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プロ人材

by大村昂太朗 大村昂太朗

【これからの働き方vol.1 】「生き様を知り、なぜ働くのかを問い続ける」&Co.横石崇氏が思う、新たな才能が発掘される世界

横石 崇1

組織や業界を牽引して活躍するトップランナーには常に大きな期待が寄せられます。しかし、世間の注目の先にあるものはいつも、彼らが生み出す結果であり、「思い」が置き去りになっているようにも感じられます。

そこで、これからの新しい働き方を提唱する「プロの副業」では、様々な組織や業界を牽引するトップランナーたちの「思い」にフォーカスしたインタビューシリーズ「これからの働き方」を開始します。

活動の裏にある真意、そして彼らの人間性がより広くに伝わることで興味関心が生まれ、「これからの新しい働き方」につながることを期待して。

初回は「働き方」の祭典、TOKYO WORK DESIGN WEEK( 以下、TWDW )のオーガナイザーとして知られる、&Co.(アンドコー) 代表取締役 横石崇氏にインタビュー。

かつては広告業界屈指のクリエイティブエージェンシー TUGBOATグループに在籍していた横石氏。彼が今なぜ「働き方」にこだわるのか、その真意に迫りました。

横石氏インタビュー風景写真1

横石 崇(よこいしたかし)| &Co.代表取締役

コミュニケーション・プロデューサー
1978年生まれ、多摩美術大学卒。テレビ局・新聞社・雑誌社・ポータルサイトなど様々なメディアサービスにまつわる新規事業開発を手がけるほか、企業の組織開発や人材育成に携わるなど、様々な場の編集に携わる。「WIRED日本版」コントリビューターや「六本木未来大学」講師を務めるなど年間100以上の講演やセミナーを実施。編著に「これからの僕らの働き方 〜次世代のスタンダードを創る10人に聞く〜」(早川書房)。国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」オーガナイザー。

目の前の100人を幸せにできるか

横石氏インタビュー風景写真2

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起業に至るまでの経緯をお聞かせいただきたいのですが、名門と言われる会社を辞めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

横石さん:当時、多いときで50人のチームのプレイングマネージャーをやっていました。

グループのメディア部門のCCOというマネージメントの立場で組織を運営する難しさや自分の能力不足を感じながら、事業や組織をどうすれば強くできるのか、いつも頭を悩ませていました。

そんなときに東日本大震災が起きました。ユーザー数1,000万人を誇る大規模なWEBサービスを手がけていたのですが、ユーザーの顔を見ずに売上やPVなど数値ばかりを追っている自分がいて、「本当にこのままでいいのか?」と考えるようになりました。

そこで辿りついたのが「目の前にいる100人をしあわせにする仕事がしたい」というシンプルな答えです。相手の顔が見える仕事がしたいと思ったんです。

まず最初にやったことは勉強会です。知り合いを5人ぐらい集めた小さなものでしたが、それがきっかけになって、TWDWは今では1万人が参加するイベントになりました。

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多くの人は何かやりたいことがあって起業を考えますが、横石さんの「働き方を考えていたらいつのまにか起業していた、という少し変わった経緯ですね。

横石さん:運が良かったんです。起業のための資金や人脈があったわけでもなく、勉強会などやっていたことが結果的に起業につながりました。

小さくても信用できるコミュニティの存在は大きかったですね。

2012年に業界でも珍しいクリエイティブ業界に特化したキャリアコンサルタントの方と一緒に「人材会社と広告会社のビジネスモデルの融合」というコンセプトで株式会社ベンチを創業しました。

組織づくりとブランディングは会社で扱うとなると人事部と宣伝部に分かれると思いますが、僕は分けることで組織の弊害も起こっていると思っています。

融合が必要です。これは前職でマネージメントを経験したからこそ導き出せたコンセプトです。

蓋を開けたら、同じ課題認識をもったクライアントのみなさんがたくさんいらして、多くのパートナーシップを築くことができました。

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その後、おひとりで独立されて2016年に&Co.を設立されています。社名からも横石さんの思いや事業内容が伝わりますが、改めて社名の由来を教えてください。

横石さん:アンドコーと読みます。いきなり記号から始まるから、読みづらいですよね(笑)通常ですと&Co.は前方に人名をつけて使われます。

例えば、Tiffany&Co.は「ティファニーさんとその仲間たち」という意味になります。大切な誰かにとっての1人目の仲間でありたい、サポートしたいという思いを込めています。

“事の仕掛け人“であるために実践していること

横石氏インタビュー風景写真3

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TWDWではオーガナイザーをされている横石さんですが、他にもいろいろなお仕事をされていますね。誤解を恐れず言うと、“すごい黒子”というイメージです。すべての仕事に対して一貫した思いやこだわりはあるのでしょうか。

横石さん:例えが古くなりますが、「インテル入ってる」ってありますよね。僕も「&Co入ってる」って言われるような仕事をしていたい。

&Co.のクレジットが入ったものなら間違いないだろうって思ってもらえるクオリティを常に出力していきたいと考えています。

人によっては、僕の印象や役割は全く違うと思います。ストラテジックプランナー、コミュニティマーケター、場の編集者、働き方研究家、ワークショップファシリテーター、人材エージェント、司会やっている人などバラバラですが、自分自身では一貫しています。

言葉にならないのがもどかしいですが、肩書はプロデューサーを名乗っています。よくわからない怪しい職業なのがいいんですよね(笑)

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エッセイもご執筆されていますから、作家でもありますよね。「何でも屋さん」と言ってしまうと器用貧乏のように聞こえがちですが、横石さんは「広く深く追求する真の何でも屋さん」ですね。

横石さん:「何もできない屋さん」ですよ。僕は美大と言っても芸術学科というキュレーターを育てる学問の出身でしたので、絵が描けないのがコンプレックスです。

モノをつくり出す才能がありません。でも、「仕事」って「事を仕掛ける」と書きますよね。モノづくりではなく、「事づくり」をやろうと思いました。

そして、事をつくるにはよりよい情報をインプットしていくことが必要不可欠です。でも、他の人と同じようなことをやったり、SNSを見ていても、良い情報は自分に回ってこない。

自らがタコツボに陥らないように、他業種他業界のキーマンとのつながりをつくり、良い情報をすくい取れる環境をつくろうとした結果かもしれません。

たとえば司会業。通常ですと企業がイベントをする際に司会はプロに頼みます。

でも、これからは実際にプロジェクトを動かしている企業の担当者や関係者がお客さんの目の前に出ることが重要だと思っています。

ブランドはCMだけじゃなくて、対話を通じてコミュニティと共につくられていく時代です。そういった意味でも司会業は、最も質を高くインプットできる方法のひとつだと思っています。

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多種多様な仕事に取り組むことで、いろんな仕事の筋肉を鍛えていると。

横石さん:はい。他にも、ワークショップのファシリテーターの仕事では、目の前にいる相手から様々な要素を引き出しますよね。

ファシリテーションをすることで本質の輪郭を形づくり、そしてカオスの状況から瞬時に整理して、何を引き出すかを考えるんです。

こうした日々の習慣が、一見全く関係のないところで役立ちます。

たとえば会議の進行もそうですし、エッセイで「何をどう書くか」を構成するときなどに、このファシリテーションの経験が活かされるような気がしています。

働く時間のバランスより「なぜ働くのか」を考え続ける

横石氏インタビュー風景写真4

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働き方についてもお聞かせください。ワークライフバランスという言葉がありますが、横石さんはワークとライフが一体化しているように感じます。

横石さん:事づくりに関わる以上、一体化をせざるをえないです。きっちりと分けてしまうと何かを見過ごしてしまいそうなので。

僕らが働いているクリエイティブ産業の場合、良いものが生まれるかどうかは時間の配分だけでは計れないはずです。極端な話、1時間だけ働く日もあれば、20時間働いている日もあります。

毎日8時間を定時できっちり働くということ自体がナンセンスだとも思います。人も自然も波があって当然ですから。

本来はライフが大事なのに、ついついワークを優先にしがちです。大切なのは、自分が描いている生き方のための働き方と捉えること。「どう生きたいか」を考えると「なんのために働いているのか」という問いに必ずぶつかるはずです。

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「なんのための働いているのか」を考えるという点で、横石さんの仕事の原動力はどんなところにありますか?

横石さん:僕は人と出会うのが好きです。大好きな人と話をしているだけで、どんどん新しいアイデアが生まれてきます。

だから365日ずっと人と出会うことが楽しくて仕事をしているのかもしれません。もはや仕事をしていのか遊んでいるのか感覚がずれるときもあります。

ただ、パーティーだけは苦手なんです。話しかけれても何の話をしていいかわからないので、挙動不審になってしまいます(笑)

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そんな中、仕事上で「失敗した」と感じたことは何かありますか?

横石さん:失敗と言えるとわかりませんが、働き方改革の波に乗り切れてないことですね(笑)

大抵の場合、最近の「働き方」関連のイベントは協賛などのスポンサーを募って盛り上がっていますが、TWDWではそれができていない。

でも理由があります。働き方の話はニュートラルな場所で裸同士でぶつかりあって話すからこそ盛り上がるはずです。居酒屋で仕事の愚痴を言ってるときって楽しいじゃないですか。

スポンサーがついてしまうと、登壇者も参加者も気を遣ってしまうだろうし、本音で話せなくなってしまう気がしています。

こんなことを言っているから儲からないんですよね(笑)TWDWは儲かりもしなければ、凹むこともないようなサスティナブルな設計にしているので、10年20年はやってみたいです。

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でもクリエイティブエージェンシーで働いていた当時は、売上に対するプレッシャーもあったと思います。そのような経験がある上で、今のスタイルを保たれているのはなぜなのでしょう。

横石さん:当時のプレッシャーかどうかはわかりませんが、今の会社では事業計画も目標もつくったことがありません。計画を立ててしまうと計画に縛られてしまいます。

せっかく組織を離れたわけですから、誰よりもスモールでフレキシブルでオープンにありたいと考えています。

それから、広告ビジネスの基本はBtoBですが、BtoBばかりやっていてはC(Consumer)の気持ちを置いてきぼりにしがちです。

デザイン思考などでは“人中心”と声高に叫ばれる中で、広告の世界は真逆の発想で進むことが多い。

とにかく「いま、目の前にいる人と一緒に何をやれるか」という思いを大事にできるかを常に試しています。一見簡単そうでやってみると難しいんですよ。

対話が才能発掘へとつながる

横石氏インタビュー風景写真5

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横石さんが行うイベントは、他の「働き方」のイベントに比べて、How toを学ぶというよりも人のベーシックな部分を探る体験ができるイベントだと思います。その分、すっきりしないで帰る人もいると思うのですが、敢えてそのような設計をされているのですか?

横石さん:はい、それを最も大切にして設計しています。「なぜ働くのか」を考える場なので、問いが問いを生み出す状況を意識的にデザインしています。

問いが感染して、パンデミックを起こすような感覚です。How toを学びたい人が求めていた答えを得られずにモヤモヤして帰ってほしい。

“課題解決”という概念は、仕事の本質ではありません。人は課題を解決するためにだけに働くわけではないし、課題はゲームみたいに簡単にクリアできるものではないはずです。

それよりも、課題に対して問いで返す方が、違う目線で考えられるし、新しく生み出されるものもあると思います。

イベントへの参加体験が、自分自身の「なぜ働くのか」を考えるきっかけになってくれたらうれしいですね。

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問いが問いを生み出すループを繰り返すその先で、何が生まれると思いますか?

横石さん:個人個人に違和感や好奇心が芽生えて、自分の力で立ち上がる人が増えるのではないでしょうか。

日本はヒエラルキーや慣習が強い国だけど、問いのパンデミックによって、みんなが自分の力で考えられるようになれば、もっと若い人や能力のある個人が才能を発揮できるようになると思います。

問いかけばかりしてくるような“問いゾンビ”が増えてきたら面白くないですか(笑)

僕はインターネットの便益は隠れた才能が発掘されやすくなったことだと思っています。「FIND YOUR GREATNESS」という言葉をみるだけ痺れちゃいます。

誰にだって何かしらの才能があって、ちょっとした機会さえあれば世界とコネクトできる時代です。

そのために必要な対話をし続けることで自分や相手の才能を発見することを楽しめるといいですね。特に日本にはまだまだ隠れた才能が多いのではないでしょうか。

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日本にはまだまだ才能発掘の可能性が隠れているのですね。横石さんは、クリエイティブエージェンシーを退職されたあとに、バックパッカーとして世界一周旅行に行ったとうかがっています。日本と海外を比べて、何か感じたことはありましたか?

横石さん:いわゆる自分探しの旅に行ってきたのですが、収穫はゼロだったんですよね。ひたらす楽しかっただけで。

でも、旅から帰ってきて、居酒屋に入った時の話です。刺身を頼んだら、醤油が2つ出てきたことがあります。

日本にいながら初めての経験だったのですが、店員さんに聞いてみたら違う種類の醤油ではなく同じ醤油で、脂が多い刺身用とそうでない刺身用だったのです。

衝撃が走りました。おもてなしというか、繊細さというか、こんなことができる国は日本以外にないし、僕もそんな人間でありたいと思いました。

AIやロボットが注目されている今だからこそ、ホスピタリティやクリエイティビティが問われます。

日本には代替不可能な仕事がたくさんあり、ヒントが眠っていますから、ますます世界が注目していくことになると思います。

「損得勘定なしで付き合う世界をつくりたい」

横石氏インタビュー風景写真6

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ビジネスの世界では特に、人の仕事や功績に興味を持っても、人自体に興味を持つことは少ないように思います。横石さんが人の“生き様”に興味を持たれているのはなぜでしょうか?

横石さん:まずは「人が好き」だということ。アーティストやクリエイターが生み出す作品の裏側には必ず想いやメッセージがあります。

作品がすべてだという考え方もあると思いますが、僕はプロセスも含めて作品だと考えています。

仕事でもチームビルディングでも、働き方を通じてその人の本質や才能、何を考えてきたのか、どう生きてきたのかを知りたくなります。

ビジネスが上手くないのはこれが理由なのかもしれませんね(笑)

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人とのつながりや付き合いにおいて大事にしていることはなんですか?

ロフトワークの林千晶さんの名言で、「人生はドーナツである」というものがあります。

人は、自分の確固たるものは真ん中にあると思っているが、本当に大事なものは周りにあって、周りを大事にしない限り自分のことは見えない、という意味です。

家族や友人など、自分を取り巻くものが豊かであればあるほど、本当の自分が見えてくる。

人の生き様や働き方を知ることが、自分自身のアイデンティティを知ることだということを悟った言葉です。

この言葉に出会って以来、僕は、人に会うことは自分に会いに行くことだと思っています。今の自分の考え方や状況を、会っているその人が教えてくれるから。

損得勘定で人と付き合うといいことになった試しがないので、その人とこれからもずっと一緒にいたいか、いたくないか、好きかどうかで判断することも多いです。

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出会いの先にある自分自身を見つめるために、いろんな人の生き様を知ろうとしているのですね。最後に、横石さんがこれから目指したいことを教えてください。

横石さん:歌手のアデルやエイミーワインハウスを輩出したイギリスの「The Brit School(ブリットスクール)」は、評価を楽器の上手い下手ではなく「やさしさ」で測る音楽学校です。

これからのア―ティストは、コラボレーションする力が問われるため、相手の立場を知り、考えを理解できるかどうかが問われるからです。

日本の学校教育は“やさしさ”を教えてくれません。でも“やさしさ”のような非認知能力を教えられる環境が必要です。

だから「The Brit School」のようなやさしさの学校をつくりたいと思っています。“やさしさ”を損得勘定ではなくて、人との付き合いのなかに自然に持ち込めるようにしたい。

それが良いものを生み出す原動力になるからです。

大人にも言える話ですよね。どんな人でも本当はやさしいはずなのに、やさしくなれない大人がたくさんいる。

経済や数字を知っていれば偉くなれる、という価値観はどこかナンセンスだと思うんです。数値化されたものだけが人を成長させるわけではないから。

何歳になっても学び直しはできます。自分のことも含めて、この世界に“やさしさ”を取り戻す活動をしていきたいと思っています。

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大村昂太朗

大村昂太朗

この記事を監修した人 大村昂太朗 株式会社リアステージ プロシェアリング事業責任者兼プロテンマガジン編集長

2020/4の新卒配属時から一貫して総合人材支援会社、株式会社リアステージに従事。 1年目から新卒周りで事業の立ち上げと責任者を担い、2年目にインターン事業を立ち上げ。3年目のタイミングで新卒から副業領域にキャリアチェンジして、プロシェアリング事業の立ち上げ、責任者を務める。