by大村昂太朗
【副業インタビュー】ITコンサルタント ケビン松永さん「必要なのは、技術よりも対人スキル」
フリーランスとして働いていくには、スキルを磨いて多くの仕事を獲得したいですよね。では一体、どのようなスキルを磨いていけばよいのでしょうか?
今回は大手のメーカー系SIerでのシステムエンジニアを経験後、フリーランスでITコンサルタントとして活躍しているケビン松永さんにお話を伺いました。
目次
大手SIerで「何でも屋」
ケビン松永さん、まずは自己紹介をお願いします!
ケビン松永さん:ケビン松永と申します。現在はフリーランスのITコンサルとして働いてます。妻と3人の子供がおり、家ではパパ業に励んでいます。意識高い系というよりは尿酸値高い系です。
家族がいても独立を選択したんですね! 健康には気を付けてください!
独立前の本業では、どんなお仕事をしていたのでしょうか?
ケビン松永さん:独立前は、国内最大手のメーカー系SIerに勤めていました。
IT部門の売上高は約2兆円で、そのうちの売上2000億円ほどの事業部に所属し、情報システム開発に従事していました。
システムエンジニアという肩書きでしたが、正直、元請けのSIerって「とにかくシステムが無事に動くまで何でもやる」という仕事なんです。 「システム開発・導入・運用に関する何でも屋」ですね。
幅広い知識が要求されるんですね。
ケビン松永さん:お客さんの予算取りのための提案活動から、入札対応、受注後のプロジェクトマネジメント、人員の手配、技術的な方式設計のレビュー、顧客クレーム対応などなど……。
なので、パパ友などに「どんな仕事してるんですか?」と聞かれるたび、答えに窮していました。
たしかに、納得するくらい「何でも屋」にふさわしい業務幅ですね……!
出世レースのトップを離脱
独立の経緯やきっかけ・目的はなんだったんですか?
ケビン松永さん:なかなか一口で言うのが難しくて、ブログ記事で8エントリもあります(苦笑)。
8エントリも! まとめるのは難しいと思うのですが、少し聞かせていただけますでしょうか?
ケビン松永さん:2018年10月に独立したんですが、もともとキャリア志向もあり、仕事も好きでしたし、会社にも評価してもらっていて、前職の出世レースではトップを走っていました。
ただ、典型的な日本企業の出世競争は40歳ぐらいまではまだ予選の段階です。40歳ぐらいからいよいよ本線が始まるので、私は予選を勝ち抜いたぐらいのステージにいました。
いよいよこれからってときだったんですね。
ケビン松永さん:前職の会社は、リーマンショック以降に構造改革を行って業績的には復活したんですが、その内情を見ると「社長以下、全員が中間管理職」なんですよね。
取締役会にガチンコの社外取締役を迎え、ビジネス論理でガツガツ詰められるので、役員であっても株主・取締役からのプレッシャーは強い。
自分自身が管理職となったときに上を見上げてみると、幹部も役員もみんな何かに追われている。
「そっかー、結局、雇われの身のサラリーマンは、どこまで偉くなっても自由はないよなー」と思ったら、なんか出世レースが不毛に感じられてしまったんです。
せっかくトップを走っていたのにもったいない気もしますが、難しいところですよね……。
ケビン松永さん:定められた給料表の枠組みから踏み出したかったという理由もありますが、自分で仕事を選んだり、稼働率を決められるようになりたいと思ったのが大きいですね。
自由な働き方を求めることにしたんですね!
スキルを活かしてフリーランスに
フリーランスとして、具体的にはどんなお仕事をしていますか?
ケビン松永さん:前職の「システムに関する何でも屋」として培ったスキルを活かし、ITコンサルとして働いてます。
ユーザー企業のIT部門で、社員代替のような形でプロジェクトマネジメントをやったり、社員支援の仕事をしています。
「何でも屋」のスキルが活かされたんですね!
フリーランスとしての、1週間のスケジュールを教えてもらえますか?
ケビン松永さん:クライアント先に9時~18時で常駐しています。なので、あまりフリーランスっぽくはないですね(笑)。
クライアントによっては、稼働率50%~80%やリモート対応可の案件もあるため、もう少し余裕ができてきたら稼働率をコントロールしていけたらと考えています。
ご家族と過ごせる時間も増えそうですね!
交渉次第で報酬が……?
ケビン松永さんは、報酬の形態や相場はどのくらいで設定/交渉していますか?
ケビン松永さん:ITコンサルですと、1人月 130万~160万円ぐらいが相場です。スキルもさることながら、商流にも左右されます。交渉次第で5万~10万円ぐらいは変わることもあります。
「あと+5万ぐらいで……何とか会社と調整してみてもらえませんかね……?すみません……」と丁寧に下手に出つつも、できるだけ交渉はするようにしています(笑)。
交渉能力も大切になってくるんですね!2019年のご年収はどのくらいでしょうか? また、サラリーマン時代とどれくらいかわりましたか?
ケビン松永さん:2019年の年収は450万円です(キリっ)。
……え?
ケビン松永さん:って感じですよね?でも、自分は法人を設立しているので、役員報酬は自分で決めるんです。自分の法人を持つようになると、税金や社会保険料の関係で年収は低ければ低いほど良い(笑)。
そんな感じで、年収という概念の意義が薄れているのですが、サラリーマン時代とちゃんと比較すると、独立してジャスト2倍ぐらいにはなりました。
なるほどそういうことだったんですね……!約1年で2倍は同じサラリーマンとして希望を感じます!
「生き残ることが本業」
これまでフリーランスをしてきた中で、収入以外にも何か得るものはありましたか?
ケビン松永さん:生存能力はアップしたと思います。
もし前職から転職してたら、どうしても同じ職種で同業他社への転職になっていたと思いますが、ぶっちゃけフリーランスとなると本業も副業もなく、「生き残ることが本業」なんです。
本業と副業の境い目がなくなってくるんですね。
ケビン松永さん:そういう観点で世の中を眺めてみると、自分が稼げる可能性はたくさんあるし、けっこう曖昧なオジサンが曖昧な仕事して生きてるんだなーと思えるようになってきました。
フリーランスになるにあたって、A.実際にやった準備 B.やってよかったこと C.やっておけばよかったことがあれば教えてください。
ケビン松永さん:
会社員時代から法人を設立していました。
B.やってよかったこと
もともと簿記とFPの資格を持っていて、会計・税務・社会保険についての基礎知識があったので、それは独立してからすごく役に立っています。
C.やっておけばよかったこと
フリーランス経験者に事前にいろいろヒアリングした方が、不安が少なかったかもしれません。
逆に、失敗やそこから得た教訓はありますか?
ケビン松永さん:キャリアアップを図って未経験のジャンルに思いっきり飛び込み、今もひーひー言ってます(苦笑)。
経験したことのないジャンルにも積極的に取り組んだ方が良いとは思いますが、フリーランスは即戦力が求められます。
もし未経験のジャンルにチャレンジするのであれば、「片足ずつ違う環境に踏み込んで行く」アプローチが良いと思います。
今後もフリーランスを続けていきますか?
ケビン松永さん:今のところ順調なので、逆にサラリーマンに戻れる気がしません。最終的には稼働率をコントロールしながら、細く長く働いていければと思います。
辞めたいときに辞められるのが、属さずに働くメリットですよね。
ケビン松永さん:現時点である程度の運用収入もあるので、働き盛りの40代でもう少し資産を貯め、経済的な不安が後退したら、少し稼働率を落としていこうと思います。
仕事はそんなに嫌いでもないので完全にリタイアはせず、働くことを通じて社会とのかかわりを保っていきたいと考えてます。
「都合の良いエンジニア」であるべき
副業やフリーランスを始めたいけどどうしたらいいかわからないという方に、ケビン松永さんならどんなアドバイスをしますか?
ケビン松永さん:身近にそういう人がいるかどうかで、随分違うと思うんですよね。
大したことないと思っていた奴が副業とかフリーランスをやっていると、「アイツができて、俺ができないわけがない」という発想になってくる。
だから、親や友人など身近なところに事例を見つけられる人は、呼吸するのと同じぐらい自然に副業やフリーランスを始めてます。
特別な人やスキルレベルの高い人じゃなくても、副業やフリーランスってやれるんだなと。
生の声を聞くということが大切なんですね! 触発される環境が誰にでもあればいいのですが……。
ケビン松永さん:身近で見つけられないのであれば、SNSなどでそれっぽいコミュニティをフォローして情報収集を行い、オフ会などでリアルな体験談を聞いてみたらいかがでしょうか。
ご自身のブログにフリーランスエンジニアとして生きるコツを7つ挙げていらっしゃいますが、技術面というより、パーソナルな部分について多く書かれていらっしゃいますよね。
ケビン松永さん:すみません、7つも書いちゃってます(汗)。フリーランスエンジニアとして生き残るには、技術的なスキルよりも対人スキルの方が重要なんです。
企業がフリーランスエンジニアに求めているのは、「都合の良いエンジニア」です。
「都合の良いエンジニア」ですか……?
卓越したスキルではなく、必要な時に利用できるITスキルを持った人材ですね。
そんなクライアントが求める人材になるために大切なのは、対人スキルや愛嬌などの親しみやすいコミュニケーション能力かなと思います。コミュ障の方はちょっと辛いかもしれません。
働きたい時に働くためには
ケビン松永さんにとって、「働き方」と「生き方」はどれくらい・どのように関わっていますか?
ケビン松永さん:若い頃は、「一日中寝ていたい」「ゲームやってマンガ読んで友達と遊んでたい」と思っていたこともありました。
でも、そういう暮らしって実際にやると2ヶ月ぐらいで飽きるんですよね。
ケビン松永さんでもそう思っていたなんて意外です!
ケビン松永さん:なんだかんだ、自分はけっこう仕事が好きです。新しい人とも知り合うし、新しい知識や経験も要求されるし、社会に貢献している感覚も得られる。
これまでに培ってきた知識と経験を活用できて、報酬が得られるって素敵な事ですよ。
要は稼働率のコントロールの問題であって、週3~4日、10時~16時でいいと言われれば、誰でも仕事したいと言い出すのではないかと思います(笑)。
- 稼働率60~80%で週3~4日勤務
- 働きたくなったら働き、辞めたくなったら辞められるパートタイマー
たしかにその条件なら仕事好きな人が増えそうですね!
これからの時代、自分らしく生きていくためにはどんなことが必要になってくると思いますか?
ケビン松永さん:企業としても「必要な時に必要な人材リソースだけが欲しい」ということから、終身雇用・年功序列という雇用慣行を脱しようとしてますよね。
働く側の人材としても「働きたい時に、働きたい仕事をする」ということが言えるように、専門性・スキルを高めていくことが重要かと思います。
サバイバルの中で生き残るには対人スキルが必要だなんて、目からうろこでした!少しずつ変化している働き方にまつわる環境に適応していけたらいいですよね。
フリーランスとして何をして磨けばいいのか迷っている方には、魅力的なお話だったのではないでしょうか。ケビン松永さんありがとうございました!
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