by大村昂太朗
他社は副業と副業社員の受け入れをどうやっているのか?企業の現状を徹底解説
副業や副業社員(ハイスキルな助っ人プロ人材)を受け入れる企業は増加しつつあります。個人の能力が高まり、その能力が高まった人材が企業の業務に参加することで、企業の業務に対しても様々なメリットがあるためです。
多くの企業では、人材不足が深刻な状態となっています。採用難にあえぐ企業も増えており、企業規模に関係なく必要な人材が集まらない状況は珍しくありません。
では、そういった事情をふまえて、副業や副業社員を受け入れている企業はそれらをどのように捉えているのでしょうか。この記事ではそのような疑問を解決するため、
- 副業社員の受け入れ方法
- 副業解禁の現状
- 副業と副業社員を受け入れる場合に必要な体制
などについて解説していきます。企業がどのようにして副業を行う人々を受け入れているのか参考にしてみてください。
目次
副業社員を受け入れる体制に必要なもの
副業と副業社員を受け入れるためには、企業内の体制を整える必要があります。企業内の体制が整わないまま副業や副業社員を受け入れてしまうと、のちのちトラブルが起こってしまうかもしれないためです。具体的にどのような体制を整えているのかを見ていきましょう。
規則の変更を行う
就業規則は企業によって大きく異なります。しかし、どのような場合であっても副業を受け入れる場合には、ある程度就業規則を変化させなければなりません。
副業がやり易い体制や副業社員を受け入れる体制を構築できるためです。例えば、副業禁止となっていれば、解禁したうえでどのような手続きが必要なのかを明確に定めましょう。
実際に副業を受け入れている企業では、
- 申請しなければ認めない
- 起業まで認める
- 申請は必要なし(過労などの身体的変化が見えたら聞き取りはする)
など、就業規則は企業ごとに大きく異なります。仮に、副業に対する制限を行わないとしても、「社内では副業を行わない」などの就業規則を制定しましょう。
また、副業を認可する場合に「許可制」とした就業規則では、「誰がどのような業務を行っているのか」把握することにも役立ちます。
許可や申告制とした場合、企業は労働者の過重労働のリスク分散を行うことも可能です。規則の変更は、企業の働き方に大きな影響を与えるものです。
副業に大きな制限を掛けない就業規則でも、副業を受け入れている企業では誰がどのような副業を行うのかなどを把握する体制を構築しています。
どんな業務にどんな人材が必要なのかを把握する
副業や副業社員を受け入れる場合、成果に対してどのような人材がいれば成り立つのか企業として把握する体制が重要です。
そうすることによって、人材に対する負担を軽減し、副業社員を有効に活用できる場を作ることが可能となります。
また、業務内容を分散化することが可能であるため、副業のデメリットとして挙げられる「効率の低下」を防ぐこともできます。業務の内容を把握し分散化するメリットは、
- 副業社員を受け入れやすくなる
- 特別なスキルを持つ人材をフルタイムで雇わなくてもよくなる
などがあげられます。実際に副業の受け入れを行っている企業では、業務を分散化することによって受け入れ前よりも生産性を向上させている事例も。
副業と副業社員を受け入れる企業は、「どのような内容で、どのような成果を産めば良いのか」などの視点から体制構築を行っているといえます。
管理体制を整える
管理は、時間や健康、業務内容など、人材の総合的な把握のために必要です。例えば、一時的・部分的な分野で採用された人物が抱えるリスクには以下のものが考えられます。
- 過労により倒れる
- 精神病を発症する
- 健康状態の悪化
などに対して、本業先の企業としても一通りの対策が必要となります。
実際に副業を受けいれている企業では、健康状態の悪化などに対して健康診断の徹底や指導などを行っている企業もあります。場合によっては、企業の担当者が主治医と面談するパターンも。
特に労働時間に対する管理体制がずさんでは、いずれ会社ごと無くなってしまうことも考えられます。
社外のノウハウやスキルを持つ人材を雇う企業は、どういった管理を行うのか明確に規定して管理体制を構築しているといえるでしょう。
副業と副業社員を受け入れる理由
企業が制度などを整え、副業と副業社員を受け入れる体制を作るのは手間が掛かります。それでも副業社員などの人材を受け入れるのは、それを上回るメリットがあるためです。
- 業務効率の上昇が図れる
- 既存の社員のレベルアップに繋がる
受け入れのメリットを詳しくみていきましょう。
業務効率の上昇が期待できる
優秀な副業社員を採用した場合、業務効率の上昇が期待でき、実績につながります。技術的なスキルを持つ人材であれば、雑務などを省いたうえで最大の効率を発揮できるルールの運用を行いましょう。
現状で、副業を受け入れている企業のほとんどは副業社員をどのような業務に配置するのかを明確に示しています。社内の環境によっては副業社員が何人もいる状態になる可能性もあります。
副業社員がスキルを発揮しやすい環境を作ることが重要です。上手く副業社員のスキルを発揮できるように工夫し、副業社員が働きやすい環境を形成すれば、こちらが期待している以上の結果を残してくれるかもしれません。
既存の社員のレベルアップに繋がる
副業社員は特別なスキルを持つ人材が多く、特定業務に特化している人材です。そのため、迎え入れることで社内の人材に良い影響を与えることが可能となります。
社内におけるスキルアップは、副業以外では研修や実務がメインとなります。そのため、人によっては、レベルアップを図れる場面が少ないことも。
しかし、別のノウハウを持つ人材を迎えることによって、社員のスキルに影響を及ぼすことができます。今いる社員のスキルを高められ、社員が良い経験を積むことができれば、その社員は会社全体に良い成果を残せるようになるでしょう。また、成長した社員に触発され、ほかの社員もスキルアップのため努力するという良い流れができるようになるかもしれません。
副業と副業社員を受け入れている企業は、こういったメリットを見越した体制を作り、成果に繋げています。
副業の解禁の現状とは
副業の解禁が叫ばれて久しいものの、残念ながら実際に副業を認可している企業はまだ一部のみです。
関東経済産業局が発表した報告書によれば、企業の規模に関わらず、8割ほどの企業が「副業の認可・検討」を行う予定はないとのデータもあります。
企業の副業に対しての認識は、
- 現状の自社で扱っている業務を行ってもらいたい
- 生産効率の低下などの可能性がある
などの懸念点を重く見ていることから、副業の認可・検討に踏み切れないのが実状です。しかし、人材不足はどのような企業でも深刻な状態になりつつあります。
そのため、「副業社員は受け入れない」体制は次第に業務の遂行が難しくなる可能性も。例えば、多くの企業は人材に対して以下のような問題を抱えています。
- 人材不足や人材の高齢化
- 人は集まるもののスキルを持った人材が非常に少ない
- 人材の育成にコストが掛かるものの、コストを回収できるとは限らない
大企業であっても、「人材に対する不安は尽きない」状況であるといえるでしょう。
しかし、副業と副業社員を受け入れることによって、人材不足やスキルの不足を解消することが可能となります。そのため、副業に対する企業の対応は日々変化しつつあります。
副業社員の受け入れ事例と企業の考え方
事例を知ることによって、どのようにして副業のメリットを活用するのか見ていきましょう。
広がる受け入れ事例
副業社員を受け入れる体制は大企業だけでなく、ベンチャー・スタートアップ、中小企業にも広がっています。
事例1:株式会社Schoo
生放送コミュニティサービスを担うSchooでは、助っ人プロ人材として副業社員を受け入れ、事業の推進を加速させています。
実際に、Schooは副業社員に対して「今すぐ必要な人材に来て欲しいという課題を副業なら解決できる」と捉えています。
社内の人材に「スキルやノウハウを吸収してもらえる」といった効果も生み出しており、副業社員の受け入れの成功事例といえるでしょう。
また、企業で立ち上げたいプロジェクトやプランニングなどにおいても、副業社員のスキルを活かしています。
事例2:株式会社オイシックス
食料品に対するEC事業を行うオイシックスでは、パート社員までを対象に副業を解禁しています。副業を解禁した目的は、「高いスキルを持つ副業社員の取込」「従業員の成長」です。
またオイシックスでは、副業を行う人材に対して上司が直接アドバイスを行うといった体制を構築しています。
例えば、本業とのバランスの取り方や副業の進め方についても上司に相談することが可能です。会社として副業への取り組み方をサポートすることで、本業の成果につながっている事例だといえるでしょう。
事例3:サイボウズ株式会社
ベンチャー企業の中でも有名なグループウェアサービスのサイボウズでは、副業の解禁に比較的早く取り組みました。
「100人いれば、100通りの働き方」を掲げており、実際に複(副)業採用を今でも行っています。この取り組みでは、特にエンジニアなどは積極的に採用し、業務の短時間化などのメリットを生み出しています。
また、WebやITエンジニアでスキルを持つ人材に関しては、スキルに応じて高額な給料を支払う必要がある場合も少なくありません。
しかし、副業社員を受け入れることで、サイボウズは人材に対して支払うコストも安価となりました。
副業を受け入れる企業の考え方について
副業社員を迎える企業のほとんどは、業務上の課題を円滑に解決するために「社内のノウハウや人材だけにこだわらない」といった考えを持っています。
様々な企業のスキルやノウハウを持つ人々が、企業としての生産性や価値の創造にうまくつながっているといえます。
つまり、副業に対するメリットを理解しているため、受け入れ体制が整っている状況です。
働く場所や時間を個人の裁量に任せている企業も存在しており、様々な人材のスキルの組み合わせによって企業価値を生むといった考え方が重要だといえるでしょう。
副業のメリットを享受している企業も増加している状況にあります。社外の人材を受け入れることによって、社内の人材もスキルやモチベーションの向上を目指すことが可能です。
時間の管理や本業への影響などがデメリットとして扱われやすいものの、副業によってもたらされる利益は非常に大きいものがあるといえるでしょう。
こうした変化を受け入れている企業の視点は、従来までの企業と大きな違いはありません。どちらも利益や生産性の向上が最大の目的だといえます。
しかし、人材に対しての考え方は大きく異なります。副業社員を積極的に歓迎している企業は、「必要な人材を必要な時に雇用する」考えを持っています。
しかし、その考えが一般的に浸透するまでにはまだ時間が掛るといえるでしょう。
まとめ
副業社員などのプロ人材を受け入れるためには、企業としての体制を整える必要があります。
また、受け入れる場合には、副業に対する社内の規定やどのような業務を認めているのかなど、細かく社内体制を見直す必要があります。
大企業や中小企業などと規模が違ったとしても、人材に対する悩みは尽きません。しかし、副業社員を受け入れることによって、社内で課題だったものを解決できる可能性があります。
社内体制や規則などを変える必要があるものの、副業を許可することで企業が受けられるメリットは大きいといえるでしょう。
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