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プロ人材

by大村昂太朗 大村昂太朗

【デザイナープロ人材インタビュー】 副業社員Kさん(副業開始時期:2014年10月)

【デザイナープロ人材インタビュー】 副業社員Kさん(副業開始時期:2014年10月)

千葉県でデザイナー兼ディレクターとして働くKさん(2019年現在34歳)は、いわゆる「副業解禁」よりもずっと前から副業に取り組んできた、プロの副業人材です。

デザイナーが副業をやれば、「軌道に乗せるまでは大変だけど、そこから年収1000万円までは早いですよ」と言うKさん。

疲弊しているデザイナーの力になれれば、と話すKさんの実際の働き方や、ご家族との距離感、副業に対する考え方などをお話しいただきました。

この「プロ人材インタビュー」シリーズでは、実際に「プロの副業」を通して副業案件を受けていただいているプロ人材の皆様に直接インタビュー。何故副業という働き方を選んだのか、副業を通じて何を得ているのか、実際の収入はーーといった、副業社員の「リアル」をお届けします。

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    異動をきっかけに副業スタート

    異動をきっかけに副業スタート

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    Kさんが副業という働き方を選ばれたきっかけは何でしたか?

    Kさん:きっかけは、異動でした。2014年当時は新卒で入った社員100人弱ぐらいの広告代理店にいたんですが、謎のジョブローテーション文化があって、職種を問わず一段階役職を上げて異動して、ぐるっと回ると部長とか執行役員になるような出世コースがあったんですね。

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    なんだか大企業っぽいですね。

    Kさん:それで入社5年目で提示された異動先が「総務」か「人事」で、出世欲もあったし、総務も人事もそれはそれで面白いかもしれないとは思ったんですけど、クリエイティブの方が中途半端になるのは嫌だったんです。それで、なんとかデザイナーとしての仕事を続ける手段はと考えたら、副業しよう、と

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    転職や独立は選択肢に入らなかったんですか?

    Kさん:もちろん考えました。ただ、当時結婚したばかりだったので、共働きをしているにしても、何の準備もせずに独立はリスクが高いなと思ってボツにしました。転職は現実的にあり得る路線ではあったんですが、辞めないで社内で異動したら役職が上がるので、給料上がるんですよ。でも転職って、給料上がってからした方が、そこからさらに上がると考えたらお得じゃないですか。転職はどんなに調べてもギャンブル要素があると思ってるので、だったら異動して、副業でデザインやろうと考えました

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    しっかりとした計算があったんですね。副業はどうやって始めたんですか?

    Kさん:当時は「プロの副業」のようなエージェントはまだなかったので、知り合いのつてで始めました。カレンダー通りの休みだったので、土日に動いている飲食とかサービス業とかを中心に、チラシや冊子を作ったりサイトを作ったりして、1件につき1~30万円くらいを頂いていましたね。

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    副業を始めるにあたって不安に思ったことなどはありませんでしたか?

    Kさん:本業という保険ありきでスタートしているので、生活の不安は何もなかったですね。4月に始めたので確定申告まで1年近くあって勉強する時間もありましたし。しいていえば、本業もクリエイティブの仕事に戻りたかったので、どうやったらまたクリエイティブの仕事に戻れるくらいスキルを磨けるかな、というようなことを考えていました。

    副業で本業の年収も上がった

    副業で本業の年収も上がった

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    Kさんが副業を始めてから5年経っていますが、本業としてはクリエイティブの部署に戻れたんですか?

    Kさん:戻れました。これに関しては面白いエピソードがあって、クライアントから紹介していただいた案件の発注元が、本業の会社で(笑)フルリモートだったので素知らぬ顔で依頼を受けて、納品後にクリエイティブ部門のトップの方に「ありがとうございました」って言いに行ったらちょっとした騒ぎになって、その1か月後ぐらいにクリエイティブ部門に異動になりました。クリエイティブに欲しいって言ってくれたみたいですね。

    結局しばらくして転職して、今は別の会社でアートディレクター兼デザイナーをやっているんですが、給料はグンと上がりました。副業でずっと色々な案件に触れ続けて成長できていたので、転職にあたっては副業の経験がかなり効きましたね

    広告代理店って副業禁止している会社が多くて今後も表立って解禁はできない会社が多いと思うんですが、会社と特別に約束して特例で副業をやらせてもらっています。自分でいうのもなんですが、同僚とは成長のスピードが違うと思いますね。

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    ちなみに会社とはどんな約束を?

    Kさん:簡単に言うと、不正をしないっていう約束ですね。それができてしまう環境なのは理解してますし、僕が副業で欲しいのはあくまでも経験なので、そこはきっちり守っています。

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    いま現在は、副業では具体的にどんな副業をされていますか?

    Kさん:副業をやり始めたときのような単発の「○○を作っていくら」というものはほとんどなくなって、キャンペーンの制作ディレクションとか展示会とか、プロジェクト単位でじっくりというスタイルが多いですね。平日日中は対面で打ち合わせをしたり手を動かしたりというのは難しめですが、その分オンラインで24時間可能な限り対応して、こちらで何か作って入れたり示したりする必要がある場合には夜か土日まで待ってもらって送るようにしています。

    よほど切羽詰まってるような案件じゃなければ、それで十分なんですよね。いまはプロの副業を含めいくつかのエージェントに登録しておいて、随時お仕事をご紹介いただいていますが、そういうリモートワークでの働き方とかスケジュール感とかを企業様側と握ったうえで紹介していただけるので、助かっています。

    エージェントを使い続ける3つの意義

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    5年も副業をやっていれば、弊社が言うのもなんですが、エージェントは必要とされないのでは?

    Kさん:何年もやっていても、エージェントと契約する意義は3つあると思っています。1つは、いま言った通り、「交渉の部分を担っていただける」ので、圧倒的に楽だからです。副業社員は、フリーランスに比べて本業がある分、時間がありません。面倒なことをショートカットできるサービスは、ドンドン使うべきだと思いますね。

    2つめは、「案件の安定供給」です。1つめと少し被りますが、何らかの営業活動をしなければ副業はいずれ案件が途絶えます。でもそこをエージェントがカバーしてくれるので、案件を探す必要がないんですね。

    3つめは、「幅の確保」です。どうしても紹介案件というのは、人は似た人種とつながるので、似たような案件になりがちです。でもエージェントを噛ませると、自分では思ってもみなかった案件に出会うことができます。まさかゲーム業界の案件をやりながら飲料業界の案件をやる日が来るとは思っていなかったですからね。もちろん、こういったことを全部自分で解決できる人は使う必要はないと思いますが、大抵の人は使った方がメリットが大きいのでは?と思います

    年収1000万円の実現

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    冒頭でも少し触れていますが、Kさんはデザイナーとして年収1000万円という大台に乗っています。具体的には、どんなことをやって実現させているのでしょうか?

    Kさん:同じデザイナーには共感してもらえると思うのですが、年収1000万って1つの夢ですよね。2018年ベースでいうと本業で650万円、副業で450万円くらいなのですが、まず働いている時間としては1週間あたり10~20時間くらいです。労働時間として考えたら相当ハードに感じるかもしれませんが、ほぼリモートですしお金を貰って勉強させてもらっている感じなので、読書や通信講座の時間と考えたらすごく有意義な時間の使い方に聞こえませんか?

    契約更新や次の依頼をいただいた時にはもっと高い報酬を提示していただけるように、求められている以上のレベルのアウトプットを出すことを意識して自分の市場評価額を上げることを常に意識しています。スキルの掛け算をすればするほど希少価値は上がっていくので、副業で勉強すればするほど強くなっていくんですよね。

    それで僕の時間を企業が取り合うようになっていけば、競売じゃないですけどさらに金額は上がっていきます。こういう意識の持ち方が恐らく大きな違いにつながっているんじゃないかと。

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    「希少価値」と「競売」と「市場評価額」。凄いことを聞いてしまいました。逆に、エージェントに限らず副業で困ったこととか嫌なことは何かありませんでしたか?

    Kさん:可処分時間の総量は変わらないので、どうしても、家族と出かける時間や遊ぶ時間は減っちゃいますよね。最初は「休日まで仕事しなくても…」と言われていましたが、自分としては勉強時間、もしくは自分磨きの時間だと捉えています。筋トレするとか、読書するとかと同じです。

    クリエイティブならではの、ふわっとした解きほぐさないといけない依頼はやっぱりありますし在宅ワークだと厄介なこともありますが、それは本業でも同じですからね。

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    筋トレや読書と同じ、という表現は新しいですが、まさにおっしゃる通りです。でも対処法と言いますか、「ご家族と出かける時間が減る」といったようなことに対して、どういう風に対処していますか?

    Kさん:これは、ちゃんと心を尽くして説明することです。「一緒に過ごせる時間が減って寂しい」っていう感情に対して、「副業やってるんだから仕方ないでしょ」って突っぱねたら、納得もしてもらえないし応援もしてもらえません。もっと成長して自分を高めたいから勉強時間として何時間欲しいんだ、といった話をするべきですね。僕は土日祝の副業に充てる時間は「1日あたり最大6時間」というふうに家族と約束していて、それを絶対超えないようにしています

    その分、仕事していない時間は家族と一生懸命過ごしているので、充実していると思いますし、家族もわかってくれていると思いますね。

    自分にとっての「働くことの意味」の答えを持つ

    自分にとっての「働くことの意味」の答えを持つ

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    今後、フリーランスとして独立しようとか、キャリアについて将来のイメージなどはありますか?

    Kさん:幸い、しっかり売上が上がっている会社にいますし、独立は全く考えていないです。収入口が複数あるっていう意味でも、本業と副業がいくつかあるのが理想ですね。それに、いまはクリエイティブが好きで楽しんで関わっていますが、今後興味がなくなったとしても本拠地があれば異動もできますし、安心です。転職はまたするかもしれませんが、あくまでも自分を磨きたいっていう欲から出ているものですね。家族という守るべきものがある立場からも、本業と副業の両方を持っているという立場にいち早くたどり着いているので、今後10年はこの方針で行くと思います。

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    いま、副業は働き方改革の中で日々いろいろなニュースがあります。これからKさんと同じように副業をやりたいと検討している人に、何かアドバイスをしていただけないでしょうか。

    Kさん:「自分にとって働くとは何か?」という問いに対する答えは持っておいても良いと思います。たとえば仕事を、お金を得るための手段として割り切ってるタイプの人は、副業は労働時間の増加でしかないので、そのぶん収入が増えてもつらいかもしれません。

    副業を突き詰めて、多くの人がそういったリベラルアーツのようなことを考えるようになったときに、自分の成長が楽しい、といったようなマインドがある人は、新しい時代にうまく自分を合わせていけるんじゃないかなと思います

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    自分が磨かれるから、働くのが楽しい、という人。

    Kさん:もちろんお金はお金で必要ですが、働くことそのものに、お金を稼ぐこと以外の意味を見出しているような人じゃないと、そもそも副業で求められるようなプロレベルのスキルを身に着けるのは難しいと思います。

    副業って、雇う側にとっても働く側にとっても、合理性の塊のような施策です。その流れがもっと進んでいくわけですから、その合理性の仕組みの中で自分がどんな風に生きていきたいのか、それを考えるいいきっかけになるんじゃないでしょうか。

    Kさん、お忙しいなか、どうもありがとうございました!合理性を非常に大事にされつつ、ご家族とのことなど、心のバランス感覚が大変勉強になりました。クリエイティブの分野で副業を検討している方にも、参考になったのではないでしょうか。これからも、どうぞ宜しくお願い致します!

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    大村昂太朗

    大村昂太朗

    この記事を監修した人 大村昂太朗 株式会社リアステージ プロシェアリング事業責任者兼プロテンマガジン編集長

    2020/4の新卒配属時から一貫して総合人材支援会社、株式会社リアステージに従事。 1年目から新卒周りで事業の立ち上げと責任者を担い、2年目にインターン事業を立ち上げ。3年目のタイミングで新卒から副業領域にキャリアチェンジして、プロシェアリング事業の立ち上げ、責任者を務める。