by大村昂太朗
スタートアップやベンチャーこそ副業社員を活用するべき理由と採用方法まとめ
スタートアップやベンチャー企業などの採用競争力が低く、採用にコストをかけられない企業ほど、メリットを享受できるのが副業社員(プロの助っ人人材)の雇用です。
- 「副業社員はロイヤリティが低いから真剣に仕事してくれないのでは?」
- 「自社も副業OKにしなくてはいけないから人材の流出につながるのでは?」
このような疑問・悩みに答えつつ、プロの助っ人人材を業務委託等で雇用するメリット、および効果的な採用方法について解説していきます。
目次
スタートアップによる副業社員の活用が増えている
昨今、自社の社員が社外で副業をすることを許可している企業および、副業を行っている社員を雇用する企業が増えています。
たとえば、株式会社ミラティブといったスタートアップ・ベンチャー企業やディー・エヌ・エーなどの大手企業。ひいては「堅い業界」の代名詞でもある銀行業の新生銀行などが、副業を許可している企業として有名です。
このような、副業を行うこと・副業社員を雇用することがスタンダードになりつつあるのはなぜなのでしょうか?特にスタートアップやベンチャー企業界隈では、社内人員の5割が副業社員で成り立っている例も珍しくありません。
優秀な人材ほど副業を志向する
- ・「今のキャリアとは違う道を進んでいたら、自分はどうなっていただろうか」
- ・「このスキルをもっと高く評価してくれる企業はないだろうか」
このように、今の自分のスキルと収入との差に違和感を感じる人や、もっとスキルを高めようと貪欲に成長を志向する人が増えています。
2018年の政府による副業解禁が背景にはあるものの、優秀な人材ほどどこでも稼げて、かつ貪欲にスキルの向上を求める性質への対応が時代遅れになっていたことが本質だと思われます。
そのため、世間的に信任を得た今、感染症対策によってテレワーク/リモートワークが増えた可処分時間を使って優秀な人材ほど副業をしている実態が浮き彫りになってきています。
ただ、副業をする側である個人にメリットがあるのは直感的にもわかります。純粋に収入が増えるわけですし、やりたくないならやらなければいいだけなので、デメリットはないでしょう。
しかし、副業社員を雇用する側である企業に何かメリットがないと、そもそも受給バランスが成立しないはずです。なぜ「副業」という市場が成立しているのでしょうか。
次からは雇用する側である企業の中でも、特に企業体力が低いはずのスタートアップ・ベンチャー企業が副業社員を雇用するメリットについて解説していきます。
スタートアップ・ベンチャーが副業社員を活用するメリット
スタートアップやベンチャー企業は利益が安定していないことが多く、企業体力も比較的低い傾向にあります。
よって、1人の社員を雇用することの意思決定の重大さは大企業とは比べるべくもありません。
しかし、実は副業社員の雇用は大企業よりも、逆にスタートアップやベンチャー企業で急速に広まっているのです。
それは、下記の恩恵を最も享受できるのがスタートアップやベンチャー企業であるという事実からです。
- 採用競争力がない状態でも優秀な人材に手伝ってもらえる
- すぐに働いてもらえる
- モチベーションが高いメンバーを雇用できる
- 採用・雇用のミスマッチが防げる
- 短期間・小規模のプロジェクトを任せられる
- 金銭的コストを抑えられる
どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
採用競争力がない状態でも優秀な人材に手伝ってもらえる
ベンチャーやスタートアップ企業は大企業ほど採用コストをかけられませんし、どんなに優秀な人材でも、厚遇するのには限界があります。
そして、総じて優秀な人材というのは、今の会社に優遇されている傾向にあります。
その会社が上手くいっているうちは、優秀な人材であればあるほど転職するインセンティブが低く、採用が難しいのです。
生々しい話でいえば、すでに魅力的な福利厚生やストックオプション、高い給料などをもらっている可能性が高いです。
ただ、優秀な人材ほど、自分のスキルを磨くことに真剣ですし、可能であれば現職で得られる以上のキャリアを得たいと思っているはず。
そのような優秀な人材にとって、「副業」という制度は非常に好都合なわけです。
- 家族のことを考えると今のポジションを辞めづらいが、スキルも高めたい
- 会社を辞めるリスクをとらずに、興味がある分野の仕事をしてみたい
副業だと本業を手放すリスクを取る必要がないため、彼らも気軽に始められます。
そのため、雇用する企業側としても、本来は採用できないような優秀な人材に参画してもらいやすいわけです。
このような副業社員の雇用は、採用コストをかけられないスタートアップやベンチャー企業にとって大きなメリットになるはずです。
すぐに働いてもらえる
スタートアップやベンチャー企業の経験がある人事、もしくは採用担当の方は「内定を出したときと入社時では状況が変わり、約束のポジションや仕事を任せることができない」という体験をしたことはありませんか?
普通の転職の場合、今いる会社を辞めずに転職活動をすることが多いので、内定が決定してからは有給消化や引継ぎを行い、実際に入社するまで平均2ヶ月ほどかかります。
しかし、スタートアップやベンチャーというのは、刻一刻と自社を取り巻く市場環境や取引先が変わります。
それに合わせて小規模のピボットを繰り返すため、採用時とジョインした時の状況が180度変わっていることも珍しくありません。
このようにして「採用時と入社時の時間差によるミスマッチ」は起こるのですが、副業を志望する人は2ヵ月後に副業をしたいのではなく、今したいわけです。
よって、有給消化や引継ぎをする必要のない副業社員の場合は、今すぐに来てもらえるというメリットがあります。
モチベーションが高いメンバーを雇用できる
正社員雇用の場合、
- ・「家族を養うため」
- ・「給料や待遇がいいから」
- ・「新卒で入ったし、新しい会社だと1から関係を築くのは面倒」
など、モチベーションが高い社員が多いとは限りません。しかし、副業人材は自らの意思で副業をやっているのであり、「やりたいからやっている」人が大半です。
さらに、その中でもスタートアップやベンチャー企業に副業で来る人は給料や待遇ではなく「やりがい」や「スキルの向上」のために来ているので、モチベーションが非常に高いわけです。
採用・雇用のミスマッチが防げる
日本企業は、よほどの理由がない限り正社員を解雇することはできません。よって、採用と雇用のミスマッチが起きても、解決する手段は自主退職以外にありません。
しかし、そのようなミスマッチの結果採用した社員は、さらに次の転職先にジョブホッパーだと思われないように、ミスマッチを自覚しながらある程度の期間在籍しようとします。
このような「双方価値観やニーズが合わなかった」というのはお互いに不幸しか生みません。
副業として雇用し、予め自社に合うかどうか見極め、かつ相手にも見極めてもらうことは、採用後のミスマッチを防ぐ上で非常に効果的であると言えるでしょう。
短期間・小規模のプロジェクトを任せられる
スタートアップやベンチャーを経営していると、
- ・「上場を目指しているので会計や財務をちゃんとしたいが、CFOは今のフェーズだといらない」
- ・「売上のインパクトが大きいのでこの案件は成立させたいが、長期的に目指すところではないので新しく社員を雇用したくない」
という、「無視できないが、コストを割きたくないスポット案件」が多々発生することがありませんか?
この場合、正社員だと先述したように、スポット案件が終わったら解雇することはできません。
しかし副業社員ならば、最初にお互いに話し合い、短期的に手伝ってもらうことに同意を得られれば問題が解決できます。
金銭的コストを抑えられる
お金の話になるので生々しい話になりますが、正社員を雇用する場合は額面がそのまま人件費になるわけではありません。保険や税など、額面以上のコストが正社員の雇用にはかかります。
このようなコストは当然、副業の場合はかかりませんので、雇用者として人件費を抑えられるメリットがあります。
以上のことから、スタートアップやベンチャーこそ副業社員を雇用するメリットが大きいと言えますが、ただ「副業OK」にすればいいわけではありません。
上手く副業社員を活用するには
副業社員を雇うメリットを最大化し、リスクを最小限にするには、下記のことに留意する必要があります。
- 副業社員に任せる仕事を取捨選択する
- ビジョンや価値観を擦りあわせる
- ミッションを明確にする
- 情報格差をなくす
それぞれ詳しく見ていきましょう。
副業社員に任せる仕事を取捨選択する
当然ですが、現場の社員向きの仕事と管理職向きの仕事は違いますし、同じように、副業社員向きの仕事と正社員向きの仕事は異なります。
さらに、よくあることですが、副業社員は外注とは違います。よく、外注するような大量生産系の仕事を任せている経営者の方がいらっしゃいますが、活用の仕方としては大いに間違っています。
前述したように、副業社員というのは正社員待遇だと来づらい優秀な人材が前提になりますので、時短を目的とする大量生産系の仕事は任せるべきではありません。
プロの一手が自社のポジションを変える領域もあれば、社内でスクラムを組んで熱量高くハックしていく素人の方が高いバリューを発揮できる領域もあります。
具体例をあげると、高速PDCAでグロースハックしていくような案件には以下のようなものがあります。
- 仮説ベースの打ち手と迅速なフィードバック
- リアルタイムでの方向性の共有
このような案件は、密なコミュニケーションがなければ機能しません。また、リモート作業の社員や副業社員は思ったようなバリューを発揮することは難しく、無駄にコミュニケーションコストが増す可能性さえあります。
逆に、「素人が50時間かけてもプロの1時間の生産性に及ばない」領域において副業社員は真価を発揮します。具体例でいえば、データ分析などが好例でしょう。
素人には大量の数字の羅列やデータにしか見えないものでも、プロはそこから有意な傾向や今後のプロダクトに必要な情報を瞬時に見分け、抽出することができます。
常に会社にいないとパフォーマンスが落ちる作業と、リモートでも問題ない作業を取捨選択することが肝要です。
ビジョンや価値観を擦りあわせる
何を目指している会社なのか、そのために今後〇年はどんなロードマップを描いているのか。会社・経営者のビジョンや価値観の共有・トラッキングはとても重要です。
「副業だし、今手伝ってもらったら終わり」というのは外注を利用する場合の考え方であり、副業社員を雇用するのに適した考え方ではありません。
副業社員は優秀な「プロ人材」であり、副業だから採用競争力が低くても来てくれたわけです。
いつか会社のステージが変わり(余裕ができたら)、正社員として雇用を検討する場合に、このようなビジョンや価値観の共有が、入社の動機になりますし、副業中のモチベーションにも結び付きます。
ミッションを明確にする
副業・正社員関係なく、どんな仕事も目指すゴールや成果の定義が明確でないと上手くいきません。
雇用者の立場としても、任せるべき仕事と対価が明確でなければ時間を無駄に使い、雇用者・副業社員双方ともに不幸になってしまいます。雇用前に、成果の定義を明確にしておきましょう。
情報格差をなくす
外注のように「一時的に仕事を切り出して、完了したら終わり」なら問題はありません。
しかし、副業期間が終わった後に自社への転職を検討してもらうためには、社内の正社員と副業社員との間で情報格差を有意につけるのはおすすめしません。
そもそも短期間で会社を取り巻く環境や、それに合わせたリソースの割き方が目まぐるしく変わるのがスタートアップやベンチャー企業の特徴。
よって、「何の情報を守り、何の情報を出してもいいか」という基準もコロコロ変わります。
何の情報を教えてもよいかを確認しながら副業社員とコミュニケーションをとることは、それだけ情報の管理コストがかかりますし、何より副業社員の信頼を得られません。
オンラインでのコミュニケーション量が多くなりますので、「直接対面していないから伝わっていない情報が多い」とならないように意識することが必要です。
優秀な副業人材を採用するには
副業社員とはまさしくプロ人材であり、採用するメリットが大きく、かつスタートアップやベンチャーこそそのメリットを最大限享受できる人材と言えるでしょう。
とはいえ、雇うメリットや効果的な採用方法についてまだピンとこない採用者もいるはず。
少なくとも、5年前ならまだしも、今では「うちは副業OKです」は採用施策にはなりえません。
さらには、前述したように、価値観や方向性が異なる「副業社員」を雇ってしまうと、スタートアップやベンチャーにとっては致命的なコストになりかねないので注意が必要です。
「うちはまだ採用コストに余裕がなく、採用施策もまだない」という経営者・採用者の方は、副業者の「質」と「採用戦略」の面でわからないことがあれば「プロの助っ人」に相談してみてください。
まとめ:スタートアップやベンチャーこそ副業社員を活用すべき
ゲームチェンジャーたるプロ人材を雇用できる「副業」は、スタートアップ企業・ベンチャー企業にとって最もメリットがある採用制度であることは疑いようがありません。
弊社クライアント企業でも、勢いのあるところほど、新規の採用施策で副業社員を強化していくと打ち出す企業もどんどん増えてきています。
しかし、まだまだ比較的新しい人材市場であるため、その良さに気付く経営者は少ないです。
逆にそういった状況だからこそ、優秀な副業人材を活用して一気に他社を引き離す事も可能です。
そしてその先には、「プロの副業」が提唱するこれからの採用方法「副業からの転職」というミスマッチ0の理想的な転職にもつなげることも可能です。
<こんな方におすすめです>
- 経営課題にマッチしたプロ人材が見つからず、課題が前に進まない
- ようやく見つけても、高額な年収がネックとなってしまう
- いざ採用して、もしも期待値以下だったらどうしよう、と不安になる
- ピンポイントな専門家を常時活用できるポジションの用意は難しい
- そもそもどんな人材が必要なのかわからない
ハイスキルシェアリング「プロの助っ人」では、年収800万円を超える通常は雇用が難しいハイクラス人材を、必要な時、必要な分だけ20万円~業務委託で活用できる新しい人材活用の形をご提案しています。
人件費はできるだけコストカットしたい。
しかし現状の社内の戦力だけでは経営課題の解決は難しい。
そんなときに「ピンポイントで助っ人に力を借りる」活用が、成長企業を中心に始まっています。
このような経営課題でお悩みの企業様は、是非ハイスキルシェアリング「プロの助っ人」にご相談ください。
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