財務のスペシャリストが副業を通じてキャリアアップする9つの方法

財務のスペシャリストが副業を通じてキャリアアップする9つの方法

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財務のスペシャリストとしての経験を活かした副業を考えていくにあたり、まずCFOとは何で、なぜ今CFO経験者が世の中から強く求められているのかについて整理していきます。

取締役に期待される役割が「事業をうまく回すこと」ではなく「どの事業に投資するか/しないかの判断をシビアに行うこと」にシフトしつつある昨今、CFOは投資の実行可否判断や事業の継続・撤退判断の局面において、(時としてCEOとけん制しあう立場となっても)財務的な観点からシビアに判断を行う役割が期待されます。

CFOの代表的な仕事としては資金調達がイメージされやすいですが、もちろんそれだけではありません。CFOは、事業売却・買収に代表されるように、ファイナンスの技術を駆使して事業構造を最適化していく役割も担っています。自社の戦略に合わなくなってきた事業を適切なタイミングで切り離し、将来に期待をかけられる新しい事業を外部から吸収していく。こうした施策を適切に実行していくには、高度なファイナンスの能力を駆使することが必要になります。

どんなに優れたアイデアを生み出すことができるCEOがいて、優れた事業運営・人員統率ができるCOOがいたとしても、優れたCFOがいなければ企業は最大のポテンシャルスピードで成長していくことができません。研究開発段階で資金調達を必要としているベンチャー企業から事業再構築が必要な時期にある老舗企業まで、あらゆる企業において卓越したファイナンス技能を有するCFO経験者の力がいま強く求められています。

この背景には、投資すればした分だけ事業が成長できた時代が終焉し、大金を投資しても大きなリターンを生み出すことが難しい時代に突入したということがあります。そのため、あらゆるファイナンス技法を駆使して低い調達コストで資金を捻出し、最大限レバレッジさせて効率的に事業を構築し、低リスクかつ早期に資金回収する仕組みを作り上げることが企業の生死を分ける重要なミッションとなってきているのです。

経済全体の成長が確実視されていた時代とは異なり、先行き不透明な現代はファイナンスの重要性が飛躍的に高まっているために、かつてないほどCFOに対する期待が高まっています。

ほんの一例ですが、日本を代表する企業のひとつであるソニー株式会社で、2018年4月にソニーで長らく管理畑を歩んできたCFO経験者である吉田憲一郎氏が社長に就任しました。財務のプロこそ経営に期待されている役割を果たしうる時代です。2018年度ソニーは過去最高益を記録し、株式市場からの高い評価と期待を集めました。2019年6月には、吉田社長体制においてCFOを務めてきた十時裕樹氏もソニーの取締役に就任しました。2人のCFO出身者が取締役となり、ソニーの経営の舵を取っていくということです。現代の企業経営においては、それだけファイナンスの重要性が高まっている、ということの現われでしょう。

CFOはいまや管理系のトップという立ち位置ではなく、名実ともに経営の中心を担う存在として位置付けられるようになってきています。

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財務のスペシャリストとしての経験を活かした副業の選択肢

財務のスペシャリストとしての経験を活かした副業の選択肢

CFO経験者は引く手あまたで、高額な報酬で引き抜きを受けるケースも多々あります。その需要の大きさに比べて、高度なファイナンス知識・技能と実践を通じて積み上げた経験値を兼ね備えたプロのCFOの数はあまりにも少なく、その希少価値が高まっているのです。このため、「副業でもよいので会社経営を財務面でリード/サポートしてほしい」と考える企業の数が大きく増加しつつあります

しかし、一般的に株式会社のCFOは上場・非上場問わず激務を極め、そのうえ尋常ではないプレッシャーを背負っているものです。したがって一般的には、在任中に副業を行う余裕があるようなCFOは稀であると言えます。

加えてCFOは在任中、インサイダー取引の可能性に常に意識を回さなければなりませんし、機密情報保持にも細心の注意を払わなければなりません。上場企業のCFOの場合、迂闊な発言は株価に直結します。また、副業が自己取引・利益誘導・背任といった不適切な取引を招いたり、そのように誤解されたりする恐れもあることから、在任中に副業を行うことはなかなか難しいことであると言えます。

世の中がCFO経験者の力を強く求めていることは事実であり、適切なプロセスを踏みながら上記のような課題をひとつひとつクリアにしていった上で、その能力を副業を通じて世の中に広く提供していくことは、社会的意義が非常に大きいことであると言えます。

もちろんCFOの任期を終えた後であれば、自由度は増します。次のキャリアを歩みながら、副業を通じて様々な経験を積みながら、さらにキャリアを発展させていくことが可能になるでしょう。それでは、具体的にどのような副業の形が考えられるでしょうか。

企業の財務アドバイザー(財務顧問) 

企業の財務アドバイザー(財務顧問) 

最初に考えられるのは、CFOとしての経験を活かして様々な企業の経営を財務面でサポートするタイプの副業です。一番オーソドックスなパターンです。財務面に関する相談に適切なアドバイスを返すタイプの副業で、比較的ライトに始められるでしょう。半常駐型でみっちりと関与するパターンもあれば、オンラインで求められた時だけスポット対応するようなパターンも考えられます。望むワークスタイルに応じて、最適なパターンを選択することがでしょう。

社外CFO、社外取締役、監査役

社外CFO、社外取締役、監査役

公正中立の立場で企業経営に対して意見を具申したり、適正な企業経営が行われているかどうかの監視をしたりする仕事です。これは、CFO経験者としてのノウハウをフルに発揮できるタイプの副業でしょう。社外CFOはもちろんのこと、世の中の趨勢としてガバナンス・コンプライアンスの強化が企業経営に強く求められるようになってきています。このため、いっそう社外取締役、監査役に対する人材需要は高まってきています。

しかし当然ながら、外部の立場から経営に対してモノを申すだけの説得力を持ちうる人材は限られています。CFO経験者であれば、十分な説得力をもってこうした役割を果たすことができるでしょう。

ベンチャー企業の財務顧問/CFO補佐

ベンチャー企業の財務顧問/CFO補佐

ベンチャー企業を一般的な中小企業と区別するものは、「高い成長志向性があるかどうか」に尽きます。事業を大きくスケールさせていくには、優れたアイディアとオペレーションだけでは不十分です。事業を大きくスケールさせる資金を生み出すためには、ファイナンスの高い技能が求められます。また、ベンチャーファイナンスにおいては、常に先を見通した手を打っていくことが求められます。増資した後、株式公開した後、バイアウトした後を常に見据えて、適切な手を打っていかなければいけません。その一連のステージを通過した経験を持つCFO経験者は、自らの経験値をもって生々しいアドバイスを行うことができるため大変重宝されます

このような形の副業をする場合に注意しておきたいことは、関わるベンチャー企業をきちんと選ぶということです。資金調達は、突き詰めれば信用がすべてです。精度の高い計画を立て、そして万が一計画から差異が生まれた際にその要因を説明することができるか。「このCFOが言うなら信用できる」と考える資本家・金融機関は多々いるものです。逆にいうと、一度信用を失った人が再度巨額の資金調達をリードすることは、非常に困難なことであると言われます。

もちろん事業である以上、計画通りいかないことがあるのは仕方のないことです。問題になるのは、あまりにも無理のあるバラ色の計画を描いてしまい実績との間に大幅な乖離を生じさせてしまったり、実態を管理・把握することが困難な状態に陥って計画との差異の要因を説明できないような混乱状態に陥ってしまったりした場合です。このような場合にはCFO失格の烙印を押され、信用を失い、キャリアに傷をつけてしまう恐れがあります。CFOほど信用が求められる職種もないでしょう。ファイナンスは「この計画は信用できるか?」から全てが始まるものです。このため、経験を活かして副業をするにしても、どのようなベンチャー企業をサポートするかについてはよくよく見極めることが大切でしょう。

財政面で苦労している企業・団体の再生請負人

財政面で苦労している企業・団体の再生請負人

地域になくてはならない存在として多くの人から認知され愛され、多くの方から「存続してほしい」という声を受けていても、財務的にもう立ちいかないという企業や団体は、悲しいかなたくさん存在します。金融機関からの融資や行政からの補助金等が打ち切られた瞬間に、破綻に至ってしまうような企業です。

昨今では、人口減を受けて地方の企業においてこのようなケースがますます増えつつあると言われています。人気の地元スポーツクラブや、地方の欠かせない「足」となっている交通事業者、それに地方自治体の財政そのものがこのような状況に陥っていることすらあるのが実情です。

こうした破綻すれすれの企業を再生させることができる力を有しているのは、CFO経験者を差し置いて他にいないでしょう。昨今、その重要性がメディアでも頻繁に取り上げられる「地方再生」や「伝統的老舗企業の事業承継・事業再生」といった分野においても、CFO経験者は強く求められています。社会貢献的意義も非常に高く、副業の仕事としては、選びがいのあるものであると言えるでしょう。

ベンチャーキャピタルや投資銀行、金融機関のアドバイザー

ベンチャーキャピタルや投資銀行、金融機関のアドバイザー

厳しいのは事業会社だけではありません。お金を出す側のベンチャーキャピタルや投資銀行、金融機関にしても、どんな相手方にどのような条件で資金供給すべきかの判断を行うことが非常に難しい時代です。相手方の事業計画・資金計画を鋭く見極める力が必要になるわけです。そのため、CFOとしての職務経験を活かして、こうした企業のアドバイザーを務めるという副業も考えられます。

あらゆる計画には、変動要素(パラメーター)が含まれています。このパラメーターに漏れはないか。その変動幅は適切な範囲で設計されているか。お金の出し手として、このようなリスクを精査していく必要があるわけです。そのためには、金融だけでなく事業に対する深い理解が不可欠です。事業会社において財務面を統括していた経験を持つCFO経験者はまさにそうした理解をもった人物であるため、大変に重宝されるというわけです。

コーポレートベンチャーキャピタルの設立、運営支援

コーポレートベンチャーキャピタルの設立、運営支援

昨今では、「オープンイノベーション」の掛け声のもと、社外の力を使ってイノベーションを生み出していくために、資金力に余裕がある大企業が自社のまわりにベンチャー企業のネットワークを作り上げ、適宜それらの企業に投資を実行しながら自社陣営に取り込んでいくという取り組みを行うことが増えてきています。こうした金融専業会社ではない一般の事業会社が設置する投資会社のことを「CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)」と呼びます。

もはやCVCを置いていない大企業のほうが珍しいというくらい、ここ数年で一気にその数が増加してきています。しかし当然のことながら、こうしたCVCの新規の立ち上げ、その後のマネジメントは、経験豊富な人材がいなければ立ちいきません。こうしたCVCの新規設立・リードマネジメントの中核人材としても、CFO経験者は大変に重宝されます

大企業とベンチャー企業を結ぶ役割を果たすCVCにおいては、小さなスタートアップから大きな規模の上場企業にまで育て上げた経験を持つCFO経験者は最も求められる存在であると言えるでしょう。ベンチャー企業ならではの課題と、大企業ならではの課題の双方を熟知していると言えるからです。

あらゆる投資に共通することですが、難しいのは、投資の判断をすることよりも投資した後のプロセスにあると言われます。計画書の数字には表れないような「カルチャーの違い」「人間と人間のぶつかりあい」といった泥臭いファクターが、想定外の展開を生むこともままあるためです。これらは、事業会社において生々しい事業マネジメントを経験した人間でなければ、理解が難しいポイントでもあります。事業会社のCFO経験者は、こうした観点からも非常に重宝される人材であると言えます。

投資ファンドのアドバイザー/投資ファンド運営/投資家

投資ファンドのアドバイザー/投資ファンド運営/投資家

ある意味で最もCFO経験者らしい副業の形として、「投資ファンドのアドバイザーを務める」というパターンがあります。「投資家からお金を集め、適切な投資先に投資して、リターンを得る」という投資ファンドの運営を、CFOとしての経験をふまえてサポートしていく副業です。

投資ファンドのビジネスの場合、投資とセットで経営陣を送り込み、投資先企業の財務構造・事業構造をドラスティックに変革して企業価値を飛躍的に向上させ、大きな投資リターンを作り出すことを実行していくのが一般的です。そのため、ただ単に投資先を見極めるだけでなく、「どのような変革を行えば投資先企業の企業価値を飛躍的に向上させることができるか」のプランを描くことも必要ですし、そうしたプランを実際に断行することも必要になってきます。このような投資ファンドのビジネスにおいて、事業会社の財務を統括してきたCFO経験者の能力は大変に重宝されます。

加えて、このようなタイプの仕事の場合、自らが投資先企業の取締役や代表取締役社長の立場となって経営再建の先頭に立つということも可能になります。このようなキャリアを踏みながら、CFO経験者が「プロCEO」へとキャリアを進めていくことも可能になっていきますCFOのネクストキャリアとして「プロCEO」を志すCFO経験者にとっての、ひとつのキャリアの刻み方であると言えるでしょう。このケースにおいては、もちろん「自身で投資ファンドを運営する」という副業も考えられます。

しかるべきプロセスを踏んで正規に投資ファンドを組成して投資家から資金を募り、自らがファンドマネージャーとなって運用を統括するというパターンです。場合によっては、CFO経験者ともなると自己資金が潤沢にあるケースもあるでしょうから、自己資金を活かしてエンジェル投資家としての道を歩むというパターンも考えられるでしょう。これらをどう選択するかについては完全にケースバイケースですから、それぞれのライフプラン・ファイナンシャルプランに応じて、最適な道を選択されることをお勧めします。

ファイナンス分野のイノベーティブなベンチャー企業に参画

ファイナンス分野のイノベーティブなベンチャー企業に参画

ここまで見てきたように、ファイナンスの分野は企業経営において極めて重要性が高まっており、ファイナンスの分野で革新的なサービスを提供しようとするベンチャー企業も多数現れてきています。

フィンテックというと、とかく個人向け決済サービスや資産運用サービスが注目されがちですが、法人向けのサービスも続々生まれてきています。企業の資金調達をサポートするサービスや、投資家と投資機会をマッチングするサービスなどを提供するベンチャー企業の経営をサポートする役割を果たしていくというのも、ファイナンスのプロであるCFO経験者の副業として考えられる選択肢のひとつでしょう。

ファイナンスの世界は、外からはなかなか見えにくい独自の人的ネットワークで動いていたりするものです。高度な数学によって動いている世界でありながら、一方で極めて人間的・政治的な力学で動いている世界でもあります。したがって、まだまだイノベーションの余地があるとも言えます。適切な投資先を求める投資家と適切な投資家を求める事業会社がスムーズにマッチングできるような仕組みが今以上に整えば、経済は今以上に潤滑に成長していくようになっていくことでしょう。

財務のスペシャリストを教育する

財務のスペシャリストを教育する

これからの時代の経営は、「財務(ファイナンス)」がキーになると言っても過言ではないでしょう。したがって、この領域におけるプロ人材の育成は、社会的必要性が高く、需要も大きいものです。ここにもCFO経験者の副業の好機があると言えるでしょう。プロのCFOを鍛える教育系の副業を行うということです。

その手段は多岐に渡ります。ブログやnote、YouTube、オンラインサロンなど、簡単に副業をスタートすることができます。スター講師となって多くの会員を集めることができれば、大きな収益を得られることになります。時折オフラインのスクールを開催してもよいでしょう。講演会を開いたりすることもできます。知名度が高まった暁には、書籍を執筆して出版するという選択肢もあるでしょう。こうした気軽な副業の形だけでなく、ハードルは高いですが、ファイナンス系の専門学校や、大学・大学院等で講師・客員教授等を務めるという選択肢も考えられます。

これからの日本経済を考えた時に、未来のCFO人材を育成するということは社会的意義が大変大きいことです。CFOとしての経験を活かした副業として、非常に魅力的な選択肢のひとつであると言えるのではないでしょうか。こうした教育系の副業は社会貢献性も強いものですから、在任中でも比較的行いやすい副業の形であるとも言えます。

財務のスペシャリストとしての軸をどう打ち立てるか

財務のスペシャリストとしての軸をどう打ち立てるか

ここまで見てきたように、財務のスペシャリストとしての経験を活かした副業の可能性は多岐に渡ります。財務経験者の方が苦労して積み上げてこられた経験は、それだけ価値があるものであるということです。財務のスペシャリスト(特にCFO)としての任を全うするには、自身の仕事の軸をしっかりと持っていかなければなりません。社外CFOにせよ財務顧問にせよ、軸がなければ判断を行うことはできません。常に、自らと自らが統括する組織を軸によって律し、高い倫理基準をもってステークホルダーへの価値還元と、その基礎となるアカウンタビリティ(説明責任)を全うしていかなければならないのです。

この軸をどのように設定するかは、1人ひとり異なります。どのような価値基準で判断を下すか。どのような価値基準を、どのような言葉で会社組織に浸透させていくのか。それによって仕事の成果は大きく変わります。そして、この軸そのものが将来的にCFOの個性になり、代替のきかない価値となるわけです。

しかし個性的なCEOというのは数多くいますが、個性的なCFOというのはあまり聞きません。しかしこれからの時代は、社内/社外を問わず、CFOの時代であると言えます。副業を通じて多様な経験を積み、単なる「CFO経験者」から、「●●●なCFOと言えば●●●さん」と純粋想起されるような存在へと、キャリアを積み増していかれてみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修した人

荻久保健一
荻久保健一
執行役員マーケティング本部長:株式会社ホールハート
これからの新しい働き方「副業社員」や「インターン副業」をマーケティングの力で広げるために日々奮闘する美容好きおじさん。
自身も副業でマーケティングアドバイザーやwebメディアを複数運営。
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