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副業ナレッジ

by大村昂太朗 大村昂太朗

副業推進の課題とは?副業する目的の重要性を社労士松井が解説!

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副業について考えるにあたり、会社で設定されることが増えてきた副業制度・個人が行う副業どちらにも、共通した問題があります。それは副業の「目的」についてであり、最も重要なことだといえます。

では、企業には具体的にどのようなことを検討していけば良いのでしょうか?現役社会保険労務士の松井勇作が解説します。

【プロフィール】

松井勇策(社会保険労務士・公認心理師・Webアーキテクト) フォレストコンサルティング労務法務デザイン事務所代表。副業/複業・リモートワーク・上場対応・AI化支援・社内社外ブランディング・国際労務対応など「新しい生き方・働き方の確立の支援」を中心に、社労士や心理師として活動している。著作等も多数。

名古屋大学法学部卒業後、株式会社リクルートにて広告企画・人事コンサルティングに従事、のち経営管理部門で法務・上場監査・ITマネジメント等に関わる。その後独立。東京都社会保険労務士会役員(支部広報委員長・研修/広報委員・労務監査責任者等)

社会的な副業の推進と問題

  • 副業は、2019年に働き方改革の流れの中で推進されてきました。

    内閣府や厚生労働省から、「働き方改革」の中でも中心的な課題のひとつとして、副業の推進が打ち出され、様々な施策が実行されています。最も象徴的なのは、「モデル就業規則」の変更だと思います。

  • 社会的な副業の推進と問題

厚生労働省から、一般への配布用としてモデル就業規則が掲示されていますが、就業規則の服務規律という条文の内容として、それまでは副業を禁止する条項が掲載されていました。

これが書き換えられ、副業を認める条項がモデル就業規則だということになりました。

ほか、従来から、裁判の判例では企業が「副業を禁止する」ことはできない方向の判例が多くなっていたのですが、行政としても、政策的に副業を基本的に認めていくことが確認されました。

こうした流れを受けて、副業禁止規定を変更したり、副業のための制度を設ける企業が話題になり、増加しています。特に、大企業で副業制度が設けられたニュースが多くなっています。

しかし同時に大きな問題が発生しているように思われます。

端的に言うと、副業制度を設けた企業において、あまり制度が活用されておらず、社員の方も、どのように副業を行ったらよいのかわからないという声が多くなっているように思われるのです。

副業制度がうまくいかない企業・人の共通点

  • 副業制度がうまくいかない企業・人の共通点
  • 各企業や個人で、副業制度がうまく進まない原因は、様々な個別の問題があると思います。しかし、横断的に見てみた時に、究極的には問題はひとつだと考えています。

    それは、「副業制度を作ったり、副業をすることによって何を目指すのかが明確でない」ということです。

    副業は、個人の方にとっては、かなり主体的な判断で就職した企業から離れて判断をすることになりますし、企業にとっては「自社外で働く」ことを制度化することになります。

個人にとってはとても「自立」が求められる行動ですし、企業にとっては、自社にこだわらないことを制度化するという、通常の人事制度と全く違った判断が求められることになります。

活用のために企業は何が必要なのか

  • 副業制度が活用されるために、また個人が副業を充実した形に行うために最も重要なことは、副業の「目的」を定めることだと思います。

    そもそも、行政の方針や判例の傾向からもわかるように、副業を禁止することはできない時代の流れになっています。

  • 活用のために企業は何が必要なのか

そして、自社にリソースを抱え込むのではなく、企業は社会に開かれた存在として、積極的に外部リソースを活用していくことが求められているといえます。

こうした価値観に基づいて、社員に対する副業制度については、「自社の社員が最も自分らしく力を伸ばし、充実して生き、さらにその成果が自社にも生かされるように考えるには、社員は副業をどう活用するのが最も理想的か」を発端にして、制度のすべてを設計していくことが必要だといえます。

これは、既存の社員の方の副業制度だけでなく、外部で副業として自社に関わっていく方を、どういう風に活用するのが良いか、という、自社における副業活用についても同様のことが言えるでしょう。

それをまず十分に検討した上で、初めてリスクマネジメントや運用の設計に入っていくことが重要だといえます。このように制度を設計することは、企業にとっては、大きな経営上の転換点になり得ます。

理念や事業の目的の実現を大きく後押しし、さらに働く方が大きくスキルアップしたり、短期間で社内の環境や風土を変革していく可能性があるような施策だと言えます。

個人の副業において一番重要な「目的」とは、自分の夢とキャリア設計に基づいた副業の活用

  • 個人の方についても同じことが言えます。

    ご自身が副業を考える場合、「収入」を中心に考えることを決して否定するものではありませんが、収入の補完ということだけではそもそも何をやればいいかの選択が難しいと思います。

  • 個人の副業において一番重要な「目的」とは、自分の夢とキャリア設計に基づいた副業の活用

また、副業にとられる労力が本業とダブルでかかってくることになり、非常に苦しい状態になってしまうことが多いのです。

副業を考えるときに一番重要なのは、今後のキャリアにおいて求めていきたい自分の「夢」「キャリアの目的」に基づいたキャリアプランニングだと思います。

そして、そのための自己投資としての副業設計を行っていくことが重要だと思います。

こうした選択を戦略的に行っていくことで、副業は、人生の楽しさや可能性を大きく実現していくためのものになっていくと言えます。

よく起こってしまうこと、副業の意義

  • 企業が「一応制度は作るものの、副業を社員が行うことによるリスクを減らしておこう」という思考法で考えた場合、論理的に副業を禁止することが最大の解決策になってしまいます。

  • また、社員の方も、どう制度を活用すればいいのかわからなくなると思います。

  • 個人が「何となくお金が入ればいいかな」くらいの感覚で副業を見てみても、何をするか決められないでしょうし、選択に失敗してしまうことも多くなるでしょう。
  • よく起こってしまうこと、副業の意義

副業は、日本で高度成長期から50年以上続いている「ひとつの会社に就職し、定まったロールモデルの中で成長する」というモデルから完全に脱却する、大きな可能性をもった現象だと考えています。

個人と企業が本当の意味で開放的に、自由に生きることを成立させていく、今までと異質のムーブメントだと思われるのです。

よって、企業にとっても個人の方にとっても副業の「目的」を捉えることが重要です。このことは、企業では、副業制度を自社にとって役立つものにするために制度の設計において重要なことです。

また、個人の方が自身のキャリアプランニングをより広い視野で考えることが、副業を生かすためにとても重要なことだと言えます。

次回からは、これらについてより具体的にお伝えしていきます。

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大村昂太朗

大村昂太朗

この記事を監修した人 大村昂太朗 株式会社リアステージ プロシェアリング事業責任者兼プロテンマガジン編集長

2020/4の新卒配属時から一貫して総合人材支援会社、株式会社リアステージに従事。 1年目から新卒周りで事業の立ち上げと責任者を担い、2年目にインターン事業を立ち上げ。3年目のタイミングで新卒から副業領域にキャリアチェンジして、プロシェアリング事業の立ち上げ、責任者を務める。