2019年10月からみずほ銀行が副業を解禁し、ファイナンス面での副業はより盛り上がっていくことが予想されます。
そんな中で、
「CFOとしてIPOを成功させたが、新たなチャレンジがしたい」
「会計や財務の知識を活かして、CFOとしてのキャリア形成をしていきたい」
と考える方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、CFOとしての価値をより高めていくためには、副業を通じたキャリア形成が有効です。
今回は、今後の人生を柔軟に生きていくためのCFOの副業について、社外CFOを採用したい企業側のニーズと時期、適した人材像にフォーカスしてご紹介していきます。
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目次
副業で行うCFOとは
「CFO(Chief Financial Officer)」は「最高財務責任者」を意味し、企業の財務を統括する役割を担います。
会社経営において財務は3本の指に入るくらい大事なものなので、CFOは非常に重要な役割といえるでしょう。
そんなCFOですが、会社に属している場合は、
- 財務戦略
- 監査法人との渉外
- 上場準備
などを行うことが多いかと思います。しかし、副業においてはどのような役回りを求められるのでしょうか?
社外CFOについての役割を具体的に確認していきましょう。
社外CFOの役割
副業における社外CFOの役割は以下の通りです。
- 企業内の財務に関するマネジメント全般
- 資金調達関連の渉外・調整・株式発行等全般
- 監査法人等との渉外
- 上場準備に伴う財務コンプライアンスの強化と管理
ご覧の通り、企業に属しているCFOとほぼ同じような役割を果たすことになります。
ただ、副業ではこれらすべてを行うのは不可能に近いので、一部分をスポットで請け負うことになります。
例えば、「社長が1,2を担当し、副業CFOがスポットで(社外で)3,4の役割を担う」といった具合です。
このように、CFOの業務の一部分のみを受け持つという事と、残りの部分は社長や他の取締役が行うという2点において、企業統治が万全でない状態の企業に二―ズが生まれる仕事でしょう。
また、上場準備期、主幹事証券との折衝などは副業のCFOだと実質的に行えないので、あくまでも上場準備の後半までの役割となります。
社外CFOの採用ニーズ
上記から、副業CFOの業務範囲は
- スポット採用
- 役割の切り分け
- 上場準備後半まで
となります。
また、上場企業ではコンプライアンスの問題上、スポットでのCFO業務は難しいので、必然的に対象は非上場企業になります。
以上のことから、副業CFOを採用したい企業側のニーズと時期を簡単にまとめると以下の通り。
- 起業時の資金調達
- 創業初期の会計全般
- 財務基盤の強化
- 上場準備前半の監査法人との渉外
それぞれ詳しく見ていきましょう。
起業時の資金調達
起業時の財務戦略は、どこから資金調達するのか、株は渡すのか、渡すなら優先株にするのか普通株なのかというように、重要な決断ばかりです。
しかし、その時期が過ぎれば会社が利益を稼ぐために創業メンバーで稼働するようになるので、CFOの役割は一気に減ります。
正直、創業まもない頃の会社にとって、CFOへの給料は資金的にかなり負担になるわけです。
しかしこの際、資金調達の時のみのアドバイザリー業務や、実際の交渉を副業の(社外の)CFOに任せ、その後は社長が兼務すれば会社の資金的な負担を減らせます。
結果、社内のリソースを事業の成長に集中させることができるわけです。
CFOというのは直接利益を稼ぐ仕事・ポジションではないので、できればスポットで任せたいというのが起業時や創業間もない頃の企業側の本音なのです。
創業初期の会計全般
企業といっても規模は様々なので、社員が1~2人の時は給料の支払いや取引先への支払い・会計はそこまで苦労することではなく、社長がすべて行う場合が多いです。
しかし、50人規模になると企業は違うステージへ差し掛かります。社員が増えてくると社長の兼任も難しくなってくるので、それなりに知識がある人間に財務や会計の担当を任せます。
しかし結局それは「なんちゃってCFO」でしかないため、社員が50人を超える頃からしっかりとした会計ルールや社内制度、取引先との渉外を行う必要が出てきます。
そうなると、専門知識のない「なんちゃってCFO」には荷が重くなってきます。そうしたときにスポットで副業CFOの出番が訪れるわけです。
財務基盤の強化
会社が大きくなるにつれてキャッシュフローの予測がある程度簡単になり、売り上げ・利益の変数が定まってきます。
そうなると、その流れを維持するための財務基盤の強化・管理が必要になります。
銀行側と交渉して資金が滞らないようにしたり、利益のROIなどを逐一把握し、必要であれば社長や事業責任者と調整したりする、といった業務が欠かせません。
そうしたこれらの業務を行うには、会計の知識があるだけでなく、事業の経験もあるCFOに任せたいというニーズが大きくなってくるのです。
上場準備前半
「上場準備」に明確なスタート地点の定義はありませんが、イグジット戦略の一環として上場を見据えている企業は多くあります。
この場合、主幹事証券などと具体的な話になる前に、企業の財務・内部統制を上場先の市場の基準に合わせてしっかり固めておく必要があります。
そのためこのステップにおいては、上場先市場に合わせた財務整理を行い、必要であれば監査法人と調整するのが副業CFOの仕事になります。
社外CFOに適した人材とは
ここまで企業側のニーズを解説してきましたが、実際に副業として社外CFOを行うのに適しているのはどのような人材なのでしょうか?
それは、先述の4ステップごとに異なるため、ステップごとに解説していきます。
- 起業時の資金調達
- 創業初期の会計全般
- 財務基盤の強化
- 上場準備前半の監査法人との渉外
ちなみに、CFOは会計士、財務責任者の経験がない人や、資格がない人でなくても務めることは可能です。
副業のCFOはスポット的な採用でもあるので、総合的なCFOとしての優秀さよりも会社側のニーズと自分のスキルがいかに合致しているかがポイントになります。
起業時
起業時は、創業者の自己資金以外は基本的に資金調達を行うことになります。よって、起業時のCFOは「資金調達先の選定・交渉」が主な仕事になります。
この時期は資金調達先の選定や調達方法を失敗すると、今後の事業活動に取り返しのつかない大きな影響を及ぼします。
以上から、資金調達の専門家として、下記のような人材がこの時期の副業CFOには向いています。
1.銀行などで対零細企業や小企業のアドバイザリー業務に従事していた人
2.ファンドやベンチャーキャピタルなどでスタートアップ企業を担当していた人
創業初期
創業初期は会社を回すことが最優先される時期であり、社長も含めた創業メンバーは利益を上げるためにひたすら業務に取り掛かっています。
よってこの時期は、日々増える取引先や仕入れなどの候補先をすばやく効率的にさばき、会計を担う人物が適しています。
また、ビジネスは理想通りに進むことは少ないので、軌道に乗るまでに資金がショートしないよう、税金対策など資金繰りの面でもサポートできると理想的でしょう。
1.中小企業で会計や経理部での就業経験がある人
2.銀行で中小企業を担当してきた人
財務基盤の強化
会社が回り始めてくると、リソースを割く場所の「選択と集中」及び、それに合わせてROIが高い場所へ資金を移動したり、場合によっては資金を調達するような役目が求められます。
よって、この時期には事業のことをよくわかっており、かつ財務にも詳しい人物が適しています。
また、会社を強くしていくために過剰債務や債務超過の解消の戦略を立てられるとなお良いでしょう。
1.コンサルティングファームで経験がある者。特に会計系のファーム経験者がベスト
2.ベンチャーキャピタルなどからハンズオンでの参加経験がある人
上場準備前半
ここからのCFOは、監査法人とのやり取りが主な業務であり、IPO経験者だと十二分にバリューを発揮できるでしょう。
経験がモノを言う段階ではあるのですが、監査法人から独立した公認会計士の方などがキャリア形成の一歩目とするのもアリでしょう。
なぜなら、上場準備のためにはどのような財務環境や資本政策が整っている必要があるのか、監査法人での経験がある会計士ほど知っている人はいないからです。
1.CFO経験者
2.大手企業、上場企業で財務の責任者をしていた者
3.監査法人でのキャリアがある公認会計士
社外CFOを副業で務めた場合の収入
年収で800~1,200万円ほどであり、スポット採用とはいえCFOとしての総合的な能力を求める企業は多いです。
能力によって給料を決定する企業がほとんどで、面談時にどれだけコミットするか等も含め、お互いの条件のすり合わせが何より重要です。
ストックオプションの有無も企業によって異なるので、収入に加えてそういったところの条件も加味するといいでしょう。
社外CFOの採用事例
副業CFOの採用事例は公表されることは非常に稀であるばかりか、公表を避ける傾向にあるため、今回は弊社の事例より、クライアント側の事情を多少伏せた上で紹介します。
A社:簿記資格を有する者の手に負えなくなったためCFOを採用
採用の背景…3人からスタートした会社で、小規模のうちはスタッフの一人が簿記の資格を持っていたため経理・財務を兼任してもらっていた。
CFO採用のきっかけ
軌道に乗って安定してくるにつれて、銀行との借入交渉や資金投資先に不安が出てきたため。
また、人数が増えて規模が大きくなり、兼務者が全てのキャッシュフローを把握できなくなってきました。
元々の業務にも支障をきたすようになってきたので、経理部の課長のキャリアを持つ方をスポットで社外CFOとして採用。
採用後の役務
週2回、3~4時間ほど会社に来訪してもらい、キャッシュフローの整理と登記、資本政策の壁打ち役を担ってもらうことに。
採用社のコメント
表向きに経営が安定しているように見えても、数字を見てみると問題がある場合が多くありました。
でも、財務諸表が見られない人間にはサッパリなわけです。
そういう意味で、かなり助かりましたね。無駄な給料や無駄な時間がお互いに発生しないのもWIN-WINなのではないでしょうか。
B社:上場を見据えたうえでの採用
採用の背景・・・上場を見据え、会社の財務状況を整えていこうと思ったのがきっかけ。
CFO採用のきっかけ
税理士に大部分を任せていたものの、上場時には財務状況や資本政策が見られると判断。
専門家の力を借りて会社の財政統治をしっかり固めていかなくてはと考えた結果採用した。
上場準備に入ったので、公認会計士で監査法人で11年務めたキャリアを持つ方を採用。
採用後の役務
コンサル的な立場で週に4回、午前中に前日までに溜まった経理処理と監査法人との打ち合わせへの同席を依頼。
採用社のコメント
上場を見越した上で財務基盤・資本政策を整えていくことを見据えています。
税理士などの外部の人間ではなくて、きちんと同じビジョンを持った人間でないと中途半端な結果になると感じました。
なので、しっかりと面談し、会社のビジョンに共感してくださる方を社外CFOとして迎え入れようという事になりました。
上場を成功させれば彼自身のキャリアにもなるので、やっぱり熱意が違いましたね。
結果として、財務の面から会社を強くしてくれたのはもちろん、上場準備の際にかなりサポートしてくれて助かりました。
基本週4日、午前中のコミットでしたが、大事な時期には自主的にほぼ毎日来てくれていましたね。
副業でCFOを請け負うためには
では、副業でCFOを請け負うためには実際どうしたら良いのでしょうか?手段は主に2つです。
- 知り合いのつてで探す
- 求人サービスから探す
上場していない企業、特に資金調達などの創業時はクローズドで人員を集める場合がほとんどです。
なぜなら、「あそこの会社にはCFOがいない」と思われることは、会社にとってリスクの1つでもあるから。
あなたが銀行の立場なら、CFOがおらず、財務統制が効いていない会社に資金を供給するのはリスクだと考えますよね。
よって、CFO(スポットのCFOを含む)の募集は表に出ることはそうそうありません。
以上のことから、求人を利用する場合は、完全に非公開を前提とした求人に限られることがほとんどです。
求人案件がないわけではありませんが、どちらの方法も問題となるのが、「自分のスキルと会社のニーズが合致しているか」というところ。
例えCFOをスポットで募集している企業を見つけたとしても、結局スキル・ニーズ・ビジョンが噛み合わなければ一緒に業務をする意味はありません。
また、求人サービスではスポットではなく、フルコミットでのCFO採用を目的としている募集も多く、そもそも副業でのCFO案件を見つけづらいことも。
そのような、企業側と副業CFO候補とのミスマッチを防ぐことが「プロの副業」の使命でもあります。
あなたが持っているスキルと企業側のニーズをすり合わせ、エージェントが「副業」という形でマッチングします。
「副業専門」である点と、「エージェントがすり合わせを行う」点において、CFOの副業を探すのならご検討ください。
キャリアを積んで柔軟に生きていけるCFOへ
政府が副業を解禁し、今後は「副業・兼業」で雇用にとらわれない柔軟な生き方が求められます。それはCFOも同様です。
ある企業のCFOではなく、ファイナンスのスペシャリストとして、様々な企業に必要とされるような人材になりましょう。
そのためには、副業を通じてCFOとしてコツコツキャリア形成していくことが大事です。
副業というと「お小遣い稼ぎ」のようなイメージを抱くかもしれませんが、それは仕事次第。
自分のスキルを活かして実績を作っていくような仕事を選べばそれは立派なポートフォリオとなり、これからの時代を生きやすくするための武器となっていくでしょう。
そのためには、あなたのスキルと合致した仕事を副業とすることが何より大事です。ぜひ「プロの副業」を活用してみてください。
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この記事を監修した人

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