by大村昂太朗
フリーランスとして独立した後のキャリアアップの方法
フリーランスとして独立した後もキャリアアップを進めていくためにはどうすればよいでしょうか?
会社員特有の役職や地位の階段を昇っていくことだけを指すのではなく、今までは関わることができなかったようなより魅力的な仕事に携わることができるようになることがキャリアアップの本来の意味です。
その意味でのキャリアアップは、フリーランスの方にとっても重要なテーマでしょう。現状維持志向のフリーランスの方もいらっしゃるかもしれませんが、フリーランスとして生き残っていくために、キャリアアップは必要不可欠です。
独立する前に蓄積してきたスキルを更新しないまま、同じような仕事だけを延々と続けていると、下記のような理由からいずれ仕事が得られないようになっていきます。
- 業界は狭く自分の商圏にいるお客様の数には限りがあり、また変化していっている
- 同じお客様に対して全く同じサービスを二度提供するということは基本的にありえない
- 時代は移り変わり、世の中から求められるものは変化していく
- 歳をとるにつれて求められるものは変化し、またライフスタイルも変化するため、仕事の仕方も変えていく必要がある
現状を維持するためにも、キャリアアップは必要不可欠です。変化しないということは、やがて今の状態を維持できなくなるということにつながっていきます。
一方、貪欲に挑戦し限られた人生の中で少しでも多くの社会的インパクトの大きい仕事に関わっていきたい、結果的に収入もできる限り増やしていきたい、と考える成長志向のフリーランスの方もいらっしゃることと思います。
フリーランスの場合、自分自身が勇気をもって決断すれば、いくらでも次のステージへと歩みを進めていくことができます。
会社に勤めて仕事をしている人からすると考えられないようなスピードでキャリアアップを実現していくことだって可能なのです。
本記事では、フリーランスがキャリアアップを進めていくための方法についてまとめます。
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目次
成長し続けるために何をするべきか?
フリーランスは、とにかく同じところに停滞しがちです。
仕事をしなければ食べていけないのでどうしても、今自分ができることをベースにして、できるだけ効率よく確実に安定して収入が得られるお客様の仕事に意識が集中してしまいがちなのです。
では、どうすれば同じ場所にとどまらず前進していくことができるのでしょうか。
まず、フリーランスとしてキャリアアップを実現していくためには、スキルアップが欠かせません。
スキルアップには、
- 自分のコアスキルをより高度なものに磨き上げていく
- 今の自分のコアスキル領域とは異なる、新しいスキル領域を体得していく
の2種類があります。スキルアップというと、とかく前者に目が行きがちですが、キャリアアップのためには後者が重要です。
なぜならば、
- 世の中が求めるものは常に「新しいもの(時代の最先端のもの)」である
- 特定の能力一本で仕事をしていると、競合との競争に勝てなくなる
からです。
フリーランスは、どうしても今まで築き上げてきた領域のスキルに固執してしまいがちですが、思い切って新しい領域のスキルを貪欲に吸収していきましょう。
それが、時代が求める仕事をこなし続けていけるようになるための唯一の方法です。
また、新しい領域のスキルを体得し、自分の中で複数のスキルを組み合わせていくことで、競合との差別化につながる個性的なスキルセットを構築していくことができます。
具体的な方法を見ていきましょう。
仕事を通じてスキルアップを図る
最も理想的なアプローチは、実際に仕事をしながら、その仕事を完成させる過程の中で新しいスキルを吸収していく、という方法でしょう。
つまり、未経験の仕事に思い切ってチャレンジし、その仕事をきちんと完遂させるために必要なことを学習していくということです。
これは極めて実践的な学びの方法ですから、本当に必要な実用的スキルをしっかりと体得することができます。
もちろんこのアプローチにはリスクもあります。
できない仕事を受注してしまい、結果、不十分な成果物しか仕上げることができず、お客様の信頼を損ねてしまうというようなことも十分に起こりうるわけです。
したがって、
- 頑張ればなんとか完成させられる仕事であるかどうか、念入りに見定める。
- 自己投資にお金を惜しまない。
- お客様に対して、正直に未体験の仕事であることをお伝えし、通常よりも低い報酬額で仕事を受けるようにする。
などといった対策を講じていくことが大切です。
独学する
仕事を通じてスキルアップを図るチャンスを得られる機会は、実際にはあまり多くありません。そこで、独学が大切になってきます。
特に重要なのは、市場に仕事が溢れ出す前に「これから来そうだな」と考えられる分野の学習を先んじて行っておくことです。
そうすることで、仕事が一斉に世に出てきたときに、最初からアドバンテージを持って競合との激しい競争に揉まれることなく仕事を勝ち取ることができるようになるのです。
フリーランスは時間のコントロールが比較的しやすいので、仕事と学習の時間のバランスを上手にコントロールすることで、副業社員の方よりも集中して学習を進めていくことができます。
学習方法としては、実際に、試しにやってみるアプローチが最も効果的でしょう。
書籍やWebでの学習も考えられますが、単なる知識の学習と違って実際にやってみているので、いずれ仕事として受ける際の土台となります。
その際、
- 新しいトレンドに関心を持ちそうな企業をサンプルにして、プロトタイプを作り営業に行ってみる。
- 試作の過程を記録に残しておき、Webで公開することで収入を得る。
- ノウハウを体系化・テンプレート化しておき、必要な時にすぐに引き出せるようにしておく。
といったことを同時に進めていくのが賢いやりかたでしょう。
学びの過程すらも稼ぎに変えるということが、フリーランスが生き残っていくための鍵になります。
人から学ぶ
独学では得られないものを、人からの学びでは得られるものです。それは実用的なテクニックとしてのスキルではなく、考え方のフレームです。
体系化・言語化しにくい、「ものの考え方」や「仕事の進め方」といった抽象的な技能です。
仕事というものは、高度なものになればなるほど、ただ単に決められた工程を決められた手順でこなしていくようなものではなくなります。
独自の判断基準に支えられた、高度な決断や独自のものの見方に根差した独創的な発想・提言が求められるようなものになっていきます。
これは、独学で習得していくことが非常に難しいものです。
このような技能を高めていくためには、自分の思考の枠組を越えた新しい刺激と接触していくことが必要になります。
つまり、さまざまな人と接触し、その体験の中から学びを得ていくしかないわけです。「人から学ぶ」ことの価値は、ここにあります。
フリーランスの次のステージへと進む
ここまでで見てきたように、フリーランスは、スキルアップを通じてキャリアアップを果たしていくことができます。
しかしながら、いずれこの道のりには行き止まりがやってきます。
なぜなら、不断の努力を続けて絶えずスキルを更新し、フリーランスとしての高みに到達できたとしても、個人が個人としてなしうることには限界があるからです。
どれだけ優れた個人であっても、人間の時間は1日24時間、1年365日しかありません。
フリーランスであるということは、目的ではなく、手段です。フリーランスという状態を維持することが目的となってしまうと、いずれ限界が来てしまいます。
フリーランスとして独立して活動するという選択は、本来、よりよい仕事を為すための手段として選ばれるべきものです。
自身のパフォーマンスを最大限発揮するために、もしくは自身のキャリアアップのスピードを速めるために「会社に勤務して働くよりもフリーランスとして独立して働くほうが合理的だ」といえる状況がある限りにおいて、フリーランスとして独立して活動するということに価値が認められます。
そしてその状況は、時の流れとともに変わっていくものです。
よりよい仕事を為すために、フリーランスとして独立して活動するよりも、別の働き方を選択したほうがよいと感じられるようなタイミングがいずれやってきます。
そうしたタイミングにおいては、思い切って次のステージへと歩みを進めていくことが大切です。
それでは、フリーランスとして既に十分に経験を積み、納得のいくスキルアップ・キャリアアップも実現できた人が遂に行き止まりに到達した時、次にどのような道を選びうるのでしょうか。
複数のフリーランス(個人事業主)で集まってチームをつくる
まず、複数のフリーランス(個人事業主)で集まってチームをつくるという方法があります。これには、2つのパターンが考えられます。
(1)おなじ職種のフリーランスで集まって、共同で仕事を受ける体制をつくる
1つ目は、おなじ職種のフリーランスで集まって、共同で仕事を受ける体制をつくる、というものです。
この形のメリットは、まず客観的に見て仕事をこなす力が大きく見えるので、仕事が受注しやすくなるということがあります。
そのうえ、ひとりでは到底こなしきれないような規模の大きな案件も受注しやすくなります。
また、個人個人で受けた仕事をチーム内で上手に融通しあうことで、収入の山谷を平準化していくこともできます。
おなじ職種の人間が集まるがゆえに、切磋琢磨やノウハウ共有を通じてスキルアップを図ることもできます。
(2)隣接する関連職種のフリーランスで集まって、共同で仕事を受ける体制をつくる
2つ目は、隣接する関連職種のフリーランスで集まって、共同で仕事を受ける体制をつくる、というものです。
例えば、「営業、ビジネスコンサルタント、ディレクター、デジタルマーケティングプロフェッショナル、WEBデザイナー、イラストレーター、ライターで集まってチームを作る」などです。
このようなチームを組むことで、個人では受注が難しい大きなプロジェクトを受けていくことが可能になります。
このようなチームのつくりかたには、さまざまなバリエーションがあります。
ただ単に相互の約束でもってチームを組成するやり方もあれば、共同出資の上、全員が取締役となって、共同で株式会社を運営していくような方法も考えられます。
個人事業主のまま、人を雇用して、事業を拡大していく
次に、あなた自身がオーナーシップをもって人を雇用し、自身の個人事業を拡大していくという方法があります。個人事業主でも人を雇用することができます。
個人事業主でありながら人を雇用していくことで、例えばあなた自身は難易度の高い仕事(付加価値の高い仕事)や新しいチャレンジに集中し、比較的容易な仕事は被雇用者に任せていくというようなことが可能になります。
個人事業主から、会社経営者に転じる
いわゆる「法人成り」です。
フリーランスとして営んできた個人事業を、設立した株式会社に移行させて、会社の事業としてさらなる発展を図っていくというアプローチです。
法人成りは大変なことです。まず株式会社を設立登記する一連のプロセスは大変な作業です。
また、資本金1円でも会社は設立できるといわれることもありますが、実際には資本金をある程度の額用意しなければ安定した会社経営は困難です。
それに、ただ単に会社を設立するだけでも、登記にかかる各種手続の諸費用、登録免許税の支払などで、数十万円の費用がかかってしまいます。
そのうえ、会社が黒字であろうが赤字であろうが必ず発生する法人住民税もありますし、ただ単に会社を経営しているだけでも個人事業とは比較にならないくらい細々とした事務管理やお金の管理が要求されます。
そこまでして、会社の事業として営んでいくメリットはどこにあるのでしょうか?
上述のとおり個人事業主であっても人を雇用することは可能ですし、よくある「売上が〇万円以上であれば会社にしたほうが節税になる」メリットも、いってみれば派生的なものです。
わざわざ設立費用をかけて株式会社を設立し、自分の個人事業を移管することの本質的なメリットであるとはいいにくいでしょう。
株式会社を設立することの最大のメリットは、個人では実現し難い資金調達を行うことができるようになり、その資金で大掛かりな成長投資が可能になるという点に尽きるでしょう。
会社にすることで、出資者であるあなた自身は有限責任となります(個人保証が付く場合を除き、出資額を上限とした責任のみを負う形になります)。
また、厳格な事務管理を徹底する義務が課せられる半面、信用が高まりますから、金融機関からの融資等も受けやすくなります。
そして何より、エクイティファイナンス(株式発行による資金調達)が行えるようになるのです。
これにより、個人では到底購入できなかったような最新鋭の最先端機器に設備投資を行う等、あなたの事業をスケールアップさせていくための大きな一手を打てるようになっていくのです。
個人事業主であり続けながら、会社経営者にもなる
一方、「ずっと個人で営んできた個人事業は、あくまでも自分のプロフェッショナルスキルをベースにこれからも個人で粛々と営み続けていきたい」という方もいらっしゃるかと思います。
そうした方におすすめのキャリアアップの選択肢が、今まで通り個人事業は個人事業で営んでいきつつ、並行して自分自身で株式会社を設立して、自分の手掛けたい事業を展開していくという道筋です。
一般にフリーランス(個人事業主)は、自身が有するプロフェッショナルスキルをベースに、企業から依頼を受けて仕事をするような受託ビジネスを営むことがほとんどです。
もちろん、こうしたサービス業に心の底からやりがいを感じておられる方もいらっしゃるかと思いますが、中には、「いずれ(受託ではなく)自分自身が本当に手掛けたい事業を自分で立ち上げていきたい」と考えている方もいらっしゃることでしょう。
後者であれば、思い切ってフリーランスとしての安定した収入を得つづけながら、並行して自分自身で株式会社を設立して事業を営んでいくことにもチャレンジしていってみてはいかがでしょうか。
そのことは、巡り巡って、フリーランスで営む個人事業にもプラスの効果をもたらしてくれるはずです。
つまり、あなた個人のプロフェッショナルスキルに経営者としての実体験を掛け合わせて、さらに説得力の高い(価値が高い)ものへと進化させていくことができるのです。
組織(会社)に入り、確立された副業をもったスーパー会社員になる
フリーランスとしての経験をひっさげて、組織(会社)に入って働く道を選ぶのも、キャリアアップための有効な手法です。
そうすれば、フリーランスとして蓄積してきた顧客基盤と収入を維持しつつ、組織(会社)から給与所得も得ていくことができるのです。
組織(会社)で働きながら、副業という形で少しずつ自分自身の個人の商売を広げていくアプローチでは、事業を大きくしていくまでにどうしても時間がかかります。
その点、一度フリーランスとして独立し、一気に個人の商売を広げたうえで再就職すれば、短期間で大幅に収入を増やしていくことも夢ではありません。
しかも、フリーランスとして手掛けてきた事業を今後も副業として継続していきたい旨をきちんと説明したうえで就職が認められれば、その後も非常にスムーズに副業を進めていくことが可能です。
フリーランスのキャリアアップ法まとめ
フリーランスであるということは、目的ではなく手段です。
「どんなふうに働きたいか」という手段にばかり目を向けて「どんな仕事をするか」という本来の目的を軽視してしまうようでは、本末転倒です。
どうすればあなたの才能をフル発揮でき、いままで経験できなかったような&やりがいの感じられる仕事に関わっていけるようになるのか?という観点からどのように働くかを決め、キャリアを切り拓いていってください!
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