by大村昂太朗
広告運用のフリーランスに求められるスキルとは | 報酬相場や実例を紹介
マーケティングの仕事をしてきた人が、すぐにスキルを活かしてフリーランスで稼げるようになる分野の1つとして、to Cの「広告運用」の受注があります。しかし、「本当にフリーランスとして稼げるのか…」と不安になり、なかなか一歩を踏み出せないという方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回はこのto Cの広告運用について、受注に求められるスキルや企業側の事情、実際の案件例や受注する際の注意点についてまとめました。
マーケティング関連のキャリアを持ち、今後はそのスキルでフリーランスとして生計を立てて行きたいという人向けの内容になっています。ぜひ、最後まで読み進めていってください。
目次
消費者向けの広告運用とは
広告運用といってもターゲットは様々ですが、主な分類として「to B(to Business)」と「to C(to Consumer)」という2つの種類があります。
企業 | 消費者 | |
目的 | 企業の持続可能性を高める | 個人の欲求を満たす |
決定方法 | 論理的 | 感覚的 |
意思決定者 | 複数 | 本人及び金銭管理者 |
期間 | 長期的 | 短期的 |
企業と消費者では、商品購入までの経緯や目的が異なり、広告の運用方法も変わります。簡単にいうと、企業は「論理的かつ長期的」に購入を検討するのに対し、消費者は「感覚的かつ短期的」に購入を検討します。
一口に広告運用と言っても、企業向けと消費者向けの広告運用は別物なので、必要なスキルは変わってくるのです。
toCの広告運用に求められるスキル
企業は意思決定が慎重であり期間も要するので、to B向けの広告は「リードの獲得」を目的とすることが多いです。
論理的にプロセスを踏んでいき、「まずは見込み顧客を得る」という部分を重視するのです。
一方で、消費者は意思決定が早いので、細かいプロセスは必要ありません。そのため、to Cの広告運用におけるポイントは、以下のようなものになります。
- 感覚的に即購買を煽るキャッチーなコピーを使用すること
- 運用においてビビットに反応し瞬発的に運用すること
- SNSなどからバズワードを抽出し、PPCやリスティングの出稿KWに組み込むこと
消費者向けの運用は、とにかく速度が重要になります。顧客の反応や流行に応じて、瞬発的に運用方法を変えていける能力が求められます。
toC広告運用の委託ニーズ
商品の開発元である企業や広告代理店が広告運用を外部委託する場合、求めるスキルは下記の通りです。
- 消費者の反応を見て随時出稿内容を変える能力
- SNSなどから消費者の興味をいち早く察知する能力
- 消費者の興味、反応に対して最適な方法で広告を魅せる能力
- 1~3の流れをPDCAとして高速で回す能力
なぜこのようなスキルが求められるのか、本当に企業にとってフリーランスに依頼するニーズがあるのかについて、詳しく見ていきましょう。
toCの広告は速度が重要である
to Cの広告では速度が何よりも重要になります。なぜなら、SNS上で話題になる内容は日によって異なりますし、流行り廃りが早いことがto Cマーケティングの特徴だからです。何が流行り、何が廃れるのかを常に見ておかないと、いつの間にか時代の流れに取り残されてしまい、広告が上手くいかないという可能性が高くなります。
ですから、下記のことに注意したうえで、顧客の反応や流行を見ながら素早くPDCAを回すことが1つのKSF(重要成功要因)になりえます。
- KPIの管理がtoBよりも簡単であり、あらゆる仮説を立て実行していける
- 注意点は景表法に触れないよう広告表現や記法を多少気にする程度
つまり、to Cにおける広告運用は速度と手数がカギを握り、顧客企業からすれば「行動しないだけ損」であるというものになっています。外部の人員を借りてでも、広告の打ち手を増やしていく価値があるわけなのです。
社内事情を外部に知られても問題ない
「Amazonでスマホの充電器を買いたいが、買う前に広告に書いてあるスペックが本当なのか問い合わせてみよう。」
こんな場合は、Amazonに問い合わせる方が多いかと思います。しかし、to Cの商品を購入する前に、販売元に問い合わせた経験はありますか?おそらくないと答える人が大半ではないでしょうか。
しかし、to Bの商品の広告の目的は、to Cとは違います。to Bの商品は広告をクリックした法人担当者に、その場で購入してもらうことが目標ではありません。資料請求や問い合わせをしてもらうことが、直近の目標になります。
つまり”問い合わせ”が前提となるわけなので、広告の訴求内容と問い合わせ結果に、齟齬があってはなりません。
「訴求箇所は既にアップデートでサポート範囲外になっていた」
なんてことになったら、信頼の低下につながってしまうからです。だからこそ、to Bの広告運用は社内の開発部や広報、営業などとの連携が必須になります。
社内で情報更新されたことを、リアルタイムで広告に反映させる必要が発生するのです。
しかし、to Cの場合は既に売っているものが変わることはありませんし、消費者からの問い合わせはカスタマーサポートが対応してくれます。
to Cの広告運用の場合、外部に教えても問題ない範囲の情報だけで運用を行えるので、to C広告は外部に委託してもリスクは少ないと思われているのです。
投資回収サイクルがtoBよりも早い
to Cの商品は、to Bの商品よりも流行り廃りに左右されやすいことが特徴です。これは、流行に乗れればよく売れますが、乗れなければ逆に売れにくいリスクがあるということ。
特にto Bの製品と異なり、to Cの製品は季節変動による影響が非常に大きいです。だからこそ、企業は、to Bよりも早い期間で利益を回収できるよう生産計画を立てています。
少数のお客様をリードとしてとらえ、信頼を勝ち取りながら成約に結び付けるto Bマーケティングとは異なり、to Cマーケティングでは素早くビビットに動く必要があります。外部委託をしてでもスピードを上げ、「売れるときに売る」という需要が非常に高いのです。
広告運用でフリーランスになるためのステップ
ところで、広告運用のフリーランスになるためには、どのようなステップを踏んでいくのでしょうか。
将来を見据えて、広告運用のフリーランスへチャレンジしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
-
広告運用スキルを習得する
広告運用スキルを身につけるには、独学で習得する方法とスクールなど専門的なカリキュラムで学ぶ方法の2種類があります。独学でも基礎的スキルまでは習得できます。しかし、運用レベルまでの知識やスキルを学ぶためには、現役Webマーケターが在籍するスクールを受講することがオススメになります。
-
実務経験を積む
基礎的な広告スキルを習得したら、Webマーケティング会社で1〜2年ほど実務経験を積みましょう。基礎的な広告スキルを習得した後すぐに、フリーランスになることも可能です。しかし、Webマーケティング会社などで実務経験を積むことで、より実践に即したノウハウを習得できます。
-
フリーランスとして独立
「フリーランスとして独立」というと、ハードルが高いように感じます。しかし現在では、クラウドソーシングやフリーランス専門のエージェントなどが普及し、個人事業主と事業者とのマッチングも可能になっています。以前よりも独立へのハードルは低くなっているのです。さまざまなルートを活用して、フリーランスへの道を切り開いていきましょう。
toC広告運用の仕事内容と勤務形態例
to C広告運用をフリーランスで受注する場合、仕事内容と勤務形態はどのようになるのでしょうか?
「リスティング広告」「ソーシャル広告」と、広告の種類によって運用方法は異なってきます。しかし、どちらの場合も、在宅で可能な仕事になります。
企業や案件によっては、週に何度か打ち合わせで顔を合わせることが必要な場合もあります。しかし、基本は在宅という勤務形態が多く、チャットだけで完結できる場合もあります。
リモートワークが基本の働き方だからこそ、指示を待つだけでなく、自分自身で考えて行動できる人材が好まれます。
リスティング広告を運用する場合
リスティング広告運用には、「Google Adwords」や「Yahoo!プロモーション広告」などが該当します。仕事内容は主に次の3つになります。
- キーワードの見極め
- 広告テキストの作成
- 入札価格の調整
具体的な手順は、
- 顧客の反応を得やすいコスパが良いキーワードを見極める
- 検索の1ページ目以内に広告が載るための最低価格に調整する
- 適宜CVRなどを見ながらテキスト文を調整する
競合が使うような人気のキーワードは、入札価格もそれなりの価格になります。いかに予算内にある穴場のキーワードで集客できるかが、腕の見せ所となるでしょう。
ソーシャル広告を運用する場合
ソーシャル広告運用には、Facebook、Twitter、InstagramなどのSNS運用が該当します。商品やサービスによってSNS運用の目的は異なります。しかし、主な目的は、次の2点になります。
- SNSでの告知やキャンペーンで、集客と売り上げアップを図る
- ブランドイメージの向上やロイヤリティを構築する
などが主な目的となるでしょう。必要なスキルとしては
- ソーシャル広告の運用力
- 流行りに乗った投稿などでフォロワーを増やせるSNS運用力
- インフルエンサーマーケティングの知識
ソーシャル広告は、様々な方法でのSNS集客を求められます。その中でも、具体的な施策としては、下記のような方法が挙げられます。
- 「いいね、RTでキャンペーンに応募、当選者にはプレゼント」
- ターゲット属性に合ったインフルエンサーを起用しての販促
- エゴサーチからのファンとのコミュニケーション(いいね等)
どれも、SNSでの集客を成功している企業が実際に行っていることです。取り入れることで、SNS広告の発展が見込めます。また、商品知識や顧客の属性、悩みなどを把握しておくことも、SNS運用においては欠かせない内容になります。
よりよい運用を行っていくためには、社内の担当者とコミュニケーションを密にすることも重要です。「流行りそうなもの」「廃れそうなもの」を事前に社内の担当者と会議し、早めに対策を打っておくようにしましょう。
toC広告運用の事例と相場
仕事内容について解説してきましたが、実際にはどのような事例があるのでしょうか?従来のタイプとしては、「単発での依頼」と「継続依頼」で分類することができます。
まずは、誰でも仕事を受注できて情報を確認することができる、クラウドソーシングサービスに掲載されている実際の案件をご紹介していきます。
リスティング広告運用の事例
リスティング広告運用の事例では、「単発での依頼」が多い傾向にあります。それには、発注する企業における、次のような事情が影響しているからです。
- 繁忙期で外部の手を借りて広告を回さないと機会損失が発生してしまう
- リスティング広告なので作業の切り出しが容易(キャンペーン毎に管理)
- 優秀な人材に継続案件をやってもらうための取捨選択がしやすいため
一般的に、クラウドソーシングサービスによる案件受注は、「低い報酬」「使い捨て」のような印象があります。実際の報酬や勤務形態は、下記の通りとなります。
リスティング広告運用の報酬と勤務形態例
SNSやリスティング広告を見て、改善点を見つける案件
報酬:6,000~9,000円
勤務形態:単発でのミーティングorチャットのみ
報酬込みで月10万~50万の費用を使い、SNSやリスティング広告の運用を行う案件
報酬:月2万~5万
勤務形態:週数回数時間の勤務or自宅勤務
15万円の広告費を使った健康食品のリスティング広告運用
報酬:月3.6万円
勤務形態:週1回のミーティング・後は自宅勤務
SNS運用の事例
InstagramやTwitterなどのSNSを通じた広告運用の場合、フォロワーのエンゲージメントを保つ運用をする必要があります。そのため、リスティング広告よりも継続依頼が多い傾向にあります。
リスティング広告は、「いくら使っていくらの利益になったか」がわかりやすいです。しかし、SNS広告では、エンゲージメントやシェアされた後の影響が利益として見えにくいことが特徴です。
そのため、クライアントも高めの報酬を出すことはリスクがあると考えます。そのため、リスティング広告と同じくらいか、少し低めの報酬設計が多くなっています。
SNS広告運用の報酬と勤務形態例
WEBメディアの集客用SNSの初期設定
報酬:5,000円
勤務形態:リモートワーク
必要スキル:流行やターゲットに合わせたSNSのプロフィール作成(テキスト、写真)
インフルエンサーのアサインおよび広告掲載までのマネージメント
報酬:月5万円
勤務形態:リモートワーク
必要スキル:インフルエンサーと密にコミュニケーションを取り、良い魅せ方で広告を掲載させるマネージメント能力
広告運用をフリーランスが受託する場合の注意点
続いて、広告運用をフリーランスが受託する場合の注意点についてお伝えします。
クラウドソーシングなどでは、実際の案件事例を見ることができます。数ある事例を細かく見ていると、それらには下記のような特徴があることがわかります。
- 報酬が低い
- やること・やれることが限定的
- スポット・単発案件が多い
これは、企業が必要としているものが「広告運用の知識やスキル」に限定されていることに起因しています。
広告費は、いくらかけても良いというものではありません。製品やサービスを販売する場合、その製品を売った時に得られる利益以上に、広告費をかけることができないのは当然のことです。
ごく単純化した例を用いると、1時間あたり広告を回して売上が2,000円、原価が1,000円であれば、利益は1,000円になります。その1,000円の中から報酬や広告運用などの経費を賄うことになります。広告運用の金額が低ければ、企業が得る報酬は大きくなります。ですから、案件に支払える金額は低くなる傾向にあるのです。
また業務内容の多くは、次のようなサイクルになります。
- ROIを最大化する単価に適宜調整し
- 数をさばくために広告テキストを書き直し
- ROIが悪ければ新しいキーワードを探す
同じことの繰り返しなので、発揮されるスキルや、やること・やれることは非常に限定されてしまいます。
フリーランスは、新たなスキルが身に着いていかないと今後の選択肢が増えません。しかし、広告運用の案件を受託することによって得られるスキルや成長は、「限定的」であると言わざるを得ない状況です。「広告商品の開発」や「新規顧客の開拓」などの新規依頼の受注をし、「新たな仕事を通して成長する」ということは、とうてい望めない現状になっています。
さらに、フリーランスは「持っているノウハウなどを吸収されたらおしまい」になりやすい仕事です。あなたの広告運用ノウハウを、クライアントである企業が吸収してマニュアル化をしてしまう場合があります。その場合、マニュアルを活用することで、企業はより低単価の発注をかけることが可能になります。すると、案件の単価がますます低下していくことになるのです。
こうなってくると、次のような展開の繰り返しです。
- ノウハウがまだない企業を探す
- 吸収されたらおしまい
- またノウハウがない企業を探す・・・
いつかクライアントとなる企業がなくなったり、業界のトレンドが変わってノウハウ自体の価値が下がってしまったりしたら「食べていけなくなる」ことは目に見えています。
そのようなことを避けたい場合には、あなた自身が成長しなければいけません。
「横展開ではなく新たなスキルを身に着けたい」
何かが起こることを、期待するのではありません。あなた自身が目標を持って、成長していかなければなりません。自分から何かを「起こす」気持ちで行動していきましょう。
成長できる仕事を探すなら転職エージェントを活用
ただ報酬を得るための仕事を探すのならば、クラウドソーシングや人脈をたどるという方法があります。しかし、自分自身が成長できる仕事を探したいのならば、アプローチ方法は一択になります。
「転職エージェント」の活用です。転職エージェントは、人脈がなくても誰でも気軽に利用できます。さらに、以下の3点のメリットがあることも特徴です。
②求職者と企業の条件交渉も代行し、トラブルを防止してくれる
③求職者はこれらのサービスを無料で受けられる
転職エージェントを利用する大きなポイントは、①の「求職者に合った仕事を紹介してくれる」という点です。あなたの現在のスキルだけでなく、今後の展望も踏まえて最適な仕事を紹介してくれます。
ちなみに、転職エージェントが紹介してくれる案件には、非公開求人が圧倒的に多くなっています。無料でプロがサポートしてくれるうえに、高単価でおいしい求人がたくさんあるとなれば、自分で探すよりもエージェントに依頼する方が、効率良く理想の案件を獲得できますよね。
積極的に転職エージェントを活用して、あなたにとって「最適な案件」を見つけ出しましょう。
まとめ
フリーランスとして生きていくためには、常に成長していくことが重要になります。
「フリーランスで働く」とは、「クライアントにあなたのスキルを買ってもらう」ということです。実力がないフリーランスに仕事は回ってこないのです。自分が成長できる仕事を通してあなたの市場価値を高めることこそが、今後のあなたの人生を大きく豊かにします。
そうはいっても、先ほど説明したように広告運用の仕事を行うだけでは成長は見込めません。
そんなときには、転職エージェントの活用をおススメします。
プロの副業では、エージェントがあなたのスキルを必要とする企業とのマッチングを行います。To Cの広告運用を委託したい企業を見つけることはもちろん、あなたが成長できる仕事も見つけてくれます。
「成長し続ける」ことはフリーランスとして生きる上で、必要不可欠なことです。さらに、再就職がしやすくなったり起業したりする可能性にも繋がります。
あなたの選択次第で、将来の可能性は大きく広がるのです。
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