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副業ナレッジ

by大村昂太朗 大村昂太朗

副業制度を創り活用するために①制度を作るとき陥りがちなリスク~意思決定は誰がするのか

副業制度を創り活用するために①制度を作るとき陥りがちなリスク~意思決定は誰がするのか_アイキャッチ

今回から、制度構築編として、何回かに分けて企業における副業制度の構築で注意すべき点についての解説をしてまいります。今回は、「制度を作る時に陥りがちなリスク」について述べています。

社員の副業を認めることは、経営に大きな影響を及ぼす施策になり得ます。また、そうした影響を避けるために「ごく限定的に適用する制度にしよう」としても、制限を加える法的根拠は弱いといえます。

副業について社会的な認知がまだ弱い現在では、副業制度が有名無実化し、副業が認められない状態になっていることについては、直ちに大きな問題にならないこともあるかもしれません。

しかし、今後の社会的な流れとして、多様な働き方がさらに広がっていくことは政策的にも明らかです。

働く人の権利でもある、副業の権利を認め、活用していくような制度運用を行わないことは経営上のアキレス腱にもなり得ます。

社労士松井勇策バストアップ写真

【プロフィール】

松井勇策(社会保険労務士・公認心理師・Webアーキテクト) フォレストコンサルティング労務法務デザイン事務所代表。副業/複業・リモートワーク・上場対応・AI化支援・社内社外ブランディング・国際労務対応など「新しい生き方・働き方の確立の支援」を中心に、社労士や心理師として活動している。著作等も多数。

名古屋大学法学部卒業後、株式会社リクルートにて広告企画・人事コンサルティングに従事、のち経営管理部門で法務・上場監査・ITマネジメント等に関わる。その後独立。東京都社会保険労務士会役員(支部広報委員長・研修/広報委員・労務監査責任者等)

副業制度立案プロセスと意思決定の主体

副業制度立案プロセスと意思決定の主体

副業制度の立案までのプロセスの前半は、まずは以下のようになり得ると考えられます。(立案の後は、制度を具体的に考えるプロセスに入りますが、まずは立案自体について書いています)

①副業についての意思決定の主体者を決める(通常は経営者であると考えられる)

副業制度の立案の担当者を決める

②副業を行うことによる到達し得る理想像を考え、決議する

③必要ある場合は実験的な部署で検証する

副業制度の運用にはさまざまなメリットがあり、またその効果は企業によって違いがあると思われます。

しかし、そうした効果は時にとても大きく、企業の形自体を変えていくような影響を及ぼし得ます。そのような影響度の高い事項を扱うのは、通常は経営者であるといえるでしょう。

この点について、そこまでの重大性の認識がなく制度構築してしまうことは副業制度がうまく機能しなくなってしまうことに繋がってしまいます。よって、プロセス①はとても大切です。

「人事制度」と捉えるとうまくいかない

「人事制度」と捉えるとうまくいかない

よくある失敗事例が、副業制度を人事施策ととらえてしまい、人事部で他の人事制度と同じように扱い制度化してしまうということです。

副業制度の立案の担当部署については人事部でも良い場合も多いのですが、人事制度と同列に扱うことは様々な問題が起こり得ます。

たとえば、副業制度を実際に運用すると、具体的な申請内容のごく一例として、以下のような内容の申請が想定されます。こうしたことに対しての判断フローや決定権者を決めておく必要があるのです。

①社内の知的資産に直接触れ得る技術者の方が、自分の技術を活用した副業を行いたいと申請を出している。
→どういった基準でOKとすべきか

②ローキャリアで負荷がかかる営業部門の社員から、それなりの負荷がかかりそうな副業申請が上がってきた。
→どのような視点で判断すればいいのか

上記の問題を見るだけでも、知的資産のような内部管理的な問題から、組織編成や、場合によっては営業企画的な配慮が必要なこともあり得るでしょう。少なくとも、既存の人事部門に収まらない問題があることが分かると思います。

副業制度がうまく運用されている企業では、上のような申請についての社内の考え方・判断プロセス等が整合的に考えられていますが、そうした運用の基盤にはほとんどの場合、経営的な意思決定があります。

副業制度の意思決定のポイント

副業制度がうまく運用されている企業では、経営的な意思決定として特に重要なこととして「自社の人的な資産=社員についてのそもそもの管理のポリシー」についてしっかりと決議がされていることが多いのです。

そしてそれは基本的には、「一人ひとりの生き方は自分が決めるものであり、会社はそれを許容し、支援し、生かしていく存在である」というような方向性の考え方があるといえるでしょう。

そういう方向の意思決定がない状態で、たとえば「どのように副業制度の運用上のリスクを減らすか・部門調整をするのか」という方向性で判断しようとしても、上記の①も②もうまく判断ができないのではないか、ということは容易に理解できることです。副業制度の意思決定のポイント

たとえば②の例に対して、マネジメント面で「もう少し副業の時間を減らすように強く指導する」という判断をすること自体は、広い視点での合理性はあると思います。

しかし、それは会社が教育方針に沿わない社員の副業を禁止するわけではなく、その社員の方の育成を考えた時に、もう少し負荷を減らす必要があるから本人と合意できるように話し合いをするのだ、というポリシーのもとに行うことだと思います。

そうしないと、本人の自己決定との間で利害が対立することは目に見えているともいえます。

制度の本質的メリットと今後の社会で発展していく企業である決意

制度の本質的メリットと今後の社会で発展していく企業である決意何よりも、会社において副業制度を導入する基本的な考え方の基盤となるのは、副業制度を導入することの本質的なメリットを認識することです。

メリットとしては、次のようなものが挙げられます。

①社員を縛り付けるのではない道を開くことで、経営を洗練させ、自社の魅力や優位性を見直すきっかけを手に入れる
②社外で働く社員が新しい技術や知見を手に入れることで、社内における業務の質の向上やイノベーションが進展する
③従業員が必然的に自分のキャリアや生活全体を見直し主体的な意思を持つきっかけとなるため、主体性が上がり、生産性が高くなる

ただし、企業の風土や方針によっては、どれもデメリットに直結し得ることも重要です。

①は人材の流出と裏表です。②も社内で生かす場と環境がなければ意味がありません。③も、時間を取られた社員の働くモチベーションが下がることも考えられるでしょう。

しかし、いまの社会は明らかにオープンで多様な働き方を推し進める方向に向かっており、上記のメリットを実現できるような環境が実現できるような企業でなければ、遅かれ早かれ衰退する方向に進むことは目に見えているともいえると思います。

副業制度とは、企業の側で、社員を本当に信頼し、オープンで自由な道を開き、そこで生まれた機会を自社の変革と発展につなげていく、という素直な決意を行うことによって初めて成立し得るのだと思います。次回からは、副業制度の検討にあたっての実験的な部署の創設や、さらに副業制度方針が決まってからの検討方法について解説していきます。

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大村昂太朗

大村昂太朗

この記事を監修した人 大村昂太朗 株式会社リアステージ プロシェアリング事業責任者兼プロテンマガジン編集長

2020/4の新卒配属時から一貫して総合人材支援会社、株式会社リアステージに従事。 1年目から新卒周りで事業の立ち上げと責任者を担い、2年目にインターン事業を立ち上げ。3年目のタイミングで新卒から副業領域にキャリアチェンジして、プロシェアリング事業の立ち上げ、責任者を務める。