by大村昂太朗
副業で補助金を受給するなら雇用関係の助成金がおすすめ!補助金に関する注意点も紹介
近年行われた働き方改革の一環により、副業に関する規定が緩和され、副業を容認する企業が増えてきました。「副業」は昔ほど珍しいことではなくなり、本業以上の収入を稼ぐ方も出てきています。
特に、副業がある程度軌道に乗って、大きく拡大するフェーズでは、補助金・助成金を使うことが役立つ場面が出てくるでしょう。
補助金・助成金を受給することができれば、小規模ながらも人の雇用や備品の購入など、必要な費用をまかなうことができます。
今回は、副業で貰える補助金や助成金について紹介していきます。
また、2020年4月現在、感染症が拡大している状況ですが、特例的な助成金が多数設定されています。参考情報としてこちらも掲載します。
目次
補助金・助成金とは何か
副業で貰える補助金を紹介する前に、「そもそも補助金とは何なのか?」を紹介していきます。
補助金や助成金とは、簡単にいえば「国や自治体の政策と噛み合った事業に対して支給するお金」であり、以下2つの特徴を持ちます。
- 条件を満たして審査を通過すれば誰でも貰える
- 支援給付金であり、原則、返済義務がない
補助金は条件さえ満たせば誰でも貰えるうえ、なんとほとんどの場合、返済義務がありません。
事業を始める際や起業する際に大変助けになる支援金であり、知っている人だけが得をする制度だといえるでしょう。
これは副業の場合も同様であり、条件を満たして審査を通過することさえできれば、誰でも貰えてしまうのです。
補助金と助成金の違い
続いて、補助金と助成金の違いについてです。
国や行政機関の予算で大規模におこなわれている補助金と助成金には、補助金(ただし、ここで言う補助金の中でも「助成金」という名称のものもあり、まぎらわしいので注意が必要です)と、厚生労働省が管轄している助成金(雇用系助成金)の大きく2つのものがあります。
補助金と助成金の違いを表にしてみましたので、確認してみてください。
補助金 | 助成金 | |
相対評価による審査 | あり | なし |
返済義務 |
ほとんどの場合なし |
なし |
支給されるお金の位置づけ |
事業に必要な費用の一部 あるいは全部を補助するもの |
人事労務の制度や採用に対する報奨金 (一部、費用の補助もある) |
一般的に添付するもの |
税務・財務書類 経営計画 など |
出勤簿や賃金台帳 社会保険の証明書 など |
相対評価による審査の有無
補助金と助成金の大きな違いとして、まず「相対評価による審査の有無」が挙げられます。
補助金は多くの場合、補助される経営や事業に条件を設けて、企画が優れているものに対して支給が決定されます。
競争形式のため、要件を満たしていても審査によって落ちる仕組みになっている場合が多いです。
一方で、助成金(雇用関係の助成金)は条件を満たしてさえいれば受給することが可能であり、通常は、優劣を競う要素はありません。
しかし、多くの場合に就業規則・賃金台帳・出勤簿などの添付が必要で、法令通りに作成されているか厳格な確認がされます。
さらに助成金対象の制度を作った証明となるさまざまな書面や、場合によっては写真や日誌などが必要となります。
添付書面に不正確なものがあると、支給が認められません。
どちらが受給しやすいかは一概に言えないのですが、助成金は人を雇用しており、法令に則った労務管理をおこなっている必要があります。
つまり、副業で受給しやすいのは補助金だと言えるでしょう。
要件を満たしている必要がある
補助金や助成金はボランティアでお金を配っているわけではなく、国や自治体の政策を推し進めることが目的です。
よって、国や自治体の政策と合致した事業を営んでいる必要があります。
補助金であれば、事業内容や補助金の使い道が要件通りのものである必要があります。
また、助成金であれば、国の政策に則った人事制度や労務管理、採用などをおこなう必要があります。
地域や時期によってさまざまな補助金や助成金があるので、自身の副業で要件を満たせそうなものを探してみるといいでしょう。
「個人事業」として申請する必要性や収入要件などがある
基本的に、補助金は中小企業や個人事業主を対象としています。
なぜなら、個人の副業レベルでは新技術の開発や地域活性化で大きな成果は見込めないので、支援する側としてもメリットが薄いからです。
よって、補助金や助成金を受けるために、極めて小規模な副業レベルでは対象外であり、最低でも「個人事業主」として申請が必要なレベルのものでなくてはなりません。
副業で補助金を受けたい場合は、個人事業主として登録・起業する必要がありますので、そうした手続きも必要です。
特に補助金の場合、「本業より収入が多いこと」などの、収入要件がある場合が多いです。
副業の事業が事業として十分に大きくなっていれば良いのですが、この要件は重要ですので注意して下さい。
雇用系助成金は300種類とも言われ、非常に数が多く充実しています。
しかし、先に見たように、要件に合致していれば支給はされるものの、基本的に従業員の雇用が必須です。
さらに、労務管理を充実した形で運用していないと受給が難しいものが多数あります。基本的には企業向けのものだと言えます。
どういった補助金・助成金が良いのか
結論から言えば、副業で受給できる可能性が高いのは、
- 小規模な事業者や創業者を対象にした補助金
- 雇用関係の助成金の中で、企業の規模や労務運用の影響が少ない一部のもの
です。
まず、副業をおこなっている方は小規模な事業の場合が多いと思いますが、少し工夫すれば事業を拡大していける可能性があるとも言えます。
国の産業への方針として、小規模であっても起業者を増やし、イノベーションを進めていくというものがあり、小規模な事業者への補助金は拡大傾向にあります。
こうした方向性の補助金の受給は、副業を大きく拡大していくフェーズでは考えた方がよいでしょう。
助成金(雇用系助成金)は、労務管理を仕組みとして行っていないと需給が難しいものが多いのですが、一部、受給しやすいものもあります。
小規模な事業者や創業者を対象にした補助金
■小規模事業者持続化補助金
支給額:最大50万円/1案件 2/3の補助をおこなう
小規模な事業者(個人事業者あるいは法人で4人以下の従業員の規模などの要件あり)に対して、販促に繋がる事業をおこなう場合に、ホームページ・販促物・その他の必要品の出費に対して、費消した額の2/3が補助されます。
個人事業者にとって最も使用しやすい補助金であるとともに、予算が拡大傾向で、年1回の申請だったものが4回に拡充されるなど、非常に使いやすいものになりました。
■IT導入補助金
支給額:最大450万円、小規模型は150万円 1/2の補助をおこなう
中小企業や小規模事業者に対して、ITによって効率化や収益性の向上が見込める事業に対するIT機器の導入について、1/2を支援するという補助金です。
あらゆるITの導入に使えるほど範囲が広いため、ぜひ導入を検討すると良いと思います。
補助金対象の事業者から導入する必要がありますが、対象となる事業者はホームページ等でそのことを公開していることが多く、適用から申請まで支援するサービスがあることも多いものです。
■創業に関する補助金(助成金という名称のものもある)
支給額:自治体や提供する主体によってさまざま。多くの団体や行政機関で同趣旨の助成を実施している。
東京都の創業助成金の場合300万円 2/3の創業に必要な経費の補助をおこなう。
創業事業計画を作成し、計画が認証されると、そのないようについて補助されるものです。事業として発展していくことを目指すものである必要があります。
起業向けの講座を受けたり、何らかの施設に入居したり、などの要件が付加されるものが主流になりつつあります。
副業の規模が大きくなり、事業としてさらに発展させたい場合に活用を考えていく補助金だと言えるでしょう。
雇用関係の助成金の中で、企業の規模や労務運用の影響が少ない一部のもの
厚生労働省のサイトから雇用関係の助成金を紹介していきます。最初に書きましたが、雇用関係の助成金は「人を雇用すること」が前提です。
また、基本的には雇用保険の対象者を雇用していることが要件であり、あるていどの時間を働く方を雇う必要もあります。
■採用に対する雇用系助成金
支給額:採用対象により、30万円、60万円、200万円以上
採用についての助成金では、一定の要件に当てはまる方を採用すると、報奨金や経費に対するまとまった助成が得られるものが多くあります。
副業が発展し、人を採用したい場合に検討するとよいでしょう。
誰を雇用しても良いわけではなく、長時間で長期の就業が初めての方・高齢者・障害者・母子家庭の親、あるいは地方から東京都在住の方を採用する場合、などさまざまではありますが、一定の要件の方を雇用する場合に限られます。
通常、ハローワークを通じて採用することが必要となりますので、注意が必要です。
申請書を提出する時期も助成金によって違うので、よく要件を確認してください。
■働き方改革推進支援助成金
支給額:コースにより違うが、80万円まで、整備に要した費用の3/4など
人事制度を構築することに対する助成金はさまざまなものがありますが、規模要件があったり長期間の社員の休業が要件とされるなど、小規模な事業であると受給しにくいものが多いといえます。
そういう中で、時間外労働改善助成金は、少人数であっても、働きやすい環境を整備することに対する女性がおこなわれるということで比較的取得しやすい助成金です。
いくつかの種類があり、それぞれに規定された制度の整備と、業務用ソフトや何らかのツールなどの導入に要した費用についての補助が認められます。
感染症予防に関する特例的な助成金(2020年4月8日現在の情報)
感染症が拡大している状況に鑑みて、さまざまな特例的な助成金が作られています。
副業者の方が主体で受給できそうなものは少ないのですが、本業先の企業で受給している可能性もあり、受給によって働く方へのフォローが手厚くできるものがあります。
参考情報として掲載します。
■小学校休業等対応助成金
休暇中に対象となる労働者に支払った賃金額全額。ただし1日あたり8330円が上限
2020年2月27日から6月30日までに小学校が休業になった子供の世話をしている労働者に対し、企業で法令以上の日数の特別有給休暇制度を作った場合、その賃金の全額を支給するものです。
■時間外労働改善助成金の特例
※下記2つをテーブルに入れる
テレワークコース:支給額100万円まで1/2
職場意識改善特例コース:支給額50万円まで3/4
中小企業の、テレワークの仕組みを整備する・感染症に関する休暇制度の仕組みを整備する、等の取り組みに対して、枠内の額が助成されます。
■雇用調整助成金
1年前の売上から一定の額の減少が認められた事業主が従業員を休業させる場合、休業手当の額の一定割合が助成されます。
感染症の流行により、売上減少は5%の条件となり、休業手当の9割の助成となっています。企業の規模や賃金額からの、支給の限度額はあります。
補助金や助成金の受給に当たっての注意点
副業で補助金・助成金を受ける場合にはいくつか注意するべきポイントがあります。
「補助金を楽してもらえると思ったけど、実際はそうでもなかった」「時間をかけたけど結局受給できなかった」といった事態を避けるために、注意点もしっかりチェックしておきましょう。
申請には労力と手間がかかる
補助金や助成金の申請をする際には必要書類を作成することが必須です。なかなか手間がかかり、もっとも悩ましい点として、書類の内容がかなり難しいことが挙げられます。
専門用語がたくさん使われていたり、専門知識がないと理解できない部分が多かったりで、人によっては書類1枚を作成するにも相当な時間がかかるでしょう。
「補助金を貰うために使った時間、副業をしていたほうがお金を稼げた」なんてことにならないよう注意が必要です。
複数は受けられない場合がある
補助金や助成金は、同一の経費について複数の受給を受けることは基本的にできません。
気づかずに受給されてしまうと、ほとんどの場合あとで返還義務が発生しますし、場合によっては不正受給としてペナルティが課せられてしまう場合も多いです。
よって、申請する際は優先順位をつけるなどしていき、本当に受給したいものを逃さないようにしていくといいでしょう。
まずはどのような補助金があるのかを確認し、もっとも自身の副業に必要そうな補助金を見つけるところから始めてみてください。
申請を代行してもらう方法も
タダでお金を貰える以上簡単にいくわけがなく、補助金の申請時は厳密な審査や要件のチェックがおこなわれます。
この際、どんなに頭を悩ませて書類を作成したとしても、不備があったり対象外だったりすれば容赦なく申請は却下されてしまいます。
つまり、知識がない人間がどんなに頑張って作成したところで、結局無駄骨になったり、貰える額が少なかったりする可能性があるということです。
よって、知識がある人間に代行してもらうなどの策がおすすめなのですが、この際に注意してほしいのが、「報酬を得て助成金申請の手続きを行うことは、法違反となる場合がある」ということ。
無資格のコンサルタントなどに報酬を支払って代行を依頼すると、内容が正しくても申請自体が却下されてしまい、さらに依頼自体が違法行為となる可能性もあります。
特に、雇用系助成金については、申請代行できるのが社会保険労務士のみであるという法律があります。
労働に関する多くの書面の提出が必要なため、特に代行する時には、専門知識を前提が必要な場合が多いためです。
まとめ
今回は、副業で補助金・助成金を受給するための方法と注意点について紹介しました。
補助金や助成金は、要件を満たしていれば副業でも受給することが可能であり、事業を進めていくうえでのさまざまな費用をまかなうことができます。
副業をはじめたばかりですと、実質受給できる補助金や助成金は限られてくると思います。
しかし、副業をさらに発展させていくフェーズで、補助金・助成金の存在を知っているか否かでその後の成長も大きく異なるはずです。
ただ、難しい点や注意点もありますので、不安なら専門家を頼ってみるのも手です。あなたの副業が今後さらに発展していくことを願います。
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