by大村昂太朗
SNS別インフルエンサーマーケティングの特徴や得意分野・効果の違い
現在、多くのSNSで数々のインフルエンサーが活躍しています。YouTuberやインスタグラマー、ツイッタラーといった名称でも呼ばれており、活動内容も人それぞれです。何かしらのインフルエンサーを誰もが一度は見たことがあるでしょう。
そこで、インフルエンサーマーケティングを実施し、商品やサービスの宣伝がしたいと思う企業も増えてきています。
実際、自らのYoutubeチャンネルやインスタグラム、Twitterを持ち、自社の商品やサービスを効率的に宣伝する企業も年々増加しており、なかにはSNS上で大きな話題を呼んでいるモノもあります。
しかし、たくさんのインフルエンサーがいるからこそ、誰を起用しどのSNSでPRすればいいのか迷う方も多いはずです。そこで今回は、SNS毎の特徴として代表的なインフルエンサーや訴求方法、相性の良い商品・サービスなどを紹介していきます。
これからインフルエンサーマーケティングを始めよう思っている方は、失敗しないための参考にされてください。
目次
SNS毎にインフルエンサーマーケティングは変わる
現在のSNSは、Instagram・Twitter・TikTok・YouTubeなど多種多様です。そしてインフルエンサーマーケティングにおいて、これらのSNS毎にユーザー層や訴求方法を選んで、活躍するインフルエンサーはそれぞれ存在します。
例えば、YouTubeは動画投稿サイトなので、「実況」「やってみた系」などの観て聴いて楽しめるものが受けやすいです。商品については生の反応や感想が伝わりやすく、「レビュー系」の動画も良いでしょう。
また年齢や性別などでも、SNSによって差があります。総務省のSNSに関する資料では、SNSを一番利用している若い世代はTwitterやInstagramの利用率が高く、人気のあることがわかります。(LINEは除く)
参考:総務省「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率」
一方30代以降では、Facebookの利用率が高く、さらにInstagramは20代の利用率が 78.6%で最も高く、10 代、40代及び50代で、「LINE」に次いで高い利用率です。
このようにSNS毎に利用しているユーザー層はさまざまで、その特徴にも違いがあるため、PRする商品や訴求方法、起用するインフルエンサーなどは変わってくるわけです。
失敗しないためにもSNSの特徴を知る
SNSの特徴を理解していないと、インフルエンサーマーケティングを上手に運用していくのは難しくなります。
例えば、某コーヒーメーカーがTwitterでキャンペーンを実施した際に、ユーザーとの対話を一切無視してしまったせいで炎上するという事例がありました。
これは、企業がソーシャルメディアとマスメディアを混同していたことが原因です。
SNSでは、ユーザーとのコミュニケーションが重要なことであり、好感を持ってもらうことでKPIであるエンゲージメントを高めることに繋がるからです。
インフルエンサーマーケティングは、マスメディア向けの広告よりも費用を抑えらますが、事業自体が失敗してしまえば元も子もありません。
適切な運用をするために、まずはSNS毎の特徴を掴んでおきましょう。
インフルエンサーマーケティング×Instagramの特徴
Instagramは、画像をメインとして投稿するSNSのため、写真の見栄えや綺麗さなどが特に重要となることから、画像の加工はもちろんのこと、いかにユーザーの目を惹きつけることができる画像になるかを検討する必要があります。
そしてInstagramでは、ハッシュタグ(#)から他人の投稿を探す傾向があり、基本的に文章を記載するより、画像の特徴を捉えたハッシュタグを付けて投稿することで拡散性を高められる特徴があります。
この特徴から、活躍するインフルエンサーは写真でユーザーを惹きつけられる、可愛い・格好良いといった外見的な魅力の高い人物が多いです。
そのため、独特の世界観を写真で表現できる、アーティスト思考の人にも向いています。
それもあって、インスタグラムでは一般人のインフルエンサーも多く、雑誌で活躍する読者モデルのSNS版といっても過言ではありません。また女性のユーザー層が多いことから、化粧品やファッション、グルメなどの商品を訴求しやすい点も覚えておきましょう。
- 代表的なインフルエンサー:モデルやタレントとしても活躍するクレイトン愛さん(フォロワー数66万4,000人)、ファッション系の大坪はるらさん(フォロワー数59万7,000人)、旅行系インスタグラマーのHalno Jujiraokaさん(フォロワー数26万9,000人)など
- 主な訴求方法:インフルエンサーが商品を写真やハッシュタグを使って発信
- 効果測定方法:エンゲージメントやリーチ率などのユーザーの深い反応
- 相性が良い商品・サービス:化粧品やファッションなどの女性向けやトレンド商品・相性が悪い商品
- サービス:ゲーム実況などの長編動画、保険や投資信託などの商品を写真で表現しにくいサービス
- 費用感:1フォロワーあたり1〜4円ほど、事務所に所属している人物の起用は高くなる傾向
インフルエンサーマーケティング×Twitterの特徴
Twitterは、「いいね」や「リツイート」などで、フォロワーやその先の繋がりまで情報が広がっていく可能性が高い拡散性の強いSNSです。文章がメインとなるSNSのため、文字だけでも伝わりやすい有益な情報やニュース系のものを宣伝するのに効果的です。
匿名性が高く本音で発言しやすいため、思想や考え方などの抽象的なことで、ユーザーの心を掴むことができます。インフルエンサーの発言や言動自体に大きな注目が集まるSNSと言えるでしょう。
Twitterのタイムラインは時系列順で並びます。フォローしている数が多い人ほど情報が流れやすく、一度の投稿ではあまり効果を得られないこともあります。
自分のTwitterアカウントで宣伝効果を高めるためには、自分の投稿を見に来てくれる人たち(フォロワー)を増やす必要があり、高い頻度とある程度の質を保つことが重要です。
初めのうちは、なかなかフォロワーが増えず大変な面もありますが、継続することで結果はついてきます。
また文字だけでなく、画像や動画で商品やサービスについてわかりやすく伝えることも可能ですので、販売促進やサービスへの登録というよりは、より多くの人に拡散される高い宣伝効果が「Twitter」では期待できます。
ただし、匿名性と拡散性が高いということは、炎上といったトラブルが起こりやすいことにも注意を払っていかなければなりません。
一度炎上してしまうと、悪いイメージがしばらく残り続けてしまいますので、投稿する前に炎上してしまいそうな要素はないか、誰かにとって悪い情報はないか、確認を怠らないように気をつけましょう。
- 代表的なインフルエンサー:起業家の堀江貴文さん(フォロワー数約320万)、作家のはあちゅうさん(フォロワー数約22万人)、ブロガーのイケダハヤトさん(フォロワー数約19万人)
- 主な訴求方法:商品やサービスの有益さをわかりやすくまとめて発信
- 効果測定方法:いいねやリツイート数、インプレッション
- 相性が良い商品・サービス:情報商材やWEBサイトのサービス、利便性の高いガジェット製品など
- 相性が悪い商品・サービス:口臭対策グッズや抜け毛予防などのプライベートの事情がバレる商品
- 費用感:1フォロワーあたり1〜4円ほど
事例1:LINE MUSICの宣伝
インフルエンサーマーケティング×TikTokの特徴
Tiktokは、10代を中心とした若者に大人気のショートムービーを投稿できるSNSです。面白い映像などを簡単に作成することが可能なクリエイティブ面が、数多くの人の気持ちに刺さるサービスではないでしょうか。
動画自体は15秒程度で、フィルターや特殊効果を活用して映像を様々な加工や編集ができます。そのため伝えたい商品やサービスを簡潔に、そしてわかりやすく宣伝可能です。
最近では、若者人気に乗っかる形で、中高年の人にも利用されるほど知名度が高まっています。今回ご紹介しているSNSの中でも一番新しいサービスなので、今後さらに伸びる可能性があるSNSと言えるでしょう。
またICT総研が発表した調査では、Tiktokは19.7%と、YouTube、Twitter、Instagram
と比較しますと、まだまだ利用率は少ないですがこの数年伸びています。
しかも、利用時間もデータによると、43.6%の利用者が1年前より時間が増加している傾向にあり、他のSNSに比べて一番その率が高いことがわかります。
参考:ICT総研「2018年度 SNS利用動向に関する調査」
Tiktokでは大々的なイベントの際に、テーマに沿ったダンスを踊る動画をユーザーから募集する形で話題性を広げる方法があります。そしてクオリティの高い投稿にはQUOカードといったプレゼントで、ユーザーを巻き込んでさらなる宣伝効果が期待できるのです。
これらの宣伝方法は、Twitterなどと連動しTiktokにユーザーを誘導することで、さらに効果を高められます。
- 代表的なインフルエンサー:渡辺リサさん(フォロワー数79万9,600人)、Erikaさん(フォロワー数52万1,200人)、ゑむ氏。さん(フォロワー数26万9,800人)
- 主な訴求方法:Twitterなどと連動した大々的なイベント、#チャレンジで特定のテーマで作るユーザー参加型の公式タイアップ
- 効果測定方法:いいねやコメント、再生数。連動しているSNSでのハッシュタグなど
- 相性が良い商品・サービス:飲食や美容関連の商品、大型イベントのタイアップ
- 相性が悪い商品・サービス:WEB制作などBtoB向けの商品
- 費用感:1フォロワーあたり1〜4円、Tiktok内での広告発注は600万〜770万円
事例1:コカ・コーラ社の「#リボンでありがとうチャレンジ」キャンペーン
事例2:サントリーの新製品「南アルプス PEAKER」のプロモーション
インフルエンサーマーケティング×YouTubeの特徴
YouTubeは、幅広い年齢のユーザー層が視聴する世界最大の動画投稿サイトであり、企業とのタイアップ動画なども数多く投稿されています。
長時間の動画再生ができるため、商品やサービスの魅力を余すところなく伝えられるのが強みです。
マーケティングの自由度も高く、商品のレビューや実際にサービスを利用する様子を伝えれば、ユーザーの購買意欲を刺激し、新規顧客の獲得が期待できます。
また、ゲームや料理実況などのテーマに特化した投稿をするインフルエンサーの起用で、特定ジャンルのユーザーへ狙い撃ちすることも可能です。
YouTubeは日本のネット人口の約8割が視聴しており、月間ログイン視聴者数は6200万にものぼります。世界においても月間19億人と、とてつもなく巨大なプラットフォームです。
参考:日本経済新聞「ユーチューブ、日本で10年 ネット人口の8割が視聴」
YouTuber(ユーチューバー)という職業が、日本で認知されるようになってからより一層YouTuber人口が増えており、インフルエンサーマーケティングの需要も高まっています。
そしてYouTubeは広告収入で稼ぐことができるため、人気を高めたいユーザーが多くインフルエンサーが生まれやすいプラットフォームと言えるでしょう。
- 代表的なインフルエンサー:ヒカキン(登録者数721万人)、はじめしゃちょー(登録者数772万人)、Fischer’s-フィッシャーズ(登録者数547万人)
- 主な訴求方法:タイアップ動画による宣伝で知名度アップや販売促進
- 効果測定方法:動画の再生数や再生時間、コメントや高評価などのエンゲージメント
- 相性が良い商品・サービス:飲食やコスメ、おもちゃなどの子ども向け商品、ゲーム
- 相性が悪い商品・サービス:有料アプリや出会い系アプリ、高齢者向けの商品
- 費用感:チャンネル登録者数10万〜100万人程度で、動画1件あたり約30万〜300万円
事例1:タカラトミーの子ども向け商品「うまれて!ウーモ」のタイアップ動画
事例2:フローフシのコスメ商品「エリアファンディ」のタイアップ動画
商品・SNS・キャスト・代理店でインフルエンサーマーケティングの戦略立案を
インフルエンサーマーケティングを行うには、
- PRする商品選び
- 訴求しやすいSNS選び
- 商品イメージに合ったキャスト
- 的確なキャスティングやプランニングを行う代理店
この中の要素が1つでも欠けてしまうと、商品やサービスのPRはうまくいきません。
例えば、商品とインフルエンサーのイメージに差があると、ユーザーは違和感を持ちます。「いつもはこんな商品を紹介しないのに」というヤラセ感が強くなるのです。
しかもイメージに差があるということは、インフルエンサーのファンが求めるものとは、ズレてしまっているということですから、宣伝効果も多少あっても販売促進には繋がりにくいでしょう。
そしてPRのために活用していくSNSにも、ターゲットにするユーザー層が多ければ、それだけで他のSNSで拡散するよりも効果が高くなりますので、訴求しやすくターゲットにマッチしたSNS選びが重要です。
そのうえ、SNSに登場するキャスティングやプランニングを成功させるには、代理店選びも慎重に行う必要があります。
ジャンルや年齢といったユーザー層を絞っている場合は、その内容に特化した代理店などもありますので、相談してみるのも良いでしょう。
これらの4軸を妥協することなく行えれば、費用対効果の高いインフルエンサーマーケティングが実現できるでしょう。
インフルエンサーマーケティングのSNS別特徴まとめ
インフルエンサーマーケティングのSNS選びは、自社に有利な戦場を見極めるための大切な要素です。
それぞれのユーザー層や的確なマーケティング戦略の特徴を理解することで、高い宣伝効果を見込むことができ販売促進に繋がります。
そして現在、SNSの利用率は高まる一方ではありますが、以前に流行した「mixi」などのSNSが衰退していることから、ユーザーの移り変わりは激しい世界と言えます。
そういうことからもSNSによっては、今後の情勢次第でインフルエンサーマーケティングの価値も変動する可能性が出てきますので、企業の利益に結びつけるためにもSNSの動向は常に把握しておきましょう。
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