by大村昂太朗
マーケティングを業務委託に任せるメリットや紹介先の選び方
マーケティング領域の業務は外に切り出しやすいことから、業務委託に任せやすい職種の1つ。
そのため、社内のマーケターとの役割分担もしやすく、業務委託を採用している企業も多くなっています。ただ、今までマーケティング業務を委託した経験がない場合、
・どんなメリットがあるのか?
・どのような紹介会社を選べばいいのか?
など、わからないことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「プロの助っ人」を運営している株式会社ホールハート代表小野が10年以上、マーケティングの業務委託者を多く紹介してきた実績をもとに、
・どんなメリットがあるのか
詳しく解説していきます。
株式会社ホールハート代表取締役CEO
小野進一
人材紹介業歴18年の大ベテラン。広告業界に強力な人脈を持ち、1万人以上の求職者をサポートしてきた実績を誇る元宣伝会議取締役。2年連続(2014/2015)「ビズリーチ・ヘッドハンターサミット広告部門」のMVP受賞実績有り。これまでのキャリアを活かした他業界への転職/副業支援実績も豊富。
目次
マーケティング職の業務委託とは
マーケティング業務はエンジニアやデザイナーと同様、外部に切り出しやすい業務領域の1つです。
一口にマーケティングと言っても幅広く、広告全般の企画・運用から、営業全般まで多岐にわたりますが、ほぼ全て業務委託に任せることが可能。
役割分担をおこない、マネージメントやディレクションを正社員が、その他の実務を業務委託がおこなっている例も珍しくありません。
マーケティング職の業務委託ができること
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングとありますが、そのどちらでも業務委託することが可能で、実際に委託しているケースが非常に多いです。ここでは、マーケティング職の業務委託事例の一部を紹介します。
ただ、企業の特殊な個別ニーズにも、相談すれば対応できるマーケターも多々います。「どうせこの案件は委託できないだろう」と思うのではなく、あくまでも、ここでご紹介するのは委託できることの一部の例として考えてください。
市場調査・分析
製品開発や広告戦略などの開発・企画業務にマーケティング職の業務委託を利用することがあります。ネットでの統計調査や、新市場のマーケット調査など、調査や分析業務を主としておこないます。
施策の立案
開発・企画された製品やサービスを、どう消費者に届けるかのマーケティング施策の立案をおこなうこともあります。特に、ネットの媒体は、製品やサービスによって相性が大きく異なることも。
流行や消費者の感度の変化をつぶさにキャッチアップしている専門のマーケターに任せるほうが、正社員よりも遥かに高いパフォーマンスを出すことが多々あります。
マーケティング施策の運用代行
立案されたマーケティング施策を運用することも、業務委託に任せることが可能です。特に運用業務での委託実績が顕著といえます。
広告の出稿先によって異なりますが、リアルタイムに消費者の反応を見ながら広告単価やテキスト・キーワード、運用方法を変えることで驚くほどのハイパフォーマンスが得られることも珍しくありません。
就業時間中、ずっと広告運用をおこなうことができない正社員とは異なり、運用を専門に扱うことができる業務委託だからこそ可能なことだと言えます。
リモートでの作業も容易なため、業務委託に任せやすい仕事と言えるでしょう。
マーケティング業務全般のディレクション
マーケティング業務全般を任せている社員が退職した場合や、引き継ぎがうまく行かなかった場合などに多く利用されるケースです。
ディレクターとして、マーケティング全般の仕事を業務委託に任せるこの事例では、下記の2つの利用方法が多くなっています。
・引き継ぎが終わるまでの間スポットで委託する
実際に、外部の業務委託に指示を出しているのも業務委託の人、ということも珍しくありません。
商品・サービス企画の立案
新しい商品やサービスは正社員の仕事、と考える風潮がまだまだあるのが正直なところです。ただ、その製品やサービスを購入する消費者の嗜好と、製品とのタッチポイントは多様化しています。
そのため、時代の変化に早く対応できている企業では、嗜好の変化に詳しく、タッチポイントである媒体の専門家のマーケターに業務委託することが当たり前になっています。
この場合は、新製品・新サービスの開発をまるごと委託するというよりも、開発のための市場調査や、開発中のテスト、開発後の広告に関わることが多いです。
新しい出稿先の開拓
新規顧客の獲得が思うように行かなくなった場合などに、新しく自社の製品やサービスにあう出稿先を開拓する業務を委託するケースです。
この場合は、運用とセットになっていることも多く、各媒体で運用する専門スキルを持つマーケターに委託すると良いでしょう。
営業代行
オンライン、オフライン問わず、営業代行業務を業務委託することは珍しくありません。
コストパフォーマンスが測りやすいため、最近では、新規顧客の開拓やその後のサポートに、多くの業務委託を充てているケースも。
マーケティングを業務委託に任せるメリット
ここでは、わかりやすいメリットを一部、紹介していきます。正社員との役割分担や、業務の切り出し方によって、メリットは大きく変わります。
売上の機会を逃さない
ネット広告などに特に顕著なのが、「流行り」を意識したマーケティング。しかし正社員の業務は広告関連全般にわたるため、ネット媒体をずっと見ているわけにはいきませんよね。
そうなると、トレンドに乗ったキーワードや、コストパフォーマンスをあげるためのABテストなどをおこなえず、純粋に売上の機会損失になっていることが多々あります。
案件が採れる出稿先や営業先などにリードタイムなくすぐにリソースを集中できるのは、業務委託にマーケティングを任せる大きいメリットです。
新市場へのキャッチアップを最短にできる
ここでいう新市場というのは、自社が今まで取り扱ったことがない広告手法と領域のこと。動画広告とAD広告などは広告手法として別ものですし、リーチできる層や方法に至るまで、全く異なります。
ネット媒体でも、Yahoo!広告とInstagramで「刺さる広告」は別物です。
新しい顧客を獲得したい場合、競合よりも早く獲得を進めるためには、新しい出稿先(SNS等)へのマーケティングノウハウがすでにある業務委託に依頼するのが1番早いです。
PDCAの高速化
マーケティングは基本、PDCAを回すことでパフォーマンスの向上が見えやすい業務ですが、少数の社員で回していたら、各々の領域にバイアスがかかることも。
たとえば、Plan(計画する)とCheck(評価)の部分は正社員がおこない、Do(実行する)とAction(改善する)は業務委託に任せるなどの役割分担をおこなうと良いでしょう。
社内研修も可能
業務委託から得たマーケティングノウハウは、仕様に落とし正社員が吸い上げやすい特徴があります。
たとえば、3ヶ月~半年などの限られた期間、自社にはないノウハウを持った業務委託に仕事を任せつつ、社内で社員向けに研修を実施してもらったり、ドキュメントに落としたりすることも可能です。
委託するだけでなく、社員を育てることにも利用できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
コスト削減効果が高い
わかりやすいメリットとしては、コストの削減が挙げられます。たとえば、
・とはいえ、社員をもう1人雇うほどでもない
・数カ月後には普通の量に戻る見込み
このような場合、一時的に発生した業務を同じく一時的に業務委託を利用することで、採用経費をはじめ、高いコスト削減効果の実現が期待できます。
また、マーケティング職はリモート作業などを任せられるため、コスト削減の効果が他の職種よりも高い傾向にあります。
業務委託のマーケターの活用をおすすめする企業例
どのような企業だと先述のメリットを享受しやすいのか、具体的にあげましたので参考にしてください。
新規の顧客にアプローチできていない
これまで獲得できていたマーケティング施策や媒体から、思うように新規顧客の獲得ができなくなってきた企業にはメリットが大きいでしょう。
新しい市場にアプローチするにも、キャッチアップに時間がかかります。また、スキルやノウハウを持っている社員を雇おうにも、転職者の有給消化などを待たなければいけません。
そのため、リードタイムなしで新しい市場にアプローチすることは難しいといえます。そのような場合には、すぐに任せられる業務委託を検討してみると良いでしょう。
SNSなど最新手法を実行できる社員がいない
従来通りの手法でずっとマーケティングを回している企業の場合、新しいSNSや手法を理解し、実際におこなうまでにはかなりの時間がかかります。
社員を育成している余裕があるのならば別ですが、早い立ち上がりを求めているのであれば、すぐに任せられる業務委託に任せてしまう方が効率が良いといえるでしょう。
代理店に任せればいいと思っている
よくあるパターンとして、マーケティング関連の業務は代理店に全て任せており、社員は代理店をグリップしているだけ、というケースがあります。
このようなパターンは非常に危険で、代理店からの運用報告や改善提案がそもそも適切なのかさえ理解できていないことがあります。
「代理店が言ってることだし大丈夫だろう」と思っていると、大きな機会損失だけでなく、コストを垂れ流しにしている可能性も。
もちろん、グリップなどもできていると思っていても、実際にはできておらず、代理店が怠慢な対応をしていることさえ見抜けないこともあります。
このような場合は、代理店と同じか、それ以上のスキルやノウハウを持った業務委託を同席させながら打ち合わせなどをすると良いでしょう。
委託先の選び方
業務委託にできることは多く利用するメリットがわかっても、どこの紹介会社を選べばいいのかわかりにくいこともありますよね。
特に、ミスマッチを起こした場合はメリットどころかデメリットがありますので、選びかたが最も重要だと言っても過言ではありません。
Q&A
マーケティング職の業務委託を利用したことがない場合、不安や疑問が多いと思います。ここでは、その中で多く寄せられる疑問について紹介していきます。
責任感の希薄さから、炎上などが起きないか
アルバイトのような感覚で業務委託を捉えている場合は、このような不安があるでしょう。ただ、もちろん業務委託はアルバイトではありません。
それに、多くの炎上や、SNSでの企業アカウントによる失言、その他の失策についてニュースなどで紹介される場合、「◯◯の社員による」と紹介されます。
これが業務委託の場合は、業務委託または委託先であったり、アルバイトの場合はアルバイトと明記されます。
また、特定非営利活動法人「日本ネットワーク・セキュリティ協会」の統計によると、情報漏洩などは人為的なミスであり、職務・職責の如何は関係ないという結果が出ています。つまり、危機管理と採用区分は無関係なのです。
社内にノウハウは残るのか
業務委託のうち、マーケティング職はノウハウを社員に引き継いだり、ドキュメントに残して仕様化しやすい職種の1つです。
逆に、社員の育成をおこなう時間を短縮するために、業務委託に新規の仕事を任せつつ、社員に引き継ぎ作業をしてもらう事例もあります。
求めるスキルを持っているかの見分け方は?
新しいSNSなどは、新規顧客やサービスの認知獲得、新しい顧客体験の創造ができる分、移り変わりが早く、キャッチアップするのに時間がかかります。
たとえば、業務委託に任せたいと思っても、社内で該当のスキルを持っている社員がいない場合もあります。そういった場合は、どうやってスキルやノウハウがある業務委託者を見極めればいいのでしょうか。
結論を言うと、ミスマッチを防ぐためにも、対象者のスキルを定期的にトラッキングし、面接などでチェックしている紹介会社から紹介してもらうことがおすすめです。
なぜなら、企業側のニーズを正確に把握し、それを満たすスキルを持つ業務委託をミスマッチなく採用するには、職務経歴書だけではなく対面などでのヒアリングが必要だからです。
まとめ
マーケティング業務は外部に切り出しやすく、社員との役割分担もしやすいため、最近では業務委託を利用する企業が増えています。
実際に任せられる業務領域の幅も広く、メリットや費用対効果も測りやすいのが特徴です。ただ、その分、業務委託の紹介会社選びが重要。
必ず自社で採用データベースを保有しており、委託者のスキルを把握できている紹介会社を選びましょう。
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