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プロ人材

by大村昂太朗 大村昂太朗

【これからの働き方vol.3】DODO DESIGN 堂々穣氏が目指す働き方「アイデアと技術があれば小さな会社でも戦える面白い時代」

堂々穣1

組織や業界を牽引して活躍するトップランナーには常に大きな期待が寄せられます。

しかし、世間の注目の先にあるものはいつも、彼らが生み出す結果であり、「思い」が置き去りになっているようにも感じられます。

そこで、これからの新しい働き方を提唱する「プロの副業」では、様々な組織や業界を牽引するトップランナーたちの「思い」にフォーカスしたインタビューシリーズ「これからの働き方」を開始します。

活動の裏にある真意、そして彼らの人間性がより広くに伝わることで興味関心が生まれ、「これからの新しい働き方」につながることを期待して。

シリーズ第2回目は、JR東日本の地域再発見コンセプトショップ「のもの」ブランドクリエイティブなどで知られる、DODO DESIGN 代表取締役 堂々穣氏にインタビュー。

日本一の広告プロダクションたき工房からキャリアをスタートさせた堂々氏。彼の反骨精神が何を目指しているのかに迫ります。

堂々穣(どうどう・みのる)|株式会社DODO DESIGN 代表取締役

クリエイティブディレクター
1974年東京生まれ、東京工芸大学芸術学部デザイン学科卒業。たき工房、BRIDGEを経て、2012年にデザイン会社DODO DESIGN設立。生活をより豊かに楽しくするデザイングッズ「HaveFun」のブランド運営。JR東日本地産品ショップ「のもの」シンボルマークデザイン、東急百貨店「トウヨコハチコウ」キャラクターデザイン、ダイハツ「TANTO」やアサヒビール「アサヒオフ」広告キャンペーン、アイセイ薬局「ヘルスグラフィックマガジン」アートディレクション、ミュージシャン「GOOSE HOUSE」アートワークなど。主な受賞歴: GOOD DESIGN賞、NY ADC賞、毎日広告デザイン賞、読売広告大賞、交通広告グランプリ、他受賞多数。

すべての始まりは「何このフォント!?」

堂々さん:親の転勤が多くて各地転々としいて、多感な時期に京都にいました。高1のとき同じクラスの友達がレゲエを僕に教えてくれて、「何だこれ!?」ってカルチャーショックを受けました。

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デザインは音楽から入ったのですね。

堂々さん:ジャケットを見て、このタイポグラフィーかっこいいなぁみたいな感じでした。

ジャマイカとかニューヨークとかロンドンとかのブラックカルチャーが原点です。すべての始まりは、「何このフォント!?」です。

レコードを「このタイポグラフィがかっこいい」という感じでジャケ買いしていて、それからデザインというものが急速に身近になりました。

DJをやったり音楽活動もしていて、その頃から個人がMacを使ってデザインができる環境が整ってきたので、フライヤー制作を友人から頼まれたり、インディーズのレコードジャケットやイベントロゴをデザインしたりしていました。

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それで、東京工芸大学のデザイン学科に入ろうとなったんですね!

堂々さん:勉強は好きじゃなかったけど絵は好きだったし、何かものづくりや手を動かすこと自体はすごくなじみがあったので、そういうところは伸ばせたんですけど、偏差値を伸ばせなかった(笑)

進路を決めるタイミングになって困って担任の先生に相談したら、美術の先生に相談してみたらって話になったんですよ。

別に画家になりたいわけでもないしなぁと思いつつ行ってみたら、その先生が教えてました。お金になる美術がある、それが商業デザインだ、と。

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出会ってしまったんですね。

堂々さん:元々、お金を生み出す事や、どうやったら物事がお金に価値変換されて増えていくのかといった経済の原理のようなところで、お金というものに対してすごく興味がありました。

生活が豊かになったり、会社を大きくしたり、可能性を広げることができたり、お金そのもののデザインもすごく好きでした。

そこで、自分のやりたい事とお金がガチンと「商業デザイン」というものでマッチして、早速予備校に通うことにしました。

美術大学に進学するなら予備校に行かないと駄目だと言われて代ゼミのアートスクールに通って、初めて本格的なデッサンや平面構成を学び始めました。そこからですかね、デザイン道に入ったのは。

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大学卒業後、1社目に「たき工房」を選んだ理由は?

堂々さん:最初は何か音楽関係の仕事に就きたいなと思っていました。でもDJとしてイベントに出ても二束三文だし、周りの関係者はみんなお金がないと言っていると。

こんなお金がない業界で商売しても絶対だめだと思いました(笑)

いろんな視野を広げるために広告が良いんじゃないかと気付いたのは、佐藤可士和さんや服部一成さんなどが当時、広告業界ですごく活躍されていたからです。

こういう世界があるんだと知って、博報堂とか行きたいなあと思うようになりました。でもそう簡単に行けるわけもなく、いろんな試験を受けてなんとか入社しましたね。

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たき工房ではどんな働き方でしたか?

たき工房は完全に電通の下請けでした。当時500人くらいデザイナーがいて、日本一大きいプロダクションです。

仕事量がとにかく多くて、電通のADから仕事を受注するファクトリーと言われていましたね。

でも2年半くらいで辞めました。確かにすごくいい会社で、思い描いていたようなメジャーなナショナルクライアントが沢山あったのですが、下請けなのですごく大変でした。

受注しているわけですから当たり前ですが、面白くない、良くないと思ったとしても、発注通りにやるしかなかったんですね。

それでもう少し違う環境でデザインを学びたいと思って、BRIDGEという会社に転職しました。

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「BRIDGE」で2社目ですね

堂々さん:TUGBOATのグラフィック制作会社なのですが、BRIDGEでの経験は本当に勉強になりました。

無茶苦茶ブラックで大変でしたが12年在籍して、未知の世界を知れましたね。本物のアートディレクションや一流の仕事の空気感を学びました。

見えているものは違うかもしれないですが、佐藤可士和さんとか、あのクラスの人たちの仕事場を見れたのがBRIDGEでした。

ただ表裏一体で、やっぱり一流の仕事をするとなると、裏側ではかなり苦しい部分も出てきてしまいました。

学ぶことも多かったですが、このままの環境や精神状態でやるのも良くないし面白くないと思ったんです。

反逆精神ですね。現状の体制に負けたくないと思ったんですよ。これもブラックカルチャーの影響かもしれません。

自分の仕事をやってみたい

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DESIGNを設立されるわけですが、どんなきっかけがあったのでしょうか?

堂々さん:やっぱり一番大きかったのは、自分の仕事をやってみたいという欲求です。

BRIDGEとしてではなく、堂々さんにデザインをお願いしたいんですという、指名の仕事をやってみたかった。そこが一番大きいです。

もちろん単純に給料上げたいとか、一度の人生なので自分の限界に挑戦してみたいという思いも、当然ありました。

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2社経験して、キャリアの考え方として転職の選択肢はなかったですか?

堂々さん:ありましたが、嫁に反対されました。「今このタイミング(30代後半)で代理店にいってもいいことないと思う」と。

生活費が足りないから独立して欲しいと、かなり早くから言われていたんです。やっぱり子供を育てるのは本当に大変ですから。

今も一緒に相談しながら会社をどうやって良くしていこうかっていう話を二人でしますし、いろいろ意見をもらったりとかしています。

彼女はデザインにもとても精通しているので、良いビジネスパートナーでもあるんです。

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独立じゃなくて転職してたら、このDODO DESIGNは生まれてなかったかもしれないですね。

堂々さん:2つの選択があったら難しい方を選べとよく聞きますが、本当そうですね。何よりも仲間の輪がすごいスピードで広がっていくのが最高に面白いです。

振り返ってみると最初はもう本当に大変でした。先の見えない道です。パソコン借りてイケアで家具買って、薄暗いマンションの一室でスタートしていますから。本当に孤独でした。

加えて仕事がないんですよね(笑)ドブ板営業して仕事をとってきて、みんなでコツコツと土日も休まず頑張って。「お金貯めてオシャレなオフィスを作ろうぜ!」なんて言っていたので、青春ですね。でも今思うと、一番苦しくもあり、一番楽しい時だったかもしれません(涙)

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被雇用側、経営側の違いも含めて、堂々さんにとって仕事とはどういう存在ですか?

堂々さん:雇われる側だった時はやはり、自分を高めるものだったと思います。仕事を通して、スキルも含めて自分の人格とか人間性とかを磨く。

今も本質的には同じです。加わったのは、やっぱりお金ですね。会社を経営する責任がありますから。

「コスト考えろ」って恐ろしい上司に何度も言われて、本当に良かったと思います。当時は「厳しいなあ、なんでそんなお金お金言うんだ」と思っていましたが。

デザインを仕事にするとはどういうことか、というのをとにかく口うるさく言われていました。

遊びじゃないと。請求書を出すタイミングとか見積もりの作り方とか値決めとかクライアントとの交渉の仕方とか、その時に学びましたね。

あと学んだことで印象に残っているのは、「とにかくプレゼンでは高価に見えるようにしよう」ということですね。

学んだことを今、自分の会社で社員と一緒に実践しながら、今度は僕の経験を社員に継承している途中です。

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そうやって働くエネルギーは堂々さんの場合どこから生まれてるんですか?

堂々さん:僕らはやっぱりものづくり職人なので、出来上がったデザインですね。何か予想もつかなかったものが完成したりとか、そういう境地かもしれません。

デザイナーって案外そういうところを大事にしていると思うんです。作ったカレーのパッケージが店舗で売られていたら、やっぱり純粋に嬉しいですよね。

人それぞれ色々あると思いますけど、みんなで毎日遅くまでやって出来たものって、やっぱりなんか嬉しいですね。それが働き甲斐ですよね。

”アイデアと技術があれば戦っていける面白い時代”

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世の中では働き方改革など、「働き方」について話題になっていますが何か思うことはありますか? 

堂々さん:気を付けているのは働き方よりも働き甲斐ですね。働き方をいろいろ改善することも、もちろん大事です。絶対10年前より今のほうが働きやすいですし。

でもやっぱりもっと大事なのは働き甲斐なんだろうなと思います。早く帰れるからいいのかというと、そういうことでもないじゃないですか。

本当はもっとデザイン突き詰めてやりたいのに17時で帰りなさいって帰るのは、本当にその人は喜んでいるのかなと思います。

帰りたい人は良いと思いますが、人それぞれ違いますよね。

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その人にとって良いのは何か、ということですね。 

堂々さん:100%実現できているわけではないですが、働き方と働き甲斐は両方意識しています。

長時間労働を推奨するわけではないですが、やっぱり世の中見渡しても、良い結果を出すには時間がかかります。

特に我々は職人なので、自分の腕をどこまで磨けるのかは個人の裁量にかかってきますし、それは働き方ではどうにもできない部分だと考えます。

どこかで踏ん張ってやるときも必要で、修行の期間はタイミングとか個人差はあってもせいぜい10年くらいです。

あとはだんだん仕事のスキルも上がりますし、経験値も上がってきてうまく働けるようになってくるので、若い期間はタフな時間を設けるべきだと思います。

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人口減という背景もある中で、デザイン業界の成長についてどう思いますか。

堂々さん:危機感は抱いています。やっぱりどんどん旬のデザイナーのメンツが変わっていくので、取り残されないようにしないといけないのは常に感じています。

でも面白くなりましたよね。チャンスが広がりました。大手広告代理店がメジャーなCMとかキャンペーンとかをガンガンやっていたピークはもう10年前です。

今はもうそういう時代でもなくなりました。少し極端ですが、携帯業界とビール業界くらいですよね。

大手広告代理店のデザイナーがもてはやされた時代が崩れて、クライアントも代理店じゃなくて自分の好きなデザイナーに発注しだしました。

みんなにチャンスがあるというか、アイデアと技術があれば戦っていける面白い時代になったのではないかなと思っています。

不思議な発注も多くなってきていて、例えば昨年ある企業の周年記念のロゴやプロモーションツールのアートワークを手がけたのですが、その縁で、本社の移転プロジェクトを手伝って欲しいという依頼をいただきました。

建築設計はできないのですが、内装のイメージを作って欲しいとか、空間の領域にまで踏み込めるチャンスが広がりました。

昔だったらそういう案件は建築事務所や内装会社が受注して、僕らみたいなグラフィックの会社には絶対来ませんでした。

最近は決済者の人と信頼関係にあると「実はこういうのがあるんだけどできる?」ということがあります。

僕は基本的に仕事は絶対断らないので、難しい問題も全部できます、という風に対応しています。自然と新しい領域ができるチャンスが増えていきます。

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自由市場になってきたということですね。クラウドソーシングやSNSなどを駆使して活動するフリーランスの方が増えていますが、社会環境が激変していく中で、今後どういうふうにスキルアップすれば良いと思いますか?

堂々さん:やっぱり個性を大事にするってことですね。個人の時代っていうくらいですから、自分にしかできないオリジナリティのあるもの、売りを作るという事だと思います。

デザイナーの年鑑とかを見ていても、実際そういう人たちが多くなってきていると思います。

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これから先、堂々さん自身が目指していきたいことについて、具体的なイメージはありますか? 

堂々さん:会社を拡大するのにはすごく興味があります。今度の4月で従業員が10人になるのですが、まずは100人くらいにしてみたいです。

会社を経営していると「まだ見えない世界を見てみたい」と思うようになります。売り上げ10億、100億ってどんな感じなんだろうとか。

その売り上げによってお金の使い方も変わっていきますし、運営していく組織もどんどん変わっていくので、ダイナミックになっていくだろうと思いますし。

デザイン会社も大きくして組織にしかできない事があるんじゃないかと思っています。組織としてすごく強いものを作ってみたいと思っています。

チームそれぞれのスキル、イラストがめちゃくちゃすごいとか、デザインにすごく特化してるとか、手先がめちゃくちゃ器用だとか。企画が面白いとか。

そういう個の集合体みたいなものが塊になって、昔の可士和さんの個人のカリスマみたいなものと戦えるんじゃないかと思っています。

それに、単純にみんなでやっているほうが面白いですし、自分ができないことをみんなができたりしますし。僕一人の能力なんて本当、小さなものです。

社員と一緒に働いていると、こんなことできるんだ!みたいな驚くことができたりするので。それはやっぱり心強いしワクワクします。

DODO DESIGN ホームページ:http://dododesign.jp/

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大村昂太朗

大村昂太朗

この記事を監修した人 大村昂太朗 株式会社リアステージ プロシェアリング事業責任者兼プロテンマガジン編集長

2020/4の新卒配属時から一貫して総合人材支援会社、株式会社リアステージに従事。 1年目から新卒周りで事業の立ち上げと責任者を担い、2年目にインターン事業を立ち上げ。3年目のタイミングで新卒から副業領域にキャリアチェンジして、プロシェアリング事業の立ち上げ、責任者を務める。