが自社にとってベストの選択なのか?ということを、中立的な視点でアドバイスをしてくれる存在、というのは、なかなかいないものです。そのためだけに専門家を雇用することも現実的には難しいものです。

ここに、副業のチャンスがあります。企業の会計システム導入を手厚くサポートするアドバイザー役としての副業です。副業をする側にとっては、日々進化する技術のトレンドをキャッチアップし続けることができる、というのも、この種の副業を行うことのメリットとなりうるでしょう。

アウトソーシング活用支援

アウトソーシング活用支援

そして、普及が進んでいる財務・経理領域のアウトソーシングサービスの活用方法をアドバイスするタイプの副業も考えられます。

企業の中には、「もう、財務・経理領域はアウトソースしてしまおう」と考える企業も増加してきています。すでに財務・経理部門が存在する企業の場合、リストラクチャリング・変革/移行のスキームをさまざまに工夫する必要もあり、こうした局面において、経験豊富なプロに助けてほしいと考える企業は数多く存在します。ここにも副業のニーズが存在します。もちろん、この領域は、BPO(Business Process Outsourcing)領域専門のコンサルティング会社も存在しますから、競争は厳しいかもしれません。しかし、こうした専門のコンサルティング会社を頼ることが現実的には難しい小規模な企業が助けを求めているケースは多々存在しています。ここは、副業が価値を発揮できる領域です。

アウトソーシングは、簡単なようで困難な取り組みです。外部に切り離すことによって生じるデメリットやリスクを予め的確に認識しておき、手立てを講じておく必要があります。アウトソーシング活用支援の副業を通じてノウハウを蓄積していくことは、いずれアウトソーシングが主流となる時代に不可欠となる「ネットワーク型組織マネジメント能力(複数の企業間に横断して事業や業務を動かしていく仕組みを構築・運用していく能力)」を養っていくことにもつなげていけるでしょう。

業務改革(エクセルツール開発、RPA導入、AI導入支援)

業務改革(エクセルツール開発、RPA導入、AI導入支援)

そして今一番注目を集めていると言えるのが、財務・経理領域における業務改革、とりわけ、エクセルツール開発、RPA導入、AI導入を支援するコンサルティングの副業でしょう。

この領域のニーズは急騰しています。自動化は、作業の効率化(=時間あたりアウトプット=生産性向上)につながるのみならず、ミス・事故防止にもつながる極めて重要性の高い経営テーマとして位置付けられることが増えてきているためです。

しかしながら、まだまだ黎明期、市場導入期のコンセプトですので、さまざまなプレーヤーが凌ぎを削りながら、サービス提供を行っている状況であり、副業のチャンスは星の数ほど存在します。そして、期待先行・技術先行の感もある領域でもありますので、財務・経理の実業経験をふまえて現実的な導入アドバイスをしてくれるプロに副業で入ってほしい、と考える企業が多いというわけです。

長年財務・経理領域でプロフェッショナルとして経験を積み上げてこられた方の中には、「エクセルの技能は誰にも負けない」「管理の取り仕切りの段取りは任せろ」という強い自負心と誇りをお持ちの方も多くいらっしゃることと思います。その技能を、自動化プロセスに乗せて、サービスとして提供していくことができれば、それはものすごい価値となり、副業の持ち駒となるわけです。RPAやAI領域を実務として担われた経験を持つ財務・経理パーソンはまだまだ多くないかもしれませんが、社内外で積極的に利用体験を積み、早期にノウハウを習得することで、高単価の副業案件を多数請け負うことができるチャンスを手にすることができるかもしれません。

総合業務コンサルティング

総合業務コンサルティング

ここまで見てきたように、財務・経理領域の仕事のありかたは現在激変の途上にあり、やや錯綜気味といっても過言ではないでしょう。バズワードに翻弄されることなく、「どこからどこまでをローカルで処理し、どこからどこまでをシステムで処理するか」「どこからどこまでを自社で処理し、どこからどこまでを外注(アウトソース先)で処理するか」「どこからどこまでを自動で処理し、どこからどこまでを人間が処理するか」といった、部分的に重なり合う論点をきれいに整理して、“俯瞰的視点で”最適な業務のありかたをデザインしていく必要があります

この、“俯瞰的視点で”最適な業務のありかたをデザインしていくステップをフォローする副業、すなわち、総合業務コンサルティングの副業が、この領域において最も付加価値が高い副業であると言えるでしょう。すべての個別領域についての知見と経験を有していなければ、“俯瞰的視点で”のアドバイスは困難だからです。

「プロの副業」として究極的に目指すべきは、このような領域ではないでしょうか。

監査・リスク・セキュリティマネジメント

監査・リスク・セキュリティマネジメント

もうひとつ、付加価値の高い副業になりうる領域が存在します。このように、財務・経理の世界は、現在、大きな変化の時代を迎えているものの、同時に、現代の企業は、従前以上に、セキュリティリスク(不正アクセス等)、コンプライアンスリスク(横領等)に対して厳格に対応をしていくことが求められています。財務・経理領域のシステム化・自動化・外部化が複合的に進行していく中で、“抜け道”を通じたさまざまな不正リスクも潜在的に高まりを見せているわけです。

このため、豊富な経験を積んできたプロの財務・経理パーソンに期待されることとして、不正を未然に防いだり、不正を見抜いていくための、「監査・リスク・セキュリティマネジメント」の仕事があります。長年の経験に基づいて、どのような不正リスクが存在しているのか?を想定し尽くし、対策を講じていく仕事です。多くの企業が、この領域に知見のあるプロの力を求めており、ここにも、副業の需要があります。

管理の仕事において「正確性」に勝る価値はありません。「正確性」を損なうものは、「ミス」と「不正」の他に存在しません。前者はシステム化によって減少させることができるとして、後者を減少させることができるのは、経験による知恵の他にありません。各種規程類(業務規程、システム利用規程)の整備や、内部監査・リスクチェックフローの整備などが具体的な例として存在します。ベテランの経験がものをいう世界でもあります。プロが、プロとしての経験を活かして行う副業として、相応しいものと言えるのではないでしょうか。

電子決済(キャッシュレス)対応支援

電子決済(キャッシュレス)対応支援

少し毛色が変わりますが、昨今、さまざまな電子決済(キャッシュレス)の仕組みが次から次に誕生しては巷を賑わしています。

これらの仕組みの導入は、「レジに端末を接続するだけです!」というような単純なものではなく、実際には、裏側で、会計処理の仕組みも整えなければなりません。特殊な仕訳処理を行う準備をしたり、決済方法毎に異なる入金までのタームに関連した(現金取引とは異なる)経理上の処理や売掛金管理方式・資金繰り方式のアップグレードを行う必要があるため、「そう簡単にはいかない」のが実情です。また、手数料率に見合う売上増が見込めるかといった財務観点での導入検討を行うために必要なノウハウも世の中に十分に行き渡っていません。

日本全国では、多数の小売・サービス店舗が営業していますが、「会計的な観点で」、電子決済(キャッシュレス)の仕組みの導入をサポートしてくれる存在が不足していると考えられています。今後もますます進化が進むと考えられている電子マネー・ペイメントへの対応を、財務・経理的な側面でサポートしていくタイプの副業は、今後も需要が増えていくものと考えられます。

ここまで見てきたように、「財務領域・経理領域における仕事の経験を活かした副業」としては、さまざまな可能性が考えられます。「縁の下の力持ち」として会社運営を根本で支えてこられたプロの財務・経理パーソンの力が、いま、さまざまな側面で、求められているのです。副業は、自身の能力のアップデートにも有益なものです

本格的なAI時代が到来するまでの「令和最初の数年」が、最大のチャンスかもしれません。ぜひ、早期にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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総務領域における仕事の経験を活かした副業

次に、「総務領域における仕事の経験を活かした副業」について、考えていきたいと思います。

「総務」という名称は、現代の企業からは失われつつありますが、管理系部門において、「社員全員が働きやすいように、仕事のために必要なあらゆる環境・材料を配備してメンテナンスする機能」を担うのが、「総務」という仕事の本質です。言ってしまえば、どの部門の仕事にも当てはまらないような「引き受け手がない仕事」、そして、皆が困っていることを一手に引き受ける仕事、です。特定の分野に関する専門的な知識や技能が求められるというよりも、問題解決能力やコミュニケーション能力、そして、「皆のために」というホスピタリティ精神が求められる職種です。

「総務領域における仕事」は、支給品管理(業務用貸与パソコン、業務用貸与携帯電話等)、消耗品管理(名刺・会社案内・封筒・文房具等)、設備・備品管理(オフィス機器・オフィス設備管理、郵便対応・業者対応)といったルーティーンな仕事もあれば、日々起きるトラブルや問題への対応、各種社内イベント等への対応といった突発的な仕事もあります。とにかく、ありとあらゆる、「会社を回していくために必要な裏方仕事」を一切合切担当するわけです。この「総務領域の仕事」が丁寧に行われている会社かどうかで、その会社が「働きやすい会社」であるかどうかが決まる、ということは、論を待ちません。「働き方革命」が叫ばれ、生産性をあげるための取り組みにあらゆる会社が必死になっている時代ですから、「総務領域における仕事」に、今まさにスポットライトが当たっているとも言えます。

しかしながら、こうした「総務領域の仕事」は、会社によって、求められる内容も質もまったく異なるものです。したがって、必ずしも、ある会社で必要とされていたことが、他の会社で必要とされるとは限らないこともあります。したがって、「総務領域の仕事」経験を活かした副業のイメージが湧かない、という方も多いのではないかと思います。

ワークスタイルコンサルティング

ワークスタイルコンサルティング

まずは、今まさに時流のど真ん中にある「働き方革命」の波に乗って、働きやすい職場環境を作り上げるための具体的なノウハウを、コンサルティングによって提供していくという副業が考えられます。もちろん、本業で勤務している会社で実施している施策をそのまま副業先に転用することは倫理的な問題も孕みますし、なにより、会社によって、「何が最適か」は、まちまちなものです。したがって、あくまでもゼロベースで、その会社にマッチした職場環境をデザインするお手伝いをする形を取ることが大切になるでしょう。

IT系スタートアップ企業を中心に、従来型の重厚長大型産業ではない、小資本で立ち上げて、人間の知恵と知識だけで運営していくようなタイプのビジネスを営む企業が増加する一方ですが、そうした企業は「(人件費を除けば)固定費の大部分がオフィスマネージメント関連コスト」というケースが多いです(業務用の高価なPCを全社員に貸与するだけでも相当な設備投資コストがかかるものです)。従って、これらの、「購買にかかる調達コストや関連経費を、どうすれば極限まで圧縮できるか」について企画立案して実行に移す力を持った「プロの総務」を、副業としてでも構わないのでアドバイザーとして雇いたいと考える企業が、今後ますます増加してくるはずです。

また、「情報資産管理」も、「プロの総務」の得意分野です。オーソドックスな紙文書の管理だけでなく、デジタル化されたファイルデータの整理・格納も「プロの総務」に期待される領分です。どんなに優れたネットワークが社内に構築されていても、会社の貴重な知的財産がネットワーク上にバラバラに散逸している状態にあっては、必要な時に必要な情報に簡単にアクセスすることができず、結局、宝の持ち腐れです。こうした状態に陥ることを防ぐための各種情報管理規定の整備や、社員向け行動コンサルティングを行うタイプの副業の機会が、今後、クリエイティブワーク・知的産業がますます拡大していくにつれて、増加していくことでしょう。

管理部門立ち上げ支援、CAO(最高管理責任者)としての副業

管理部門立ち上げ支援、CAO(最高管理責任者)としての副業

「経験豊富なプロの人材がガッチリと陣を構える強靭なバックオフィス組織が常に背後に控えている安心感」を感じながら働いてこられた大企業勤務の方々には信じられないかもしれませんが、立ち上げ間もないスタートアップや、苦境にあえぐ一部の中小企業においては、「管理部門を置く余裕すらない」会社というのも多々あるものです。事務作業や管理仕事というのは、皆が、責任もって、各自、やる。もしくは、社長が、片手間で、やる。そのような会社も、日本中を見渡せば星の数ほど存在しているわけです。そんな中、それらの企業が、素晴らしいことに徐々に成長軌道に乗ってくると、さすがに、事務作業や管理仕事が回らなくなってくるわけです。「ものを作る人と売る人しかいない」という状態です。

このようなステージの企業は、まず、すべての管理系の仕事を丸ごと受け止める「ザ・管理部門」を立ち上げて、人員募集を開始するわけですが、これは、もう、管理系にかかわるあらゆる職種の仕事を包括した部門であるわけです。バックオフィス全体をなんとかしてください!というような募集が、時折目にとまります。スタートアップ、それから、地方の成長企業が出している求人においても、時折見られます。こうした募集に大胆にもいきなり転職で飛び込んでいく人は、そう多いとは言えませんから、ここに、副業の需要があるわけです。

このような時こそ、ゼロから地ならしをして、仕組みをつくり、制度をつくり、マニュアルをつくり、書類の収納場所の決定から、「誰が植木鉢に水をやり、誰がエアコンを消して帰るか」のルール作りまで、あらゆることを成し遂げる力をもった「プロの総務」の出番なのです。社内向けの説明会の運営など、手慣れたものです。会社の潤滑油としてあらゆることに「気」と「手」を回せる「プロの総務」の力を貸してほしい、と考える企業は、実は、たくさん存在するのです。

ここに、「管理部門にどんな仕事があるのか?」「管理部門でどのような人を採用すればいいのか?」すら分からない、というような状況にある企業において、その会社の文化にマッチした管理部門の構築に向けて、総合アドバイザーとしてリードしていくタイプの副業のチャンスがあります。このような副業は、非常に付加価値が高く、高単価な案件の募集がかかるケースも多くあります。

このような、管理部門全体を統括する責任者、もしくは、立ち上げをリードする存在のことを、あまり聞き慣れないかもしれませんが、「CAO(Chief Administrative Officer/最高総務責任者・最高管理責任者)」と呼びます。

コーポレート領域の中でも、戦略系財務領域の仕事を司る最も高位の職業人を指す呼称として「CFO(Chief Financial Officer/最高財務責任者)」が存在することは世間的にも有名ですが、上場を現実的に検討するフェーズにないような(もしくは、事業の特性上、巨額の資金を必要としない)小規模な企業体においては、そこまで高度な財務戦略や資金調達スキームが考案・実行されることも少ないため、現実的には、CFOよりも、CAOのほうが求められることのほうが多いものです。

華やかで派手なイメージもあるCFOに対して、どちらかというと地味なイメージのCAOですが、実需は非常に根強いものがあるのです。あなたがもし、長年、総務畑で豊富な経験を積んできて、その経験を活かして副業をしたいと考えるならば、今まさに成長を開始したばかりのスタートアップや地方の優良中小企業で、CAO(ないしCAO的役割のアドバイザー)としての副業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか

これからの時代、起業はますます増加していくことが予想されます。「CEOやCOO、CFOはいるんだけど、管理ができる人がいないんだよなあ~」というスタートアップの声は、よく聞きます。総務領域の仕事の経験を活かした副業は、今まさに、世の中で話題になり競争が激化する直前の、いちばんのチャンスの時期にあると言えるのではないでしょうか。「専門性がないと副業なんてできないよ」などという風説は、誤解であると言えます。

ずっと、「正解がない仕事」に取り組み続けてきた「プロの総務パーソン」を求める企業は、世の中にたくさん存在します

ぜひ、積極的に、副業に挑戦してみてはいかがでしょうか。本業の会社以外の場所でも活躍の場が広がることで、きっと、今以上に、「ありがとう!助かりました!」の声が多く聞ける毎日を過ごせるようになりますよ。

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