by大村昂太朗
インターン副業という転職とキャリアアップの可能性について
副業の解禁・奨励を発表する会社が日に日に増加しつつあります。
社会的に副業への関心が高まっていると言えますが、どこかで「自分には縁がないな」と感じている方も多いのではないでしょうか?
現在勤務している会社での仕事に全精力を注いでいる方、本業を大事にしたいと考えている方にとって、副業は縁がないことなのでしょうか?
副業は、むしろそうした方にとってこそは、大いなる実りをもたらしてくれるものになり得ます。
この記事では、自身が社員として働く本拠地であり、自身が本業を営む場所=本籍地である会社を、今以上にあなたにとって最適なものとしていくために、副業が非常に効果的であるということについて紹介します。
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目次
副業の目的は収入か経験か転職か?
はじめに、多岐にわたる副業がもたらしてくれるメリットを整理します。
どのメリットに力点を置いて副業を行うかによって、副業はいくつかのタイプに分けることができます。
キャリアを磨くための副業
1つめは、キャリアを磨くための副業です。
キャリアを磨くために、仕事で成果を生み出すための能力を磨くために、在籍している会社を離れてさまざまな経験を積むということに力点を置いた副業です。
新しい能力を身につけるために、お金よりも経験を優先する副業です。
本業でなかなか経験できないことというのは、多々あるものなので、下記のように副業を利用する手段があります。
- 積み重ねてきた経験をもとに隣接した領域の経験も積んでみる
- 異なる2つ以上の経験を掛け合わせて他の人には真似できないスキルの掛け合わせを創る(スキルの掛け算)ために、あえて経験したことのない仕事に挑戦してみる
こうした経験は、あなたのキャリアを豊かなものに進化させていくために、かけがえのない経験となるはずです。
会社のカラーやその会社が立っているステージによっても、経験できることの幅は変わってきます。
- 都市部の会社/都市部以外の会社
- 大人数の会社/少人数の会社
- 開業間もない新興企業/長い歴史をもった老舗企業
- イケイケドンドン型の会社/じっくりじわじわ型の会社
- 業績・利潤重視の会社/理念・社会的価値重視の会社
会社の数ほど会社のタイプは存在します。学べることは世の中にある会社の数だけ存在するといっても過言ではありません。
特に、「アンコンフォータブル・ゾーン(Uncomfortable Zone/非快適領域)」と呼ばれる、今まで積み重ねてきた経験や強みを活かせず苦しむような場所に敢えて飛び込むことは、その人に非連続な成長をもたらしてくれるでしょう。
たしかにアンコンフォータブル・ゾーンが日常となってしまっては苦しいでしょう。
しかし日常の基盤をしっかりと整えたうえで更なる成長を貪欲に求めて副業としてアンコンフォータブル・ゾーンに挑戦することは、長い人生をより豊かで恵まれたものへと導いていってくれるでしょう。
お金を稼ぐ(収入を伸ばす・収入口を分散させる)ための副業
安定が崩れたときの備えとしての副業
経済・財政の先行きも不透明な時代である一方、平均寿命が延びて可処分時間も増え、可処分所得を増やしたいと考える方は多いと思います。
そのような方が、本業を通じて培った能力を武器に「収入を得る」ことを主目的として行う副業が、2つめのタイプの副業です。
終身雇用や年金についても不安な話ばかりを聞くようになり、安心を得るためには自ら行動を起こさなければならない、と考える方も増加傾向にあります。
自由になるお金を増やしたいというよりも、安定が崩れた時のための備えとして副収入を積み重ねておきたいという動機で副業に関心を持っている方の方が多いかもしれません。
いずれにしても、現在勤めている会社だけに依存せず副業を通じて複数の収入口を得て総収入を伸ばしていくことは、ワークライフバランスをトータルに考えた時に、長い人生を豊かで安心できるものへと変えていってくれるものとなります。
しかし、このようなタイプの副業の場合、本業も副業も一生懸命に時間と体力を注ぎ込んで仕事に打ち込み、結果として健康を崩してしまったりしては、本末転倒です。
このようなタイプの副業の場合は特に、生活全体の時間配分をきちんと可視化してスケジューリングし、無理なく続けられるように工夫していくことが肝要です。
マネジメント職にとっての副業
会社で役職階層を上がっていくと、自ら仕事で成果物を創り出すことだけでなく、マネジメントを通じてチームの皆の成果物の質と量を最大化することが求められていくようになりますよね。
マネジメントは、リスクを伴う意思決定を行うのが仕事の大部分を占めるようになっていきます。
ただ単に管理するのではなく、意志決定を行う仕事であり、プロフェッショナルな技能が求められる仕事ですから、決して簡単ではありません。
大きなプレッシャーを伴いますが、あまり心配をしすぎて保守的になってしまうと、マネジメントの仕事が立ちいかなくなってしまいます。
ですから、そういった心配をし過ぎることなく、自分自身が思うところを堂々と主張していくためにも、副業によって収入口を複数に増やしておくことは、実に有用なことなのです。
複数の収入口を持っておくことは「一時的に収入が減ったとしてもゼロにはならない」という保険としての役割を果たすようになり、結果として本業に思い切って打ち込んでいくことができるようになる効果を生みます。
現代を生きるマネジメント職の方々にとっても、副業は決して無縁なものではありません。
転職の際のミスマッチを限りなくゼロに近づけるための、インターン的な副業
「太い副業」を通じた新しい転職のスタンダード
自身が働く本拠地としての会社をしっかりと確保していくことは、多くの方が関心を寄せるテーマかと思います。
「まず本業でしっかり成果をあげていかないと本業の会社に居づらくなってしまう」「本業で勤めている会社が不安定でそちらを先になんとかしたい」といったことを考えている方も多いのではないでしょうか。
本業を営む本拠地としての会社は、生活の砦であり人生におけるあらゆるチャレンジの基礎となるものですから、まず本業の会社を自分にとってベストな場所にしたいと考えるのは自然なことでしょう。
こうした方にとってこそ副業は、よりよい人生の展望を描いていくための有効な手段となり得ます。
以前は転職というと、下記のような厳しいプロセスであるとイメージされてきました。
- 現在勤めている会社に何かしらの物足りなさを感じ転職を決意し
- それから限られた情報をかき集めて転職候補先を探しだし
- 選考段階では自分だけが一方的に審査され
- 転職してから転職先の職場の実態を知り、その環境に何とか順応できるように自分のほうが一生懸命努力しなければならない
しかしこれからの時代は、このような転職をしたいと考える人は減っていくと思われます。
「自分が主導権を握って、会社と対等な立場に立ってお互いのことをきちんと知り合い、お互いの合意と納得の上に転職をしたい」と考えるのは当然です。
では、どうすればそのような転職が可能になるのでしょうか?副業がその鍵になります。
「案件単位の小さな副業を通じて縁を得た会社に踏み込み、事業に継続的に関わっていく副業社員という名のビジネスパートナーとして
継続的な成果を出す代わりに、継続的な報酬を得る。
このような「太い副業」を構築していく中で
お互いのことを理解しあい、お互いに改めて必要な存在であると感じられるようになったなら、双方の合意と納得の上で転職をする」。
こうした新しい転職の形を、「インターン副業」と呼びます。
万人が試してみる価値のある副業
通常の転職活動ではわからないことが、インターン副業ではわかるようになります。
実際に働いてみてはじめて分かることというのは、多々あるものです。
会社のカルチャーは特にそうです。同僚の人柄や、交わされる会話の内容、人間関係の距離感はもちろん、下記のようなことです。
・権限と裁量のありかた ・社としての重要な決定がなされる際に重視されている価値観
こういったことは、ただ単に仲間として外側から内側をちょっと眺めるだけでは決してわからないものです。
副業社員としてきちんと対価としてのお金を受け取りながら、中でシビアに仕事をしてみてはじめてわかるものなのです。
インターン副業とは、「ちょっとお試しで議論に参加して、会社の雰囲気をなんとなく感じてみる」というようなものではなく、もっともっとディープなものなのです。
これからは、インターン副業が一般的なものとなり、普及していくことでしょう。
現在勤めている会社に満足していようがいまいが、世の中にはもっと良い会社があるかもしれません。
「転職したい」という差し迫った動機があってもなくても、常に「いま勤めている会社以外の会社に副業を通じて触れ、相性がよい会社が見つかったら一歩踏み込んでインターン副業をして、お互いについての理解を深めておくといった行動を常に行っておくことが重要です。
いますでに満足のいく会社に勤めていることができていたとしても、もっと満足のいく会社と出会える可能性だって十分にあり得ます。
その意味で、インターン副業は特殊な状況に置かれた人のための特殊な副業ではなく、万人が試してみる価値のある副業であると言えるのです。
インターン副業を成功させるには
どういう会社でインターン副業をすべきか
まずは副業先を選ばなければなりません。その選び方は、副業で得られる経験や収入の額以上に、働きたいと思える会社かどうかで選ぶことが重要なポイントになります。
自身が共感できる理念や価値観、自身とマッチした企業文化や組織風土をもった会社であるのかどうか。
そうした点を意識して、会社を探していくとよいでしょう。
どうやってインターン副業を実現するか
企業側があらかじめ将来的な採用の可能性をにらんで募集しているケースもないことはありませんが、現状ではまだまだ多くありません。
今後は急速に増えていくことが予想されますが、現在の世の中ではどうやってインターン副業を行うことができるのでしょうか?
まずは、副業を通じて「継続的なパートナーシップを組んでいきたい」と考えている企業と個人をしっかりとマッチングしてくれるエージェントを通じて、小さくても副業をはじめてみることからスタートさせていくのがよいでしょう。
最初は求められる成果物(アウトプット)が明確な、ごく小さな案件単位の「ショットの副業」から始まるのが普通です。
最初は単発的なお付き合いかもしれませんが、そこでコツコツと成果を出していくことで信頼が生まれ、徐々に継続的なパートナーシップ関係が築き上げられていくのです。
そうして継続的に仕事の成果を積み重ねていった延長線上に、案件を発注する側と受注する側という関係性ではない、何を創り出すかを共に考えて共に創り出していくパートナーとしての関係性が生まれてきます。
こうなるとお互いを縛るルールもどんどん不要になり、ゴールだけを明確に握り合ったうえで、それ以外の働き方についてはお互い自由に決めていくという関係性へと深化していきます。
お互い常にそこにいて、片方から何か依頼がなくとも「これはこうしたら良いのではないでしょうか?」という提案や仮説が飛び交うような関係性へと成熟していくのです。
こうなれば、もはやお互いがお互いにとってなくてはならない存在となっていますから、その証としての雇用契約を取り結ぶことも考えにのぼってくるでしょう。
そうして結果的に転職へとたどり着いていくわけです。
このように、インターン副業を実現する道のりは決して簡単な道のりではありませんが、こうして作られた関係性は、実りある豊かな関係性になります。
なんといっても相思相愛ですし、お互いが対等に尊重しあった関係性であるわけです。
信頼関係を築き上げるのは、簡単ではありません。普通の転職活動であれば、早ければ3~4回の面接で転職先が決まることもあるでしょう。
しかしインターン副業の場合は、関係性を築くだけでも数か月以上を要するものです。
ですからすぐにでも転職がしたいという方には向いていませんが、インターン副業を志向する方は、早め早めに動いておくことをおすすめします。
本業が充実した状況で並行してインターン副業もじっくりと進めていくのが理想のサイクルですから、まずはスタートしてみることが大切です。
将来的な理想の転職の可能性を手にするためにも、まずは小さな副業からでもスタートしてみることをおすすめします。
最後にひとつだけ補足をしますと、「インターンだから(採用考査を兼ねているから)」という建前で、本来であれば対価が支払われるべきであろう仕事を依頼しておきながら無給・無報酬、もしくはそれに近い形で働かせるようなケースもありえます。
十分にご注意ください。
インターン副業を成功させるには?
さて、無事にインターン副業を開始できたとしても、これを成功させることは簡単なことではありません。
自分が会社のことをじっくりと見定めることができるということは、裏を返せば会社も自分のことをじっくりと見定めているということです。
仕事の成果物だけではありません。アウトプットまでの過程や振る舞いについても、よくよく見られていると考えた方が良いでしょう。
会社での仕事はチームワークが重要視されますから、コミュニケーション能力が問われます。
ですから、副業だからといって1つひとつのコミュニケーションをおろそかにしてはいけません。
また、インターン副業となると必ずしも明確な案件があるとは限りません。その都度柔軟に「何をするかを決めていく」ことになっていくわけです。
したがって、そこで「待ちの姿勢」でいては何も前に進みません。それは会社に入社したあとも同様のことですが、自発的に「何をすべきか」について提案を続けていく気構えが必要です。
仮説を立て、提案していく。コミュニケーションを通じて、仮説を洗練させていく。合意形成できたら、実際にアクションしてみる。その繰り返しなのです。
いまどき自分で何をすべきか考えられない人を採用したいと考える企業は少ないでしょう。まさにその発想力と行動力が問われていくのです。
このプロセスは大変なものではありますが、だからこそ学びにもつながるものです。
ましてや、副業として「お金をもらって、しかも学ぶことができる」という環境です。
こんなに恵まれた話はありません。思い切ってチャレンジしてみる価値があることではないでしょうか。
インターン副業の持ち得る価値
これからの時代を自分の力で生き抜いていけるようになるために、「インターン副業」は非常に有効な選択肢となりえるはずです。
これからは、長いキャリアを通じて、以下のような流れをまわしていければ理想でしょう。
- 複数社で副業をする
- その中の1社を「インターン副業」に発展させていく
- その会社に転職する
- その転職先に勤めながらも、複数社で副業する
(繰り返し)
「大副業時代」となっても、仕事の本拠地としての社員として所属する会社の重要性は変わらないでしょう。
会社で働くということは、自らのスキルを武器にお金を稼ぐというだけではなく、その会社の一員としてその会社が掲げる理念の実現に向けて尽力するという、別の価値もあるものです。
だからこそ、そうした自らが身を置く会社を自分が納得のいく場所へとしていくためのインターン副業が価値を持ちうるのです。
副業に対してまだ「小遣い稼ぎ」というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、副業はそれだけではない広がりを持っています。
ぜひ広い視野で、自身にとってどのような副業をしていくことが豊かなワークライフバランスを築いていくことにつながっていくのか、じっくりと検討してみてはいかがでしょうか。
その検討の時間は、のちのち振り返った時に「人生を変えた時間」として思い出されることになるかもしれません。
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